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こらぼでほすと 散歩3

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 ドクターも、ニールが倦怠感満載なのは診察で理解している。まだ気圧が不安定で、動けてはいるが、鈍いのだ。発熱には至らなくても、無理はさせたくないのがドクターの見解で、それにはレイもリジェネも納得している。ポッドは開いたが、本宅で待機予定とキラと刹那にメールを送ると、リジェネも、つまらなそうにソファに転がった。台風本体は通過したのだが、秋雨前線が、さらに居座っていて、まだ外の景色は雨模様だ。地下のニールの病室は、壁一面に外の景色を写している。横殴りの雨が地面に激しく打ち付けていて、とても台風一過という雰囲気ではない。
「うーん、うまくいかないな。」
「台風の前後は気圧が不安定だ。こればかりは、どうしょうもない。諦めろ、リジェネ。」
「違うんだ。せっかく、刹那が帰ってるから、ママとゆっくりして欲しいんだよ。僕が残念なのは、そこ。」
 リジェネのご意見に、レイも微笑んだ。確かに、そういうことだ。刹那たちマイスター組がいるなら、ママとゆっくり過ごして欲しい、と、レイも考える。自分たちもママの子供ではあるが、マイスター組は別格だ。彼らがいれば、ママは精神的に安定しているので、できるだけ一緒に過ごして欲しい。
「別に本宅でもいいじゃないか。刹那は、どこであろうと気にしないぞ、リジェネ。」
「まあ、そうなんだけど・・・でも、寺でゆっくりするほうが、ママにはいいと思うんだ。刹那の好きなもの作ったり、一緒に買い物したりさ。そういうのが、一番、ママを安定させる。」
 なるべくママには元気でいて欲しい。寝込まれると、リジェネは怖い。まだ風邪の時の出来事がトラウマで、寝込まれると怖いのだ。そこいらをリジェネが口にすると、レイも頷くが、きちんと反論された。
「ママは気圧変化に対応が効かない身体だ。どうしたって寝込むことはある。」
「そうだけど、なんか悲しくなるんだよ。」
「みんな、そう思ってる。おまえが健康管理してくれるようになって、ママのダウンは極端に減った。それには、みんな、感謝している。」
「・・・うん・・・」
「体力を徐々につけていけば、ダウンは、もっと減るはずだ。それは、時間のかかることだから、気長にやるしかない。」
「わかってる。」
 そこへシンからの電話だ。状況確認だったので、戻れないかもしれない、と、報告はした。あちらも雨模様だから、薄々は気付いているから反論もない。
「判明すんのは、いつぐらいになる? 」
「夕方になると思うが、予報では明日ぐらいまで雨だからな。期待はしないほうがいい。」
「おまえは、どーすんの? レイ。」
「今夜、こちらで過ごして明日はアカデミーに通学する。リジェネと刹那がいるから、問題はないだろう。」
「え? 刹那帰ってるのか? 」
「ああ、今はラボでキラさんと打ち合わせしているが夜には戻る予定だ。」
 そこで、シンが隣りで聞いている悟空と相談して、そういうことなら俺たちは見舞いに行かない、と、決めた。刹那がいるのなら、親子でゆっくりしてもらうほうがいい。寺に帰れるようになったらリジェネにメールで報せてくれるように依頼してシンからの連絡は切れた。



 夕方前に、ニールは開放されたが、あーだりぃーと腰を叩いている。このまま本宅で過ごせ、と、ドクターに言われて渋々、部屋に戻ってきた。検査結果は後日に判明するが、おおよそ、おかしなところはなかったので、ニールも安堵している。
「ごめん、帰れないみたいだ。」
 待っていたレイとリジェネに声をかける。お迎え便を担当してくれるつもりだったレイには悪いと謝ったが、いえいえと首は横に振られた。
「この天気で帰るほうが無謀ですよ? ママ。刹那が戻っています。今、ラボでキラさんと打ち合わせしているので、まもなく戻るでしょう。」
「え? 刹那、帰ってるのか? 」
「はい、ママが医療ポッドに入った後に到着しました。急に決まったようで、俺たちも後から知りました。」
 それだけでニールは、嬉しそうに微笑んだ。たまたま身体が空いて降りて来たのだろう。そういうことなら、早く体調を落ち着かせなけりゃ、と、呟いている。リジェネが、そのニールの腕に懐いて、ソファに座らせた。
「とりあえず休憩。何か飲んで、ママ。」
「いや、喉は渇いてないけど・・・」
「ダメダメ。水分補給はするべきだ。」
「じゃあ、お茶ぐらいかな。」
 リジェネが強引に、そう決めると、ニールも大人しく従う。そうでないと、リジェネが、ものすごい顔で睨むのだ。そんなに必死にならなくても、と、ニールは内心で呆れるのだが、いきなりダウンしたのがトラウマになっているのだろう、と、ハイネに言われて、大人しく言うことはきくようにしている。
「二日か三日は雨が続くようです。たぶん、明日には倦怠感は楽になってるはずです。」
「そうか。せっかく、刹那が戻ったのになあ。」
「本宅で休養して寺に帰ればいいですよ、ママ。刹那だって最低十日は滞在するはずです。」
「うん、それはわかってるけどさ。レイ、おまえさん、明日は? 」
「明日はアカデミーなので、明日の朝には失礼します。」
「予習とかはしなくていいのか? 」
「ここで待機中に、粗方、片付けました。お茶を飲んだら横になりましょうね? ママ。無理する必要はありません。」
「はいはい、わかってるよ。・・こう・・なんていうのかな・・・肩のあたりに重石乗ってるよーな感じなんだ。随分と重石は軽くなってんだけど、なかなか軽くはならない。」
「それは徐々に回復するものだから、焦っても仕方ありません。・・・雑誌でも持ってきましょうか? 」
「そうだな。生活情報誌みたいなのを探してきてくれ。」
「了解です。」
 横になっているだけなのも退屈だろうから、本宅のライブラリーから、そこいらの雑誌を運んで来ることにした。内線で連絡を終えたリジェネが戻って来て、ニールの腕に懐いているので、一人にはならない。
「刹那は、もうちょっとかかるみたい。」
「夜には戻るのか? 」
「うん、それぐらいだと思う。キラたちも一緒に戻って来るって。」
「店は? 」
「今日は予約がないから休みだって。熱は? 」
 リジェネがニールの額に手をやるが、熱くはない。大袈裟な、と、おかんは笑って、外の景色に目を遣っている。曇天の薄暗い感じで、雨は見えるほどに降っている。台風の後から続いている秋雨前線が通過しないと、この雨は止まないらしい。
「あ、電話。俺の携帯端末は? 」
 とりあえず予定通りとはいかないので、寺の亭主に連絡しておくことにした。米さえ炊いてくれれば、おかずは冷凍やら冷蔵しているので、二、三日なら、なんとかなる。すいません、と、亭主に謝ったら、別に構わない、と、おっしゃった。
「長くても三日というところです。」
「じゃあ、戻ったら-ポン酢のおひたしだな。帰りにビールを箱で買って来い。もう在庫が危ないぞ。」
「あれ? ・・・・あんた、それ、飲みすぎですよ。いくら休みだからって・・・」
「ハイネと酒盛りしたからだ。俺が一人で飲んだんじゃねぇー。」
「ああ、そうなんだ。刹那が戻ってるんで、寺に帰る時は一緒に帰ります。」
「おう。おまえ、またオムライスか? そろそろ新しいもんを用意してやれよ。」
「すき焼き? 」
作品名:こらぼでほすと 散歩3 作家名:篠義