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同調率99%の少女(7) - 鎮守府Aの物語

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 三千花が川内の艤装と同調できてしまったので、明石は同調率を確認する。

「中村さんの川内の艤装との同調率は81.17%です。ギリギリですが合格範囲内です。どうします?このまま川内ちゃんとしてやってみませんか? ねぇ提督?」
「そうだな。俺としても勧めたいな。光主さんと仲の良いあなたが那珂の姉妹艦をやってくれるといろいろ助かるシーンもあると思うんだ。中村さん、どうかな?」

 三千花はしばらくの沈黙ののち、口を開いた。
「なみえがやってるって知ってから、艦娘に興味はあるといえばあるんですけど、私がやるのはなにか違うなーと思うんです。それに私はなみえと違ってはっきりした意欲を持つことはできなさそうですし。多分なみえも私が艦娘やるのを求めてないと思うんです。そうでしょ、なみえ?」

 同意を求められた那美恵が答える。
「うん。そうだねぇ。まさかみっちゃんが同調クリアできるとは思わなかったから驚いたけど。」
 提督はそれに食い下がる。
「もしかして二人とも、中村さんの同調率が低いこと気にしてたりするのか? だったらそれは……」

 提督の言葉を遮って那美恵は首を横に振って答える。
「ううん。別にそういうことを言っているんじゃないの。同調率はひとまずの結果でしょ?あとは本人の訓練とやる気次第で今後どうにでもなんとでもなるって思うし。あたしはね、全く知らない新しい人を探して艦娘部の仲間に入れて広げてみたいんだ。知り合いだけで固めるんじゃなくてぇ、色んな人を仲間に入れるの!そのほうが絶対うちの鎮守府面白くなるって思うから。そしてみっちゃんにはね、うちの学校からそういう面白くなる人を探したり陰でサポートしてくれる立場にいて欲しいの。」

 那美恵が話している間、提督と明石は顔を見合わせたり頷いたりするも言葉を挟まずに那美恵の想いを聞き続けている。三千花はその言葉を聞いて、親友が同じ思いであったことに安堵して目を閉じつつ口元を緩ませた。三千花自身まったくやる気がないわけではなかったし実のところ艦娘には少なからず興味があったが、親友のやることを叶えてあげるにはいつも一歩引いてきた。今回もそうすべきだと判断していた。
 那美恵の考えと三千花の意思の向く先が固まった。そのことを理解した提督と明石は少々もったいないと思っていたがそれを表には出さず、本人たちの意思を尊重し三千花を艦娘に誘うのをやめた。
 最後に三千花は提督と明石をフォローするために言った。

「でもまぁ、こうして艦娘になる一歩手前を経験出来たのはよかったと思いますよ。学校で艦娘部設立を手伝うのに役に立つかもしれません。」
「そーそー。もしかしたら学校でみっちゃんには川内の艤装つけて何かやってもらうかもしれないしね〜」
 三千花が綺麗に締めて終わらせようとしていたところに、那美恵は茶化しを入れてその場を和ませた。
 結局三千花の艤装の試験はなかったことなり、純粋に彼女の経験のためだけの数分となった。そして川内の艤装は正式に、ただし一時的に那美恵のものとなった。後日川内の艤装は那美恵らの高校に輸送され、艦娘部設立までは生徒会管理のもと、校内での同調のチェック用の機材として高校内で使用されることになる。