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敵中横断二九六千光年3 スタンレーの魔女

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僕の最期



「おい、〈はんぺん爆弾〉ってなんだ」

と銃剣を持った兵士が、血まみれで床に転がっている〈石崎の僕(しもべ)〉に対して言った。腕がちぎれて口から血泡を吹いている。

「言えよ。楽に死なせてやるから」

「う……うるさい……」と〈僕〉は強がりながら、「き……貴様も……のたうって死ね……」

「そんな凄い爆弾なのか?」

「ええと……」と言った。困ったように、「そ、そうだ……」

「ハッタリだな」

「ち、違う」

「へえ」と言った。「違うんなら、ハッタリと思わせたままの方がいいんじゃねえのか?」

「え、それは」

「どっちなんだよ」

「う、ううう……」

苦しげに言う。無論、瀕死の状態でもあるのだが、傷のせいで苦しんでいるのか返答に窮して苦しんでいるのか見てもよくわからなかった。

「へっ」

と兵士がバカにした顔で笑う。その笑いを最後に耳に聞きながら〈僕〉の男はガクリと首を垂らした。独裁者の〈愛〉にすがった愚かな男のみじめな最期と言うべきかもしれなかった。

変電所に突入した者らには、石崎の演説はほとんど効いていなかった。それどころか、逆効果になるだけだったと言っていい。石崎がどこかで何かやらかすたびに、常に起きてきた現象とも言える。あの男のやることなすことはともかくしょうもないために、聞いたマトモな人間はあきれてまず首を振るのだ。

〈ハイペロン爆弾〉などと聞いてうろたえるのはよっぽどのバカだけだった。特に言ったのが石崎では、誰もが、『ああ、またいつもの』と思ってそれでおしまいなのだ。もはや石崎に打つ手はなく、もう逃げ道も塞がれたと自分で宣伝したに等しい。

「で」

と兵士は、もう動かない〈僕〉の体に向かって言った。

「どこにいるんだよ、お前のセンセは」