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伝説の超ニート トロもず
伝説の超ニート トロもず
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ドラクエ:Ruineme Inquitach 記録013

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「・・・ワンを貶めて、悪質極まりないテロをやりやがった奴のことか。確かに前々から調べを進めてはいるが何の手掛かりも得られないんだよな」

「カルステンとカズモトさんの奥さんを殺した仇でもある。そいつをどうにか突き止めてこの手でぶちのめしてやれるなら願ってもない。そしてその方法を今から俺達で探す・・・そういう話なんだろ?」

「ええ、そこまでわかってくれてるなら話は早いわ。ソロ曰く私達がリサーチできる範囲内に、犯人の正体と目的を知る人物がいるらしいの。そしてその誰かは、犯人のことを公にできないある理由を抱えてる、と」

「・・・・この際ソロが何を考えているかは排除しよう。僕たちにとってその犯人を突き止めることは長年の大きな目標だった。アレッサ、君はどの程度の考察を済ませているんだい?」

ベルティーニ博士は少し下を向いた。

「・・これといって何も。休まずに考え事をするのは駄目だとソロに釘を刺されてしまって。ただ彼からいくつかのヒントをもらったわ」

「と言うと?」

「あの件は完全犯罪に見えて、意外なところに大きな落とし穴があること。それは“手がかりが一切ない”ということの本当の理由で、それがわかってしまえばあとは簡単だと言ってたわ。犯人を知る人物から情報を得ればそれだけで真実を知ったも同然だと」

「・・・意味深だな。あいつ俺達を試そうとしてるのか・・・?」

「まあ、彼はもともとそういうところがありますからね。かと言って遊び半分で推理ごっこまがいなことを仕掛けるほど彼は暇でも愚かでもない。彼らにとっても私達にとっても、大きな意味を持つ結果を生むことになるのでしょう」

カズモト博士の言葉を聞き、スワードソン博士は腕を組んで目を細めた。

「・・大きな意味、か。確かに良くも悪くも大きな影響が生まれそうだが・・・立場を無視した僕の個人的感情から言わせてもらうと、あの事件を引き起こした犯人はとてつもなく賢くそれでいてどうしようもなくぶっ壊れたゴミクズ野郎だね。是が非でも引き摺り出して火炙りにでもしてやりたいが、ソロがそいつの正体を突き止めろと言ったからには、それは結果が少なからずこの世界の行く末に関わってくると見て間違いないだろう」



━─━─記録013 平行線の思惑と滅びの歌声



「だな。そうでなきゃあの野郎が口出しするわけねえ。んでまずは何だ・・・手がかりがない真の理由から考えるべし、だったか?」

「ええ。・・ひとまず犯人がデジタル世界での立ち回り方を熟知したとても頭のいい人物だってことは確定してるわね。でも手がかりが全くない以上、それより先の考察は望めない。だから私達は犯人が事件を起こすに至った動機から考えるべきだと思うのよ」

「俺もそう思う。そんでもって曲がりなりにも筋の通った思考回路の持ち主だとするなら、このアルカディアそのものに怨恨か何かの感情を抱いてる可能性が高いよな」

「・・・筋の通った思考回路の持ち主なら、の話だろ。そこは案外デカいぜランディ。
ソロを見てりゃわかると思うが、どう考えたって異常な能力の高さを持ってる奴ってのは、たいてい頭ん中の大事な何かが地球の裏側まで吹っ飛んじまってるもんだ。ああいう奴らの思考は常人の物差しで測ろうとすると痛い目を見るぜ」

ベクスター博士はそう言うと、遠くを見ながらガムを膨らませた。クロウ博士は小さくため息をつく。

「・・お前、割とあいつといい友達になれるんじゃないか?絶対あとで何か嫌がらせされるぜ」

「・・・いや、もう反応が返ってきた。“ならてめえのタマは火星あたりまで飛んでったんだろうな。いい加減にしないとケツを四つに割るぞこのボケナス”だそうだ」

「そいつはご機嫌だな・・・」

「とにかく。・・犯人はどちらかと言えばサイコパス寄りの思考の持ち主だと仮定しましょう。そして一度だけしか大きな事件を起こしていないことから、ひどく気まぐれで熱しやすく冷めやすい性格だと窺えるわね。・・・でも、これらの予想をいくら続けても“手がかりがない”ことの理由は掴めそうにないわ」

「・・・・・待て。ソロの口ぶりからすると、その“手がかりがない”真の理由は我々の考え方で辿りつくには難しいということになる。ここは敢えて、ストレートに出た答えから排除していくというのはどうかな?」

「・・じゃあつまり、犯人はデジタル世界に詳しく賢いということを排除してみろって?」

「・・・。・・・デジタル世界に詳しくなくて頭も悪いなら、どうやってあんな巧妙な事件を起こせたと言うのよ?」

「いいやそうじゃない。・・もっと別な何か・・・違う角度から見る必要がある。そう例えば・・・持っている情報や技術に関係なく証拠を隠滅することができ、尚且つ賢さと言う概念が存在しないのだとしたら?」

スワードソン博士の言葉に、全員の表情が強張った。
・・ベクスター博士が呟く。

「・・・・・つまりアレか。セカンドレッド・デビル・・・・犯人は人間じゃない、と」



・・数時間後。会議室を後にする博士達の後方で、ベルティーニ博士はドアの入室制限ロックを解除していた。そしてその隣に立ち、作業が終わるのを待っていたカズモト博士に顔を向ける。

「・・・・何か・・・ご用かしら?」

「・・はい。先程のお話の中で気になる点がいくつか。それと・・」

カズモト博士は一度俯き言葉を詰まらせたが、すぐに顔を上げた。

「・・・・少し、お話したいことがあります。私がそれなりの覚悟と責任を持って、貴女に伝えねばならない情報です。先ほど結論として出た通り、犯人は・・・・人間ではありません」

ベルティーニ博士は眉間にしわを寄せて頷いた。

「・・わかったわ。やはり“気付いている人物”というのは・・貴方のことだったのですね、カズモト博士。まず犯人が人間でないということがソロの言う“落とし穴”だったと仮定して・・・次に答えを出すべきなのは“手がかりがない”ことだわ。貴方はそれもご存じなの?」

「・・・。・・私が犯人のことを公にできない理由の一つがそれなんです。最も大きなものとしては・・・・犯人の名を明かしてしまうと、このアルカディアの全てが一度に破綻しかねない」

その言葉で、ベルティーニ博士は少し目を見開いた。・・彼女の頭の中に、考えられる中で一番最悪な犯人像が浮かんだ。

「・・・・じゃあ・・・まさか・・・・・」

「・・これ以上はここで立ったまま話すべきではありません。・・・私のオフィスへ移動しましょう」



「・・・・・・――つまりは・・・・私達は今までずっとそしてこれからも、内部からの危険に晒され続けることになると・・・・そういう意味なのね・・・?」

「・・・・・・・・・手の出しようがないんですよ。発覚したのは約3か月前、化け物達がこの宇宙にやってくる前兆が現れ始めたのと同時期です。しかしいくら考察と実験を重ねても、この件と化け物達に関連性はない。つまりまったく別の種類の災厄が同時に、私達の世界に降りかかり始めたということになるんです」

ベルティーニ博士は珍しく表情を変え、顔を強張らせた。手に汗がにじむ。