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機動戦士ガンダムRSD 第20話 さまよう眸

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しかし戦闘用コーディネイターとして教育されたステラには、シンの言っている意味が分からなかった。
するとまた何かに気付いた。
「じゃあこれは、火炎放射器?」
 ステラは、高圧洗浄機を指さした。
「それは、高圧洗浄機と言って炎ではなく水を出す。
目的は、清掃な」
 シンは、素早く突っ込んだ。
売り場を歩いていたステラは、再び何かに気付いた。
「これは、絶対武器よね?
でも実用性は、乏しいけど」
 ステラが見つけたのは、チェーンソーだった。
「チェーンソーか。
確かに武器だが実用性は、乏しいな。
せめてダガーナイフだよな」
 一番有効な武器は、小火器であるがさすがにこんなところには売っていないためダガーナイフで我慢した。
「これも訓練で習ったの。
ここは、武器の宝庫だね」
 ステラは、洗剤を手にすると笑顔で言った。
「ただの洗剤だが」
 シンは、ステラが何を言っているのか分からなかった。
「うん。
確かこっちの洗剤と混ぜると有毒ガスが発生できるってネオが教えてくれた」
 ステラは、自分が教わったことをシンに教えた。
「そういう使い方じゃない。
絶対その使い方をするな」
 シンは、ステラが面白がってやってしまうのではないかと不安だった。
 2人は、ホームセンターを出た。
「疲れた」
 シンは、訓練以上の疲れを感じていた。
「とても楽しいところだった」
 ステラは、シンを見ながら笑顔で言った。
シンは、その笑顔で疲れが吹き飛び自然と微笑んだ。
「ホームセンターごときでそんなに喜んでもらえるならいつでも連れて行くよ」
 シンは、ステラにまだ見ぬ世界を見せてやりたかった。
「うん、約束だよ」
 ステラは、その時が待ち遠しかった。

            ※

 2人は、スーパーに入った。
「ブーステッドマン?」
 シンは、ステラから生体CPUの詳細を教えてもらった。
「ステラたちが生み出される前に造られた戦闘用コーディネーターなの。
コロニー軍のニュータイプに対抗してコーディネイターにγ-グリフェプタンを使用して戦闘レベルを極限まで高めてるの。
γ-グリフェプタンは、知ってる?」
 ステラがシンに質問した。
「γ-グリフェプタンは、カテコールアミンと呼ばれるストレスホルモンに由来してドーパミンやノルアドレナリンに似た神経伝達物質の一種でしょ」
 シンは、何とか答えることができた。
「でもこれは、強い依存薬物で効果が切れると強い禁断症状が出たり最終的に廃人になっちゃうの」
 ステラが薬物の危険性を教えた。
「でもステラたちエクステンデッドは、そんなこともなく戦闘以外は普通に暮らせるもんな」
 シンは、ステラがエクステンデッドであったことをありがたく思ったがやはり普通のコーディネイターであってほしかった。
その時ステラが買い物かごに玉ねぎをたくさん入れた。
「玉ねぎ、多すぎ」
 シンは、荷物が重くなるのを恐れた。
「玉ねぎは、嫌い?」
 ステラが無邪気にシンに質問した。
「そうじゃないけど」
 シンは、そういうと泣く泣く受け入れた。
 2人は、買いたいものを買い物かごに全て入れるとレジに並んだ。
「ブーステッドマンの経験があったからこそステラたちは、こうして普通に暮らせるまで成功したわけだもの」
 ステラは、ブーステッドマンの存在は無意味ではなかったと力説した。
「しかし何でファントムペインの俺もブーステッドマンを知らないんだ?
ポイントカードは、あるか?」
 シンは、自分がブーステッドマンの存在を知らなかった理由が知りたかった。
「ここに。
おそらくステラたちの秘密を漏らしたくは、なかったのかな」
 ステラは、憶測を言った。
「しかし仲がいいわね」
 レジのおばちゃんが2人を見て言った。
その言葉に2人は、何を言われたのか分からなかった。
「幸せな空気がにじみ出てるわよ」
 レジのおばちゃんが2人を羨ましく思った。
「うん。
ステラは、将来シンのお嫁さんになるの」
 機嫌をよくしたステラは、とんでもないことを言った。
瞬間シンは、絶句した。
「あらあら、それじゃあ今のうちに家事と料理は勉強しなくちゃね」
 レジのおばちゃんが笑顔でステラに言った。
 2人は、スーパーを後にし歩いていた。
「お願いだから今度からああいうことは、言わないでくれ」
 シンは、このままだとステラが先のことをいろんな人に言いふらしそうだったのでくぎを刺した。
「うん、わかった」
 ステラは、全く分かっていないように返事をした。

           ※

 2人は、買い物袋をミネルバとガーティー・ルーにおいていくと祭りに出かけた。
道端には、たくさんの屋台が出ていた。
(ステラは、戦争から解放されなくちゃならない。
だから俺が娯楽を教えるんだ。
一緒に笑って一緒に泣いて。
たとえ記憶を消されるとしてもステラの心に刻み続けるんだ。
隣にいて添い遂げるんだ、絶対。
 シンは、屋台でステラと共に楽しみながらそう胸に誓った。
シンは、輪投げ店でステラにかっこいいところを見せようと奮闘したがダメだった。
 その後シンは、お詫びとしてドネルケバブを買いベンチに座りおいしそうに食べた。

            ※

 帰り道ステラは、映画館前で立ち止まったがあいにく既に閉館していた。
ステラは、名残惜しそうに映画の看板を見ていた。
 2人は、ファミマに寄った。
「今日は、どうだった?
楽しかったか?」
 シンは、今日のデートの評価を聞いた。
「すごく楽しかったから満点だよ。
またやろうね」
 ステラは、無邪気に答えた。
「やっぱりすごいよな」
 シンは、ふとそんなことを言った。
「何が?」
 ステラは、首をかしげながら聞いた。
「デートはできるし俺たちと同じものは食えるしプールに行くは、映画館に連れて行けっていうし」
 シンは、日進月歩の技術力に脱帽していた。
「シンは、まるで浦島太郎ね」
 ステラは、無邪気にそんなことを言った。
故にシンは、かなりダメージを受けた。
「あいにく生体CPUの知り合いは、産まれてこの方いなかったからな」
 シンは、少し強めに言い放った。
「じゃあそろそろ行くか」
 隣のテーブルの3人の客たちが席を立った。
「今日は、おごるよ」
「え?良いの?」
「無理するなよ」
「大丈夫。
任せておけって」
 男は、そういうと請求書を取った。
「ごちそう様」
「じゃあ、飲みにでも行くか」
「お、いいね」
 そんなことを言いながら3人は、レジに向かった。
「行こうか」
 ステラは、そういうと請求書をとって立ち上がった。
「おごるわ」
 ステラの言葉にシンは、驚いた。
「さんざんわがままに付き合ってもらったお礼よ」
 シンは、そういわれてうれしくなった。

           ※

 2人は、最後に歩いて浜辺に向かった。
途中ステラは、雑貨屋の軒先で売られていたウィンドチャイムに興味を持った。
 しかし買わず買い忘れたガーティー・ルーに常備する日用品をスーパーで買った。
 そして屋台でスイーツを食べた。
最後に目的の浜辺に着くとステラは、嬉しそうに浜辺ではしゃいだ。
シンは、砂浜からその姿を微笑ましく見ていた。