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機動戦士ガンダムRSD 第20話 さまよう眸

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ステラ少尉は、朝早くから浜辺ではしゃいでいた。
アウル少尉は、自室から無邪気な様子を眺めていた。
 室内では、スティング少尉が書類をまとめていた。

            ※

 デュランダル大統領は、連絡用ジェットファンヘリに乗り込みワシントンに足早に戻って行った。

            ※

 アスラン中将は、自室で目覚めた。
すると布団が隣で盛り上がっていた。
不審に思い布団をめくるとルナマリア少尉が下着をつけずにベビードール姿で寝ていた。
アスラン中将は、その状況に驚きベッドから落ちてしまった。
その音でルナマリア少尉が起きた。
しかしルナマリア少尉は、寝起きで状況把握が出来ていなかった。
 その時運悪くシン中尉が部屋の前に来てノックした。
「おはようございます、隊長」
 シン中尉がアスラン中将にあいさつした。
その時漸く事態を把握できたルナマリア少尉が表情を引きつり悲鳴を上げようとした。
「お目覚めでしょうか?
よろしければダイニングにご一緒にと思いまして」
 アスラン中将は、それに気づきとっさにルナマリア少尉に馬乗りになり口を手でふさいだ。
「今いく。
ちょっと待っててくれ」
 アスラン中将は、シン中尉にちょっと待つように言った。
「俺が少し時間を作るからベッドの下に隠れるんだ。
いいな?」
 アスラン中将は、ルナマリア少尉に指示を出した。
ルナマリア少尉は、うなずいた。
そしてアスラン中将は、軍服に着替えルナマリア少尉はベッドの下に隠れた。
 アスラン中将は、扉を開けた。
「遅くなってすまない」
 アスラン中将は、シン中尉に謝罪した。
「いいえ。
徹夜までお仕事をしていたんですか?
中将やらフェイスで仕事量が多いのは、わかりますが睡眠をとらないとお体に障りますよ」
 シン中尉は、アスラン中将に忠告した。
「以後気をつけるよ」
 アスラン中将は、シン中尉に約束した。
アスラン中将としては、1分1秒でも早くこの場から去りたかった。
しかしベッドの下に隠れたルナマリア少尉は、ベッド下の埃に耐え切れずくしょみをしてしまった。
それは、シン中尉も聞いた。
「今のは、何ですか?」
 シン中尉が不審に思いアスラン中将に質問した。
しかしアスラン中将は、戸惑うばかりで明白な回答が出なかった。
「失礼します」
 するとその声が聞き覚えがあると気付きシン中尉は、部屋の中に入って行った。
「おい」
 アスラン中将は、何とか止めようとしたができずにシン中尉は声が聞こえたベッドの下を見た。
そしてそこに隠れてるルナマリア少尉を見つけた。
するとシン中尉は、ため息をついた。
「出てこい」
 シン中尉は、ルナマリア少尉に命令した。
「はい」
 ルナマリア少尉は、諦めた感じで出てきた。
「朝食抜きで部屋の掃除をしろ」
 シン中尉は、ルナマリア少尉に罰を命じた。
ルナマリア少尉は、不満をあらわにした。
「返事は?」
 シン中尉は、低い声で確認した。
「はい」
 ルナマリア少尉は、声に圧倒され返事をした。
シン中尉は、アスラン中将に近づいた。
「部下が不祥事をおこし申し訳ございませんでした」
 シン中尉は、アスラン中将に頭を下げて謝罪した。
アスラン中将は、なんて言っていいか分からずに言いよどんでしまった。
そしてシン中尉は、部屋を出た。
残された2人は、しばし呆然としていた。
「どういうことだ?」
 アスラン中将は、我に返ってルナマリア少尉に怒鳴るように説明した。
「すみません。
夜中に部屋を出て間違えて隊長の部屋に行ってしまったみたいです」
 ルナマリア少尉は、素直に答えた。
「何でこの部屋に入れた?」
 部屋は、全てオートロック式で内側から設定すればフロントに行かなければ絶対に開くはずがなかった。
「隊長がオートロックを設定し忘れたのでは?」
 ルナマリア少尉が部屋に入れた可能性を言った。
アスラン中将は、昨晩の記憶を思い起こした。
そういえばオートロックをかけた記憶がなかった。
アスラン中将は、頭を抱えた。
「シンのいうとおりだな」
 アスラン中将は、今後あまり徹夜をしないように決めた。

