五人の力、一人の『武器』
マロもなんだよ~。
折角家が見つかって、パパとママにも会えたっていうのにその顔は~。
まさかまだ『ぼくがついていってもマリオさんのお役に立てません』なんて考えてるのかい?
君は魔法が得意でその力はここぞという時に役立ってるじゃないか。
…え?ここぞ、じゃなくて、いつも、がいい?
……。そっか、でもねマロ。
君は僕やクッパ、ジーノと違って打たれ弱い。
回復の魔法もあるから大丈夫だと思うかもしれないけど、君にはダメージを受けた後すぐに行動に移れないっていう弱点があるんだよ。
最近の敵の攻撃は一発一発が大きくなってきているから、毎回それに怯むようじゃあたたみかけられてやられてしまうよ。
だから『いつも』はできないんだ。
まだ何かあるかい?
ねえマロ。
マロは、僕みたいにスーパージャンプで戦いたいの?
それともクッパみたいに暴れるように戦いたいの?
それとも…、
そうだよね、マロはマロとしての戦い方がしたいんだよね。
だったらマロ、僕達と比べて『ぼくじゃ役に立てない』って考えることはないよ。
力の強い奴は力の強い奴の戦い方、力の弱い者は力の弱い者の戦い方、みんなそれぞれ違うんだよ。
マロの戦い方はマロにしかできない、僕達には使えない魔法がたくさん使える。
だから僕は、いつも君に、気にしなくていいって言ってたんだよ。
戦う能力が低いことは戦闘においての短所じゃない、己の能力を知らずに戦うことが最も戦いを不利にするものなんだ。
自らの実力をわかっていてそれを伸ばすか、またはそれを理解した上での戦い方をするのが本当に強い奴だ。
…と、僕は思うよ。
まあマロも未来のマシュマロの国の王様なんだし、本当に実力をつける必要もあるよね。
僕もできるだけマロの力が付くような作戦を考えてみるよ、これも僕の仕事ってわけだ。
マロは自覚がないかもしれないけど、今回のマルガリータとの戦いで君はすごい成長したよ。
こんなふうに僕に強く意見を言えたり、自分の言いたいことを伝えたりね。
結構キツイ言い方をしたけど、全然泣かなかったし、すっかり泣き虫も治ってるよ。
それに、これからはパパとママとたくさん思い出を作らなくちゃならないんだ。
もっとずっと強くなって帰ってこようね、マロ。
うん!その調子、マロが元気になったらなんだか空も晴れてきた気がするね。
さてと、最後は君だね、ジーノ。
え?嘘だね、何もないなんてことないよ。
僕を誰だと思ってるんだい?
今まで困ってる人を何人も助けてきたヒーローはね、人の感情の変化に敏感なの。
そうだね、僕がピーチ姫と話していた辺りから表情が暗くなってたね。
カジオーや武器達の話をすると、決まって君は表情が険しくなってるよ。
特に最近は。
この間のヤリドヴィッヒだっけ?あいつと戦って感じたんだけど、時間が経つにつれて敵も強くなっていってるなって。
僕達の強さも上がっているけど、それ以上に敵が強化されていっている気がした。
そんな中で君は僕達と違って強い装備があるからすごく頼りになっているよ。
この前使ってたあの全体魔法もすごく強かった、正直に言うと僕には敵を複数相手できる力がないから羨ましかったよ。
え?うーん…そうだなー。
確かに、ああいった力を持っているのはこの世界には少ないかも…あ、クッパ軍団は別ね。
銃を使って戦う人もあんまりいないし。
でもそんなに気にしなくていいんじゃないかな?
ジーノは僕達と一緒にいて戦う限り、人を傷付けることもないよ。
僕は何度も冒険しているからわかるけど、僕達が持つ力はどれも使い方を間違えれば『悪』になりうるものなんだ。
ただ僕はそれを正しいと思った道で使っている、それだけだよ。
クッパを見るとわかりやすいね、いつもはピーチ姫をさらったり僕を困らせる『悪い奴』だけど、こうして一緒に戦えばもう『悪い奴』じゃない。現にマシュマロの国に銅像なんか建てられちゃったりしてさ!
君が強くなることは、君の目的を果たすために必要なことじゃないのかい?
それが例え僕達の世界の力とは違っていても、例え敵の力に似た力であっても。
そして君の目的は僕達の世界の平和を取り戻すことであり、敵はカジオー達だ、違うかい?
君にその意志があれば何も心配いらないよ。
どういたしまして。
でも、ジーノもそんなふうに悩むんだね、ちょっと意外だなー。
悩みがあったらまた言ってよ、ヒーローの先輩としていいアドバイスをしてあげるよ!
「さてと、じゃあ改めて出発しよう!ヒアウィーゴー!!
作品名:五人の力、一人の『武器』 作家名:KeI