比翼の鳥は囀りて
そしてカードを書いて封筒にしまい、侍従に手渡す。
────木の曜日の正午からお会いしたいのですがご都合いかがですか。
追伸 お月さまが綺麗ですね。 ルヴァ
返事はすぐに来た。アンジェリークとともに。
────もちろん空いています!
追伸 こちらもお月様がきれいですよ。 アンジェリーク
「失礼します。ルヴァ様へお手紙の配達ですよー」
小首をかしげる姿がなんとも可愛らしく、ルヴァの顔が綻んだ。
「おや、随分と可愛らしい配達人さんですねえ、ありがとうございます。中でお茶でもいかがですか?」
「ふふ。そう思ってスコーンを作ってきました。味の保証はしませんが良かったら」
「それなら紅茶にしましょうか。美味しそうですね、ちょうど小腹がすいてきたところだったんですよー」
彼女の作るスコーンはとても食べやすく、守護聖の間でも評判がいい。
めいめいクロテッドクリームとともにジャムやはちみつをたっぷり載せて食べるのだが、いつも最後は取り合いになっている。
「あ、ルヴァ様待って」
アンジェリークは茶器へと手を伸ばしたルヴァを呼び止めた。
「はい、どうしましたー?」
「ちょっと耳貸してください」
アンジェリークに服を引っ張られ、屈み込んだ瞬間……
「…………だいすき」
消え入りそうな囁きとともに、頬に落とされた口付け。
ルヴァはどうしようもなく愛おしくなって、彼の天使をしっかりと抱き締めた。
「私も、だいすきですよ」
それからアンジェリーク特製スコーンを頬張りつつ、二人きりのお茶会を楽しんでいたのだった。