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同調率99%の少女(7) - 鎮守府Aの物語

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「明石さんがそこまで言うならいいか。ただし神通は届いてから同調のチェックで合格できなかったらすまないがナシだ。そこだけは守ってくれ。」
「やった!! うん。おっけーオッケー!」
 那美恵は提督の言葉を聞いて両手でパンッと手を叩いて声を上げる。
「ただ俺が少し気になるのは、複数の艤装を同調して使いまわして本当に大丈夫かという点なんだが……。」
「まぁ、使う本人は異なる艤装の同調をするので精神的に疲れるかもしれませんから、その点は那美恵ちゃんは気をつけて那珂ちゃん、そして川内ちゃんになっていただくべきかと。」
 提督は装着者である那美恵をやや心配し始める。明石も心配ながらも艤装の技術者らしいフォローの言葉を発した。そんな提督と明石から承諾の意を受けた那美恵は頭を振って、自身の狙いの真意を話し始めた。
「あー、二人ともちょっと勘違いしてる? あたしね、別に本気で川内や神通という艦娘になる気はないよ。」
「「?」」
 提督と明石は?な顔をして那美恵を見る。
「自分が使える艤装じゃなきゃダメって防衛省の偉い人が言うならさ、一度同調してあたしのものにしておけばあたしが自由に持ち出せるでしょ?」

 提督らはなるほどと相槌を打った。
「そーやって理由付けできるなら、糞真面目で律儀な提督だってすっきりOK出せるでしょ。」
 言葉の最後の方はゆっくりねっとりとした口調でもって皮肉気味に提督に視線とつきだした唇を向けて那美恵は言った。提督はその仕草の真意に気づいてかいおらずか、こめかみをわざとらしくポリポリと掻いて口を開いた。
「……さすが光主さん。わかってらっしゃるわ」
「エヘヘ〜。提督の真面目さなんてすーぐにわっかりますよぉ〜〜だ。提督の顔立ててあげるんだから感謝してよね?」
 那美恵は、提督が何か物事に対して正当な理由、筋がはっきり見いだせないと動けないという、誠実であるがゆえの融通の効かない点を察していた。


--

 那美恵と提督が話している姿を、妙高と並んで後ろに立って見ていた五月雨がポツリとつぶやいた。
「提督のことわかってるなんてすごいですね〜。私なんか最初からいるのにあまり……。」
 それが聞こえたのは妙高だけだったので、妙高は五月雨の肩を抱いて、彼女に顔を横から近づけてささやく。
「五月雨ちゃん、人それぞれなんだから。あなたはあなたのペースで提督のお側で一緒にお仕事をして、彼の役に立って支えてあげればいいのよ。」
 と小声で、まるで母親が娘に言い聞かせるような雰囲気を出して言葉をかけていた。

--

 そんな五月雨たちの小さなやりとりに気づくはずもない提督は、那美恵をべた褒めして彼女を照れまくらせていた。
「光主さんはすごいわ。機転が効くというか発想がすごいというか。ほんっと助けられてる。」
 横髪をくるくるいじりながら那美恵は言葉を返した。
「いやだなぁ〜提督ぅ〜。あたしおだてても何も出ないよぉ〜?ちょうきょ…支援してあげてる甲斐あるなぁ〜」
「……おい待て。今調教って言いかけなかったか?」
「気のせい気のせい。」

 那美恵の冗談で言った一言を問い詰めようとした提督はツッコミを入れる。そんな提督からのツッコミに那美恵は手のひらをブンブン振って一応否定するのだった。


--

「そうだ。今日時間まだあるか?」
 提督は那美恵に尋ねた。
「うん。あるよ。みっちゃんも大丈夫だよね?」
「えぇ。大丈夫。」

 那美恵たちの返答を受けて提督は続ける。
「今から工廠に行って念のため川内の艤装の同調チェックしてみるか?」
「え!?今から持ち帰っていいの?」
「……いや、確認するだけだよ。それに今から持ち帰っても大変だろ。」
「そっか。エヘヘ〜」
 提督がもう持って帰れる手はずをしてくれるのか素早いなと那美恵は勘違いしてしまった。提督の言葉を受けて明石は準備してきますと言い、先に工廠へと戻っていく。

「じゃあこの場での打合せはお開きとして、工廠に行こうか。光主さんたちは当然行くとして、五月雨、付いてきてくれるかな?」
「え?私も行っていいんですか?」
「あぁ。今日の秘書艦の仕事は妙高さんに全部任せてるからさ。五月雨には後学のために一緒に見ておいてほしいんだ。」
「はい。わかりました。」
 元気よく返事をする五月雨。那美恵はそれを微笑ましそうに眺めた。
 その後荷物をまとめて那美恵と三千花も執務室を出る準備をする。数分後提督、那美恵、三千花、そして五月雨は遅れて工廠へと足を運んだ。