二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

名前を呼んで

INDEX|1ページ/7ページ|

次のページ
 
―ザァッ―
風によって周辺の草木から音が奏でられる。その音響の中に二人はいた。
「よう、真田幸村。お前とこうして見える事を待っていたぜ」
「お久しぶりでござる、政宗殿。某もこの日を待ちわびておりましたぞ」
二人の名は伊達政宗と真田幸村。群雄割拠の世でこの名を知らぬ者は無い。その二人からは闘志が溢れていた。眼が、いつもにも増して光を宿して輝いて見える。先ほどから心地よく吹いていた風が止み、静寂が世界を包もうかとする時だった。

「いざ尋常に、勝負!」

同時に掛け声をあげ、得物を自身の手に取った。ただし、得物とは言っても斬るためのソレではない。相手を斬ることは出来ないが、打つことはできる、木でできたものだった。カツン、と木独特の軽やかな音を上げて二人は打ち合いを始めた。斬るための道具でない得物ではあったが、手に加わるそれなりの重さと、戦場と同じ姿で立つ相手と気迫に、双方はヒートアップしていく。槍を突き出しては横に避けられ、刀を振るっては後ろに下がられる。槍の柄で打ち込もうとすれば、その勢いを殺さずに華麗に流される。刹那、左から攻撃が繰り出された。すかさず自身の得物で受け止める。左手はそのままに、右から攻撃を仕掛けると、自身がしたように捕らえられた。双方が動きを封じ合う。そして相手を押そうと互いに上体をより前方に出した。二人の距離が、相手の吐息を感じるほどまでに近くなる。
「まだだ、まだこんなもんじゃねーだろう?真田幸村ァァァァァ!!!」
「うぉおおおおおおお!!!!まだでござる!滾る・・・まだ魂は燃え始めたばかりですぞ、政宗殿ォォォォォオォォォ!!!!」
二人の持つ得物からは炎が、また、雷が具現化した。その瞬間、轟音と共に爆発が起き、二人は吹き飛ばされる。幸村は叢の上に落ちたが、政宗は兜越しではあるが後頭部を木に打ちつけ、気を失ってしまった。しかし彼の手から得物が離されることは無かった。だが、両の手に持たれた得物の刃の部分は、木製であったがために崩れ去った。幸村の得物も同じように崩れ去る。幸村はソレを見て、気付いたように周囲を見渡して何かを探した。ある一点で幸村の視線が止まる。物陰から一人の男が姿を現した。
作品名:名前を呼んで 作家名:ギリモン