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名前を呼んで

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「改めるのは旦那でしょ」
突然幸村が何者かによって攻撃を受けたようだ。政宗を拘束していた腕が解かれる。開放された政宗は幸村から離れて対面する形を取った。その左目に、佐助の手刀が幸村の頭に乗っている様子が映る。軽く打撃を与えたのだろう。いや、結構な衝撃だったようだ。幸村の目元が僅かに光って見えた。
「俺が何を改めるのだ!申してみよ、佐助!!・・・佐助!?」
言葉を発しながら幸村が振り返ると、声を裏返しながら佐助の名を叫んだ。先ほどまで佐助は風魔と刃を交えていた。その彼が目の前に立っている。迷彩柄の服は所々破かれ、額や頬から血を流しながら。
「え〜、言わなきゃダメ?」
頭の後ろで手を組んだ佐助は、何事もなかったかのように飄々としている。そんな彼の服を掴んだ幸村は血を拭い取った。緑色に赤が混じっていく。
「申す前に佐助、先の交戦は如何した?」
尋ねながら辺りを見渡す。きょろきょろ、と効果音が付くかのように。
「ん?あぁ、、あれねぇ。・・・風魔が帰ったから終わったよ」
「なんと!・・・ぬぅ。松永殿も帰られたのでござるな。」
「そういうこと。で、旦那」
「?どうした、佐助」
首を傾げる幸村。佐助は彼の反応にため息をついた。そして頭をガシガシと掻く。
「改めないといけない所、気付いた?」
「おぉ!そうであった!!・・・気付かぬ。分からない。某が何を改めるのか・・・・」
そのまま頭を抱えてしゃがみこんだ。と思った次の瞬間、
「ぅおぉおぉおおおぉ!!!お館様ーー!!!!某、自分が分かりませぬーーーーー!!!!!」
両腕を空に向かって伸ばし、勢い良く立ち上がった。
「Shat up!!」
「うごぉ!」
先ほどの仕返しと言わんばかりに、政宗が飛び蹴りを食らわせた。その勢いで幸村は前にいた佐助に飛びつく形となる。
「おっと・・・」
佐助は自分に飛び込んできた幸村を、全身で受け止める。あたかも抱擁しているかのようだ。佐助が上から幸村を覗き込み、微笑みながら尋ねる。
「大丈夫?旦那」
「う、うむ。すまぬ佐助。」
言いながら佐助の体を軽く押す。だが、動かない。疑問に思ったのか、幸村は顔を上げた。その瞳は純粋そのものだった。その瞳を覗いた佐助が苦笑する。
「ねぇ旦那。その真っ直ぐ過ぎるところが改めるところだよ。分かる?」
「ぬ?・・・いや、分からぬ」
幸村は即答した。それに困った顔を見せながら、佐助は幸村の体を離した。
「こればかりは仕方がないね。だが、竜の旦那は分かったようだ」
佐助の視線は政宗に向けられていた。視線が合うと、政宗は口角を上げた。
「当然だ。・・・さっきの行動はさしずめそのせいってとこか」
「ま、そう言うこと。」
短く話を済ませると、二人は幸村を見た。自分を置いてけぼりにし、話をする二人を、幸村は交互に見やっていた。そんな彼の肩に、佐助は手を置いた。
「じゃ、旦那。俺様はこの辺を偵察してくるから、その間に帰る準備でもしておいて頂戴」
言い終えると、返事を待たずに目の前から消え去った。
「帰る準備とは・・・何をすれば良いのでござろう?」
持ち物は武器だけだった二人。帰る準備などあるはずがない。これに政宗が口を開いた。
「次はいつ殺り合うか決めろってことじゃねーのか?」
「殺り合う・・・でござるか。・・・・・・うむ」
政宗の言葉を聞いて一人で結論を出したようだ。一度大きく頷き、政宗を見る。その顔はとても清々しい。
「今度、上田城に来て下され。もちろん、片倉殿も御一緒に」
「Ah?なんでそうなる」
政宗は腕を組み、理由を問うた。
「このように会話をするのも楽しいでござる。殺り合うのは戦場にていくらでもできましょうぞ!」
それに自分の城下には美味しい物がたくさんある、と楽しそうに話した。その様子に政宗は目を細めた。
「OK.俺の舌を満足させられないようなら・・・覚悟しとけよ?」
「無論、政宗殿を満足させてみせますぞ!」
満面の笑みを浮かべ、首を縦に振った。すると、後方から大きな声が聞こえた。
「旦那ー、そろそろ帰らないと大将にどやされるよー!!」
「なんと!それはいかん!!・・・では政宗殿」
幸村はそう言って右手を差し出した。政宗は差し出された手を見て、一瞬だが目を大きくした。そしてその手を叩き落とした。
「アンタ馬鹿か。オレがそんなことする訳ねーだろ」
そのまま幸村に背を向け歩き始めた。数歩行ったところで片手を挙げる。
「またな、幸村」

―終わり―
作品名:名前を呼んで 作家名:ギリモン