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帰る場所 弐

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ノリで第二弾どうそ
                                                                                                               <第二幕 あの日の約束>





初日の月が沈み、太陽が昇る・・・それぞれが、それぞれの思いを胸に一晩を明かした朝。真選組は数カ月ぶりに屯所で一夜を明かす。彼らが江戸を離れてから、何かが足りない日々を過ごしていた万事屋一家、特に神楽は最近浮かない顔をしていたのが嘘のようで、きらきらした表情をしている。
真選組の面々もどこか生き生きとした表情、懐かしい江戸の風景が戻ってきたようだ。
                                                                                                            「今宵の月は満月かねぇ・・・」




いつになく、銀時は早起きをし木の上で酒を飲みながら明けたばかりの空を仰ぎ見ている。どこからか心地いい風が吹き付け、徐に目を閉じる・・・夜が明けたといっても、まだ少し薄暗くヒンヤリした空気が漂っている。そんな黄昏気味な銀時に声をかける人物。

「こんなとこで祝杯でもあげてんのか?万事屋・・・」

それは真選組局長の近藤であった。顔に残った傷が未だに真選組と離れた数ヶ月間を思い出させる。銀時はすっと目を開いて一言、なんだ誰かと思えばどこぞのオスゴリラか、と皮肉気味に放った。

「てめぇー、お妙には会いに行かねぇのか?」

木から飛び降り、酒瓶と木刀をもって佇む、死んだ魚のような目で真っ直ぐ見据えていた。その姿に近藤はふっと笑いホンの少し寂しそうな顔をした。
 

「まだ会えんさ・・・まだ会うべき時じゃねぇ。江戸(この街)を離れる時にお妙さん(あの人)にもう一度会うときは江戸に戻って暮らせる時だって決めってからよぉ」


「・・・・・・そうかい・・・」


いつの間にかすっかり太陽は登り、辺りは明るくなっていたすっーと息を吸い、再び明るくなった空を仰ぎ見た。そして2人揃って、どこにいても空はおんなじだが、江戸(この場所)でお前らと見る空は、どんな空よりも晴れやかで、清々しくて・・・温かい。そう思い互の顔を見合わせて笑った。




                                    
                                    
                                      
それどれがそれどれに最後の修行をしだす、中には木の上で寝ているものもいるが・・・

日が最も高く伸びる昼下がり、真っ青な空の下一陣の風が吹き付ける。以前までこの面々がひとつ屋根のした寝泊まりし、一つの目的目指して協力するなど誰が予想しただろうか・・・・?

消して交わらないであろう、江戸(国)を守ってきた者たちと万事を守ってきた者たち。彼らが手を組むことにより、この事件の元凶を撃つことができるだろうか?しれは分からないが、きっと大丈夫、彼らが手を組めば、最強だから。



銀時はふとなにか思い付いたようにそそくさと何処かへ向かう。向かった先は道場だ、そこにいたのは真選組副長、土方であった。数ヵ月かん放置されていたとはいえ、この道場も、屯所全体も人がすめるくらいに整備されている。

「何のようだ?」

「イヤー、鬼の副長さんはこういうときなにして過ごすんだろうなーって思っただけさ」

ふざけたような口調と表情でいい放つ、それにあきれて土方は大きく溜め息をつき、そのまま互いに黙ってしまった。数分間の沈黙の末、その空気を壊したのは土方の方だ。


「江戸を出るときお前と話した酒の事だがな、まだ用意できそうにねえぇ」

「......そりゃそうだろ。この一件の方がついて、お前らがまたこの場所で真選組として戻って来たとき、それまではお預けだ」



お前らが戻ってくるまで屯所(この場所)は俺達万事屋が守ってやったから心配すんな。と
真選組がいなくなったこの屯所がなぜ今も残されているのか......それは銀時たちが役所に頼み込みですそのままにしてもらっているからだ。もしこいつらが戻ってきても、屯所がなければ、こいつらの帰る場所がなければ....そう思い、毎日、交代で様子見や掃除など最低限の事をしてきたのだ。またいつか、この場所に帰ってくる彼らのために....


「そうかい、んならなおさらこの戦負けるわけにはいかねぇな」


時間は緩やかに、けれど確実に一人一人に流れ、刻まれて行く。また、一日が平然とくれて行く。決戦の時が近づくにつれ、奇妙な一体感が生まれる。また、こんな風に過ごせたら......という平和ボケした考えが脳裏によぎる。
なぜだか昼も夜もかかわらず、宴会のように騒ぎだす男とたち、それをよそに神楽はまた一人縁側で風に当たっていた。するりと肌を撫でるそれは夜風ほどヒンヤリしていないが、今の神楽には、妙に心地いい。そんな神楽のもとに、また一人やって来た。

「ほんとに好きだな。兎は寂しいと死んじまうとは聞いたことあるが、夜兎は賑やかだと死んじまうのかい?」

また、腹黒い顔をした沖田だった、手にはジュースの入ったコップを二つ、片方を神楽に渡して、横に座る。

「フッん、柄にもなくキザっぽいことすんなよな」

と憎まれ口を叩きながらも、ジュースを口にする。そういえば、こいつとこんな普通に話をしたことが昨日今日以外にあっただろうか?もしあったとしても、ほんの少しだろう。会えばいつでも何処でも喧嘩、喧嘩でそれでも、互いの事を他の誰よりも理解できていると思う間柄になっていた。


「お前らは、この戦いが終わったら、また江戸(ここ)を出るアルか?」

「嗚呼、そうだな。まだやり残したことが一杯あんでい、ん?なんだ?チャイナ、柄にもなく寂しがってんのか?」
作品名:帰る場所 弐 作家名:季瀬