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敵中横断二九六千光年3 スタンレーの魔女

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熱冷まし



藪は自分の〈服〉についた温度計のメーターを見た。《200》を超えていた数値がみるみる下がっていくのがわかる。火災で発した煙も流れて部屋から出て行き、視界が晴れつつあった。

斎藤が着ていたのと同じ船外服の者らが、まだ火を噴いてる機械に斧を振り下ろし、配線をちぎって消火剤を吹きかけている。

『もう大丈夫だろう。よくやったな』

通信機にまた徳川機関長の声が入ってきた。

「はあ」と応えた。「何がどうなっているんです?」

『何、簡単なことさ。空気を換気させたんだよ』

別の声が通信機に入ってくる。この部屋にいる技術科員のものらしい。

『機関室の右と左の送風機を設置して、外の冷気があっちの口から入ってこっちへ流れるようにしたんだ。今この船の中は機関室だけ二百度で、他はマイナス百度だからな。マイナスの百の空気がドーッと流れ込みゃあ、この部屋だってイヤでも冷える』

「ははあ」

『火はおれ達でなんとかする。機関員も追っつけ戻ってくるだろう。それまで〈予備システム〉ってやつを見てやってくれないか。おれ達にはよくわからないからな』

「あ、はい。いえ、でも……」

『大丈夫だ』と艦橋からの徳川の声。『わしがこっちでモニターしているからな。お前はわしの指示通りにすればいい』

「はい」

と言ってその部屋を出る。見るとなるほど通路の先で、直径が1メートルはありそうな大きなプロペラが風を送っているらしいのが見えた。