           ※

 ハイネ大佐は、食堂で1人紅茶を飲んでいた。
「え?
大統領は、もう発たれたの?」
 その時話し声が聞こえた。
すると軍服を来た男女が話しながら近づいてきた。
「そうよ。
お忙しい方だもの。
昨日お話しできたのが不思議なくらいでしょ、ほんと」
 マユ少尉は、シン中尉の質問に機嫌悪く答えた。
「まあ」
 シン中尉は、妹の不機嫌さの要因が分からず戸惑っていた。
「お兄ちゃんは、いいわよね。
昨日は、いっぱいお話ができて今日はオフだし。
ルンルンだわよね」
 マユ少尉は、嫌につんつんしていた。
「どうしたの?」
 シン中尉は、たまらず何があったか聞いた。
「別に」
 マユ少尉は、つんつんしながら答えた。
「お前達は、昨日のミネルバのひよっ子だろ?
もう1人のフェイスの奴は、どうした?」
 近くを通りかかった2人にハイネ大佐が声をかけた。
マユ少尉は、まずこの人が誰なのか考えた。
「失礼いたしました、おはようございます」
 しかしシン中尉は、とっさにその人物もフェイスのバッジをつけているのに気付き敬礼し挨拶した。
それを見習ってマユ少尉も敬礼した。
「隊長は、もうじき来ると思われます」
 シン中尉が答えた直後入り口方向からどっぷりと疲れた表情のアスラン中将とラクスが歩いてきた。
「なるほどね。
分かった分かった、サンキュウ」
 ハイネ大佐は、布巾で口の周りを拭くと立ち上がった。
「おはようございます、ラクス様」
 ハイネ大佐は、ラクスに敬礼し挨拶した。
アスラン中将は、ハイネ大佐に気付くと顔をきりっとさせ敬礼した。
「おはようございます」
 ラクスも丁寧に挨拶した。
「昨日は、お疲れ様でした。
基地の兵士達もたいそう喜んでおりましたね。
これでまた士気も上がることでしょう」
 ハイネ大佐は、ラクスの慰安ライブを高く評価した。
「ハイネ様も楽しんでいただけましたか?」
 ラクスは、ハイネ大佐に楽しんだか聞いた。
「はい、それはもう」
 ハイネ大佐は、ラクスが傷つかないように嘘をついた。
「昨日は、ゴタゴタしててまともに挨拶も出来ませんでしたね」
 ハイネ大佐は、アスラン中将に詫びた。
アスラン中将は、自分の方こそ不祥事でだらしない表情をしていたことに謝罪したかった。
「特務隊、ハイネ・ヴェステンフルス大佐だ。
よろしくお願いします、アスラン中将」
 ハイネ大佐は、アスラン中将に握手を求めた。
「こちらこそ。
アスラン・ザラ中将です」
 アスラン中将は、そういうと握手に応じた。
「知ってますよ、有名人」
 ハイネ大佐は、アスラン中将に自己紹介は不要だと言った。
3人は、それを聞いて改めて「アスラン・ザラ」がどれほどの有名人か認識した。
「復隊したって聞いたのは最近でした。
前は、クルーゼ隊にいたんですよね?」
 ハイネ大佐は、アスラン中将に所属部隊を確認した。
「はい」
 アスラン中将は、肯定した。
「私は、大戦の時はホーキンス隊でね。
ヤキン・ドゥーエでは、擦れ違ったかな?」