機動戦士ガンダムRSD 第20話 さまよう眸
ハイネ大佐は、アスラン中将と戦場ですれ違った可能性を言った。
アスラン中将は、大戦時は必死に戦っていたためオレンジ色の機体があったかどうかなど気に留めていられなかった。
「ラクス様。
ラクス様には、今日の打ち合わせが御座いますので申し訳ありませんがあちらで」
するとマネージャーがラクスに声をかけた。
「仕方ありませんわね。
ではアスラン、また後ほど」
ラクスは、しぶしぶアスランに別れを言うとマネージャーたちと共に去った。
「はい」
アスランは、こういうしっかりしたときのラクスの姿に圧倒されていた。
「仲いいんですね、けっこう」
ハイネ大佐は、そのやり取りを微笑ましく見ていた。
「いや、そんなことは」
アスラン中将は、普通ではないかと考えていた。
「いいじゃないですか、仲いいってことはいいことですよ?
うん」
そういうとハイネ大佐は、そういうと再び席に着いた。
アスラン中将は、適当に返事をした。
「ところでこの3人と昨日の赤髪と金髪の全部で5人ですか。
ミネルバのパイロットは」
ハイネ大佐は、ミネルバのパイロット数を確認した。
「はい」
アスラン中将が答えた。
「インパルス、ザクウォーリア、セイバー、そしてザクファントム2機か」
ハイネ大佐は、今度はモビルスーツを確認した。
シン中尉とマユ少尉は、その真意が分からなかった。
「はい」
アスラン中将が再び答えた。
「そして中将はフェイスですよね、艦長も」
ハイネ大佐は、フェイスに任命された人物も確認した。
アスラン中将も戦力確認とは、いえ過剰ではないかと思えてきた。
「これにガーティー・ルーの戦力も加わるから戦力としては、十分すぎるんだよな。
なのに何で俺にそんな艦隊に行けと言うかね、大統領は」
ハイネ大佐は、それなのになぜ自分がファントムペインに配属されたのか分からなかった。
その言葉にシン中尉とマユ少尉は、驚いた。
「ミネルバに乗られるんですか?」
アスラン中将が確認した。
「そういうことです。
休暇明けから配属です」
ハイネ大佐は、配属時期を言った。
シン中尉とマユ少尉は、新たな戦力に期待した。
「艦の方には後で着任の挨拶に行くがなんか面倒くさそうですね、フェイスが3人というのは」
ハイネ大佐は、苦笑しながら言った。
「いえ、そんなことはないと思いますが」
アスラン中将は、否定した。
「まあ、どうでもいいですね。
現場は、とにかく走るだけですし。
立場の違う人間には、見えてるものも違うって言いますし。
とにかくよろしくお願いします。
大統領期待のファントムペインです。
なんとか応えてみせましょう」
ハイネ大佐が3人を鼓舞した。
「はい、宜しくお願いします」
アスラン中将は、そういうと敬礼した。
2人もそれに見習って敬礼した。
※
ドゴス・ギアの艦内でシグマン少佐は、マーネリー軍曹と会った。
「元気か?
なんだか調子悪そうだけど」
シグマン少佐は、マーネリー軍曹が元気がなさそうなのに気付いた。
「普通です」
マーネリー軍曹は、気丈にふるまったが元気がないのは明らかだった。
しかしその要因を無理に離させることは、できずシグマン少佐もマーネリー軍曹も黙り込んでしまった。
その時マーネリー軍曹が意を決した。
「何だ?」
シグマン少佐は、何があっても大丈夫なように身構えた。
「アクシズに上陸したとき手紙をもらったんです」
マーネリー軍曹は、衝撃的な告白をした。
それにシグマン少佐は、驚いた。
「ラブレターをもらうだけでも初めてだったんですがシグマンとのデートの約束で舞い上がってて忘れていたんです」
マーネリー軍曹は、元気がなかった理由を言った。
「それってやっぱり本命だよな?」
いたずらであれば少し安堵できるがシグマン少佐は、そうではないと直感的に感じた。
「そうだと思います。
サオトメ大佐がいたことによって私たちにいたずらすると死神に命を狩られるという噂が出来ましたから」
マーネリー軍曹も手紙が単なるいたずらではないと考えた。
「そうか。
そうなると差出人は、断られたわけか」
シグマン少佐は、不意に差出人が気の毒に感じれた。
「それがですね。
断りたかったんですが名前も待ち合わせ場所も書いて無くて困っていたんです」
マーネリー軍曹は、ラブレターが差出人不明であることを言った。
「それは、仕方ないな。
その誰かさんには、悪いが」
しかし優しいマーネリー軍曹は、納得がいかなかった。
それこそ愉快犯によるいたずらの可能性があったが今の2人には、そこまで考える余裕がなかった。
(こんな衝撃的な話題なのに普通に話せるな)
シグマン少佐は、もっと自分が混乱し何も言えないと思っていたが普通に話せる自分に驚いていた。
「そうそう。
先ミサキ中尉に逢ったんです」
マーネリー軍曹は、暗い話題から明るい話題に替えた。
(もう少し独占欲があるかと思っていたがそうでは、なかったのか?
これでは、前の関係と変わっていないような)
シグマン少佐は、マーネリー軍曹の話そっちのけで自問自答を繰り返していた。
「あの、聞いてますか?」
マーネリー軍曹は、自分の顔をシグマン少佐の顔に近づけて聞いた。
シグマン少佐は、びっくりしてのけぞった。
「聞いてる。
ミサキ中尉の話だろ?」
シグマン少佐は、マーネリー軍曹が先ほど話した話題を言った。
「聞いてないじゃないですか。
ミサキ中尉の話は、もう終わってます」
マーネリー軍曹は、たった今自分が話した話題を言おうとした。
(やわらかそうな唇だな。
いつかあの唇と触れ合うのか。
そういえばサオトメ大佐は、もうアイリスと済ませたのかな?)
シグマン少佐は、マーネリー軍曹の唇にくぎ付けになっていた。
「どうしたんですか?
なんだかぼおっとしていますよ。
大丈夫でしょうか?
体調がすぐれないのなら次の任務は、外れますか?」
マーネリー軍曹は、シグマン少佐を心配した。
「大丈夫。
早く行かないと」
シグマン少佐は、やましい考えを悟られないように必死にごまかした。
※
ジブラルタルの港では、カモメが自由に飛んでいた。
「しかし驚いたよ。
コロニー軍の最高指導者が来てくれるとはよ」
巷では、コロニー軍ーナチュラルについて話されていた。
「なんか同じようにこの辺の街を少し回っていくんだって」
1人がアダム総帥の動向を言った。
「前の戦争の時は、敵だ敵だって戦ってさそれが今ではこうだもんな。
ほんと分からないな」
1人が国家関係の複雑さを言った。
「ナチュラルなんてやっぱり劣等者というイメージがあるけどあの乱暴者の連合軍に比べたらマシだよ。
ちゃんと紳士じゃないか」
1人は、ナチュラルの方が接しやすいと感じた。
※
ミネルバの艦長室では、タリア艦長が新しく配属されるハイネ大佐の資料に目を通していた。
(ただの補充兵じゃないわよねえ、やっぱり。
まったく。
何を考えてるのかしら、あの人は)
タリア艦長は、デュランダル大統領の思惑が読めなかった。
※
作品名:機動戦士ガンダムRSD 第20話 さまよう眸 作家名:久世秀一