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しょうきち
しょうきち
novelistID. 58099
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比翼の鳥は囀りて

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 女王試験はアンジェリークの勝利で終わりを告げた。
 そのまま取り急ぎ宇宙の移転を行い、即位の儀は後日改めて行われることとなった。

 そして即位の儀の前日、ルヴァとアンジェリークは再び連理木を見に訪れていた。

「いよいよ明日ですねえ。緊張していますか?」
 クスノキの連理木を見上げながら、少し疲れた様子のアンジェリークを気遣う。
「はい……散々打ち合わせとかやったんですけど、失敗したらどうしようって思ってます」
 ドレス自体は舞踏会で着慣れてきたものの、立ち居振る舞いについてはいまだ課題が残る、と光の守護聖が頭を悩ませていたのは、数日前のことだ。
「あなたなら大丈夫ですよー。あんまりそう考え込まずに、気楽にね」
「失敗しないように祈っててくださいね。ああ緊張しすぎてドレスの裾踏んだらどうしようーっ!」
 毎日夢の守護聖のところで、本を頭上に載せて落とさないように歩く特訓をしていると聞いている。
 元々頑張り屋の彼女のことだ、それだってすぐに覚えてしまうだろう。
「では、緊張を解くプレゼントを差し上げましょうかー。はい、これをどうぞ」

 先日ゼフェルに頼んでいたものが、浅黄の包装紙に小さな向日葵つきのリボンがかけられて届いた。
 日数的にかなり無茶な要望だったが、前回彼はこっそり主星にある馴染みの工房を借り作業したのだと言っていた。
 恐らくは今回もそうだろうと踏んで首座の守護聖の目に留まらないよう、色々と便宜を図っておいた。

「開けてみてもいいですか?」
 笑顔で頷くとアンジェリークは嬉しそうに包みを開けた。
 それは白金の髪留めで、小枝と花葉がモチーフの台座にパールや輝石が随所に散りばめられていた。
「うわ、わー……きれい……! あの、これって」
「金だとあなたの髪色に同化しすぎるかなと思いましてね……どう、でしょうか」
 気に入ってくれるだろうかと僅かに緊張の色を滲ませるルヴァ。
「とっても素敵です……! に、似合いますか? どうですか?」
 こめかみの辺りにかざして嬉しそうな様子が微笑ましくて、ルヴァは思わず目を細めた。
「良く似合っていますよ。今回もゼフェルに加工してもらいました。あー、デザインは私なんですがね」

 照れ臭さを隠すために一つ咳をして、アンジェリークの手を取り跪いた。
 早朝の朝靄にけぶる湖面のような色をしたルヴァのまなざしが、先程よりも強く緊張の色を帯びる。
「……アンジェ、このターバンの端を引っ張ってください」
 言われるまま布を引くと、さらりとターバンが解けて瞳と同じ色の髪が零れた。
 初めて見るその姿はいつもより格段に若々しく精悍で、アンジェリークの心拍数が跳ね上がった。

「謹んでお慶び申し上げます、新女王陛下。……そして」

 ゆっくりと立ち上がりながらアンジェリークの手を引き、腕の中へと閉じ込める。
「私の魂の片割れに……。比翼連理の約束の証です。受け取っていただけますか」
 髪留めを胸の辺りで抱き締めたアンジェリークの瞳に、涙が滲む。
「はい。ありがとうございます、大切にします……!」
 躊躇うことなく返事が返ってきて、ルヴァはふわふわの金の髪を撫でながらほうっと息を吐いた。
「良かった。ここで……連理木の前で誓いたかったんです。あなたに」
作品名:比翼の鳥は囀りて 作家名:しょうきち