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 赤井の車の後部座席にコナンを寝かせて、その頭を灰原は己の膝に乗せた。

「車を出すぞ」
そう一言断ると、黒づくめの男は思いのほか静かな加速を披露した。
その事に灰原は素直に驚きを抱いたが、それに男が気づいて苦笑を漏らした。
「お嬢ちゃんはベルトをしているがボウヤはしてないからな。急発進・急加速・急ハンドルは危険だろう?」

滑らかな走行をする赤い車の後方を、安室の白い車がついてくる。
二台の車は、水族館の騒動に殺到する各種業界の車と反対方向へ走行する為、比較的スムーズに米花町へと戻ってきた。

「で? 博士の家と言うのは?」
赤井は沖矢昴としては十分に知っているのだが、灰原が居る所でそれを暴露するのは甚だまずい為、まるで知らない風を装って訊ねた。
すると的確なナビゲーションを灰原が返してくる。
そうして、赤と白のスポーツカーは夜の暗がりの中、阿笠博士の屋敷へと滑り込んだ。

 「すぐにバスに湯を張るから、先ずはその汚れを落としてちょうだい。あっ。江戸川君の身体も一緒に洗って頂戴ね」
「えぇっ??」
「了解した」
二人は真反対の返答を返してきたが、灰原はその事にコメントを返さなかった。
「バスローブを出しておくわ。あと、二人の着替えはお隣のお宅から借りる事にするから」
「お隣のお宅?」
「ええ。江戸川君の親戚で、今はご両親とその息子さんは不在にしてるの。管理は江戸川君が任されている様だけど、大学院生が居候しているわね。あの人の体型なら二人に合う洋服があるはずだから、事情を話して借りてくるわ」
「沖矢さんのご迷惑にならなければいいのですけど・・・」
そう返してきたのは安室だった。
「あら、安室さんは沖矢さんをご存じなの?」
「えっ?・・・ええ、まぁ、ちょっとした勘違いから・・・」
「勘違い?」
「でも、問題は解決してますから、ご心配なく」
そう、と返事を返したところに、湯張りが完了したとの電子音が響いた。
「ぬるめの温度にしてあるから傷に沁みる事は少ないと思うけど、少しでも楽なように入浴剤を入れておいたからさっさと入って綺麗にしてきてね」
灰原はそういうと、コナンのポケットから鍵の束を探し出して隣家へと走って行った。
作品名:protection and attachment 作家名:まお