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敵中横断二九六千光年3 スタンレーの魔女

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機械の密林



変電所の中は機械の密林だった。敷井は眼の前の光景に圧倒される思いだった。他の者らもアッケにとられて前に広がるものを見る。

「嘘だろ……」「なんだこれ……」

誰からともなく声が出た。高さ10メートルかそこらのボーリングのピンのようなものが、ボーリングのピンのようにドカドカと並び立っている。おそらく変圧器とやら言うものなのだろう。かつて地上の街で見かけた電信柱の上に載っていた変圧器――あのゴミバケツにあれこれくっつけたようなもの――を大きくしたような見かけなのでそれとわかるが、ともかくデカい。

それが林立し、上の方では木が枝を広げるように電気ケーブルやパイプを四方に伸ばしているのだから、まったく『機械の密林』としか呼びようのない光景だ。さらにハシゴやラッタルがひとつひとつに蔦(つた)のように絡まりついて、キャットウォークで他の変圧器と繋がっていた。

「ここが施設の心臓部です」宇都宮が言った。「まっすぐ行けば管理部ですから、石崎がいるのもそこ……たぶん、〈橘の間〉という部屋だと思うんですが……」

「タチバナノマ?」

と、大平が言ったときだった。床でバチバチと火花が弾けた。音が空間に反響する。

フルオートの銃声。そして火花は跳弾によるものだった。タマを喰らって大平が倒れた。続く銃弾が床を撃ち、跳ね返って設備の中を跳ね回る。

そして薬莢が降ってきて、床にバラバラと散らばるのを敷井は見た。これはつまり――そう考えて上を仰ぐ。数メートルの高さに渡されたキャットウォーク。そこに男がひとりいた。〈AKライフル〉でこちらめがけてダダダダダと撃ってきている。

「うわあっ!」

叫んで尾有が倒れた。敷井は転がるようにしてその場から逃げ出した。他の者らも四方に散らばる。

撃ってきたのは無論〈石崎の僕(しもべ)〉だろう。そしてひとりだけではなかった。宙に張り巡らされた回廊。その上に、あちらからこちらからと次々に銃を持った者が現れ、敷井達のいる方めがけてバリバリぶっぱなし始める。弾ける弾丸。銃声の反響。そして降る降る薬莢の雨。

応戦など思いもよらない。敷井は逃げ惑うしかなかった。