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帰る場所 壱

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いいんですか?



いいんですね?



本当にいいんですね?


                                                                                                                                                       

<第一幕 始まり>
                                                                                                                                                                                                                                                                                                            
いつもと変わらぬ江戸には活気があふれていた、それを壊したのは鬼兵隊率いる高杉一波と、第七師団。ターミナルを爆破し、周辺に兵士を配属させすべてのメディアがそのテロ事件に中継を結んでいた。
万事屋はそのニュースを見るなり、走り出していた向かうのは真選組、その日はたまたま真選組が江戸に帰ってきていると聞いていたからだ。

「ぎ、銀さん?なんで真選組なんですか?」

新八は銀時に疑問をぶつけた。

「あ?そりゃあいつらならなん知ってんだろ」


真選組の屯所の扉を3人揃って蹴り上げ、ぶち壊すとそこには懐かしい真選組の面々が揃っていた。驚いた顔をしていたが、全員制服を着ているどうやら考えることは同じらしい、

「よ、万事屋・・・新八君、チャイナさん」

近藤の声と共に、切り詰めた空気が一瞬和らいだ。感動の再会とまではいかないが腐れ縁の中であるこの二者。対立は多く、会えばいがみ合うばかりで互いに罵り、批難してきた。そんな仲だからこそこういう時に互の力になる。

互いに事情を説明しあい、協力していくことを誰かが提案し、皆が承諾した。今すぐにでもターミナルに飛び込みたい神楽を宥めるかのように銀時と新八は肩に手を置いていた。
直ぐに動けないのはまだ作戦を練っていないのが一番の理由だ。
                                                                                                                                            

                                   
話し合いの結果から、三日後に作戦を決行ターミナルに喧嘩を吹っかけることになった。その三日の間に互の力を少しでも高めようとのことだ。

沖田は自然と神楽の方へ足を向けていた。神楽はみんなとは離れ縁側で1人、もうすでに暗くなった空を見上げていた。

「よう、チャイナ。なに柄でもねぇ陰気な顔してんでい」

「サドアルか・・・」

神楽は目を合わせることもなく、ポツリと呟いた。何時もなら突っかかり喧嘩が勃発するはずなのだが・・・沖田は少し顔を歪ませ、どっかと神楽のちなりに座る。様子が違うことになにかしらあるのだろうと察してのことだ。神楽は何も言わず空を見上げていた。

「なんで、今日は黙ってるネ。お前は私に気を使うほど優しい奴じゃないはずヨ。何で・・・」

「・・・!おい、チャイナ・・・?」

沖田はそっぽを向いていたが、声がやけに震えていることに気づき神楽を見る。すると、真っ青に澄んだ目から涙がこぼれ落ちていた・・・。

「あーあ、もう最悪アル!!なんで、お前みたいなのの前で涙なんか・・・」

止まる気配のない涙、沖田は初めて見る神楽の涙に、どうしていいか分からず柄になく慌てていた。

「って、なんで泣くんだよ。これじゃ俺が泣かしたみてぇじゃねぇか!と、取り敢えず旦那呼んでっくからここにいろぃ・・・?」
                                                                                                                                            


銀時を呼びに行こうとその場を離れかける沖田を制服の裾をギュッと握る神楽、とても小さい声で、良い。お前でいいから、ここにいるヨロシ・・・と呟かれ、沖田は仕方なくすとんと座り直した。

「チャイナ、何があったんでぃ。おかしいぞ」

「・・・・自分でもそう思うネ。でも、お前が彼奴に・・・神威〈バカ兄貴〉に似てるから・・・ムカつくくらいに似てるから・・・」

バカ兄貴と聞いて、沖田はある人物を思いうけべる、嗚呼、あいつかと一人納得する。

「お前と彼奴の匂いは似てるアル。それに昔の優しかったあいつと、今のお前が重なってしょうがない・・・」

「俺と兄貴を重ねて、思い出し泣きしてたってか?っふ・・・いつになく女々しいねぇ~で?てめぇーはその兄貴をどうしたいんでぃ?」

「なんかムカつく言い方アルな・・・連れ戻したいヨ、もう一度家族に戻りたい・・・昔の彼奴に戻って欲しい・・・」

いつの間にか止まった涙をゴシゴシと拭いて、真っ直ぐに沖田の目を見て言った。その目は何の迷いもなくひたすら真っ直ぐで、揺らぎ無い決意がこもっていた。沖田はその目に少し驚いているようだ。

「そうかい・・・ならそうしなせぃ。ただもう泣くんじゃねえぞ?泣くときゃ俺の前で泣け。他の奴の前で泣くんじゃねぇ」

初めて神楽に笑いかけた沖田、しかし、直ぐに真っ直ぐな目つきになり、見つめ返す。神楽は頭のうえに?を浮かべていた。空元気になって笑った神楽の笑顔がどこか儚くて、消えてしましそうで・・・・それを今は亡きミツバと重ねてしまし、手放すなという言葉が脳裏に浮かんだ。すっと手を伸ばしかけその手を止める。幸い、神楽には今何をしようとしていたのか悟られていないようだ。良かった、コイツが馬鹿で・・・とほっとする。
そして、自分が無意識に神楽を抱きしめようとしていた事をおもい、恥ずかしくなる。

「〈なんでチャイナ何かを・・・?まさか俺ぁコイツのこと・・・ないないないないナイナイ!!!!!!!断じてない!!!そもそもこんなクソアマありえねぇ!い、今のはいつもと違うもいつを見てどうようしただけでさぁ!!!〉」

と、自分を納得させるのに必死な沖田をよそに神楽はすっきりしたような顔で、「仕方ないから、お前の言うとおりにしてやるヨ!」と言ってにぃっと笑った。

その笑顔を見て、今まで考えていたのが馬鹿らしくなったのか、いつもどおりに戻り、お互いに 「「はやくねろよ〈ヨ〉」」と言って離れた。







第一幕しゅu


+ショート劇場〈多分会話文だけ〉
作品名:帰る場所 壱 作家名:季瀬