桜の妖精なエドワードとロイのお話
〈桜の海〉
「桜の布団!」
庭に散ってしまった花びらを木の根元に掃き寄せたら、見事に白い山ができた。
集めた側からその上でエドワードがぴょんぴょん跳ねる。
「こら、せっかく集めたのにまた散らかるだろう」
口では嗜めてみるが、声音も甘いものにしかなっていないのが自分でもわかる。
その証拠にエドワードはちっとも止めるそぶりを見せない。
目を細めて花びらを散らす小さな妖精の姿を目に焼き付ける。
「せめて絨毯と言ってくれ」
自ら山を平らにして周りには広げて見せるとエドワードはさらに喜んだ。
「すっげえ!花びらの海みたいだ!」
彼にはそう見えるのだろう。
桜の海にダイブする君。
ころころと嬉しそうに笑いながら花びらの上を転げる。
今日はいい天気だから花びらもサラサラしていて気持ちがよさそうだ。
本気でもいないのに渋い顔をして見せるのが馬鹿らしくなり、箒を放り投げて自分もごろりと花びらの層を枕に寝転がった
青空と舞う花びらと、枝につき始めた鮮やかな葉が綺麗なコントラストを描いていた。
春の終わりは、もう、すぐそこ。
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作品名:桜の妖精なエドワードとロイのお話 作家名:はろ☆どき