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こらぼでほすと 散歩3

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真夜中あたりに台風は上陸した。歌姫様の本宅は、自家発電システムがあるので、医療関係は、そちらで賄われるから停電しても問題はない。ラボのほうも同様で、フラッグの稼動実験も、すいすい刹那はこなしている。すでに、レプリカントは某資源衛星に隠してあるので、本物の中古を借りてきて練習している。操縦に慣れるという程度なので、刹那も本気ではない。キラがシステムについては説明しているから、じっくり稼動をさせている。
「飛行時の換装とか無茶しないなら、それほど難しいことはないよ、刹那。形は古いけど、エンジンは今のを載せてあるからパワーも
スピードも今の機体と変わらないからね。」
「了解した。・・・・飛行中の換装は、それほど難易度が高いか? キラ。」
「宇宙空間なら慣性が働くから、エンジンを停止させても可能だけど、その時は舵が利かなくなる。そこだけ注意かな。重力下だと、結構、難易度は高いよ。かなり加速させておかないと落下させちゃうと思う。」
「ということは、宇宙で実際にやってみるしかないな。」
「うん、そうなるね。なんなら、外でやってみる? 今日ならレーダーも誤魔化せるから成層圏あたりなら可能。」
「いや、そこまではいい。」
「グラハムさんの技は、変態だからできるって言っておく。あの人は、かなり飛行技術が変態だから、ああいうこともできるんだと思う。」
 重力下で、飛行中に換装するグラハムは、飛行技術もだが、そこいらの感覚で、ものすごく秀でている。そこまで訓練する必要はない。刹那も、それは理解している。ニールを鹵獲しやがった、あの変態には、いろいろと言いたいこともあるのだが、刹那に近い技術を持っているのは事実だ。その愛機であるフラッグで、刹那は同じことをする必要はないからだ。あのレベルの敵が出てくることは、絶対にない。大手企業体が飼っているパイロットでは、そこまでのレベルには達していない。せいぜいが退役軍人であるから、攻撃されても撃退できる自信はある。
「技術が変態なのは理解している。あの男は、すべてにおいて変態だ。」
「あー僕も、それには賛成する。あの人、いろんな意味で変態だもんね。うんうん。というか、ショタの人だよね? 十代の頃に見初められたでしょ? 刹那。」
「ショタ? 幼児性愛者ということか? 」
「そーそー特区では、男の子が好きな人がショタコン。女の子が好きな人が、ロリコンって言うんだよ。」
「だが、あの変態、今でも俺を追い駆けているぞ? 二十歳を超えた俺は、ショタには該当しないだろ? 」
「グラハムさんの頭の中では、刹那は少年のままなんじゃない? 僕もギルさんから、そう思われてるし? 」
「なるほど、そういうものか。」
「最初のイメージってやつなんだろうね。」
 ああ、心に痛い、と、ハイネは管制室で会話を聞いている。プラントの最高評議会委員長様の変態度は高い。事実だが、自分んちのトップが、そういう変態なのは、とても心に刺さる代物だ。となりで、同じように会話を聞いているアスランも苦笑している。
「プラントの人間には聞かせられないな? ハイネ。」
「まったくだ。・・・・どうやら停電にはならなくて済みそうだ。中心が通過してるが、被害は無い。」
「それは有り難いな。・・・思っていたより風力が弱かった。まだ後半戦があるから油断はできないがな。」
「まあ、機材を吹き飛ばされることがなければ御の字だ。雨量は多いが、排水設備で賄える程度だしな。」
 ラボの地上には通信設備の一部と滑走路なんかがある。それから地下にあるラボが冠水することだけは避けたい。そこいらのことがあるので、MS組と整備部隊の一部は待機している。台風の多い地域だが、首都直撃は少ない。年に一度か二度のことだが、その場合は慎重に対処する。上陸して通り過ぎた後に、吹き返しがあるので、そこまでが待機の時間だ。今夜一晩かかる算段だから、ハイネもアスランも管制室で待機している。ちなみに、鷹と虎も、ラボの別の場所で待機中だ。地上は、かなりの風が吹いていて大木すら揺らしているが、地下は静かなものだ。キラと刹那がフラッグの実用実験をやっているのも地下なので、さほど支障はない。
 虎と鷹から通信で、一端、仮眠をとるから任せた、と、言ってきた。整備のほうも適当に仮眠しているので、とりあえずアスランとハイネが情報は確認している。気象図をチェックしつつハイネがコーヒーに口をつける。
「これ、明日も雨だな。ママニャン、起き上がれるかな。」
「ちょっと厳しそうだな。刹那のほうは、明日には終わるだろうが。・・・仮眠させて時間を過ごさせるとしようか? 朝にヘリは飛ばせられない。」
「じゃあ、そのつもりでアスラン、キラに声かけてくれよ。」
「了解。ママニールの検査結果が良好だといいな? ハイネ。」
「ここんとこ、大人しくさせてるから問題はないはずだ。問題は、この気圧変化だな。」
「うーん、こればかりは身体が慣れてくれないと、なんとも。」
 ずっと最初から気圧変化への対応ができない身体で、遺伝子が異常だったから、どうも、そこいらが対応できないらしい。以前よりは動けるようにはなったから、こればかりはクスリで回復できるものでもない。しょがねぇーなー、と、ハイネも他のデータの確認に移る。



 ロックオンは空港の待合で一夜を過ごしたが、キャンセル待ちの時間は、まだまだかかりそうだった。なんせ、昨日の客は、ほぼ、この空港に缶詰状態で順番に飛行機を待っている状態だ。降りた時間からすると、午後にならなければ自分の順番にはなりそうもない。

・・・・と、いっても、リニアに乗り換えても予約が取れるとは思わないしなあ・・・・

 リニアも同様だ。何時間かかるのか見当がつかないから、空港の外へ出るのもまずい。ハブ空港で乗り継ぎ者などが多いから施設は充実している。とりあえず予約待ちの確認をして、空港内のホテルに入ることにした。昨日は、すでに満員状態で入れなかったが、少しずつ客が減っているから入れた。シャワーを浴びて、ちょいと一眠りなんてことになって、些か寂しい気分だ。携帯端末でダーリンを呼び出しても繋がらないところをみると、「吉祥富貴」のラボあたりで何かしらやっているのだろう。
「考えるだけ無駄だな。一眠りしたらメシ食って、待つしかないか。」
 今日中に、あちらに到着すればいいさ、と、ベッドに転がって目を閉じた。まだロックオンは、リジェネと、ほとんど面識がなくてチケットの手配を優先的にできることを知らなかった。



 翌日の午後に、ようやく医療ポッドは開いたのだが、まだ検査が残っていて、そのままニールは看護士に拉致された。遺伝子情報の検査だけでなく、他にも検査を受けさせられるらしい。
「三時ごろには終わる予定だが、こちらに留めておくほうがいいと考えている。」
作品名:こらぼでほすと 散歩3 作家名:篠義