称号 (カカオ79%)
「そんなこと・・・あるわけない。」
「わかんねーじゃん。」
「だって、私はいつだって・・・」
「・・・?」
「勇が横にいないと嫌だ。」
「翼・・・」
「そうだよ!会わないなんて無視するなんて
最初から無理だよ!いるのが当たり前なんだもん!
他の人が横なんて嫌だ!勇がっ、
私は勇が欲しいんだから!」
勇が私の両手首を掴んだと思ったら再びひきよせられた。
と同時に唇が重なる。
フッと離れて、切なそうな顔をしたヤツが見える。
涙で姿が滲んでるのに、目だけはわかる。
「これも軽い気持ちじゃない。」
顔が火照ってどうしていいかわからない。
顔が熱い。
「・・・手、離して。」
「俺はお前の全部の称号が欲しい。
お前の幼なじみで、お前と家が隣で、
お前のクラスメートで、お前の親友でありたい。
それからお前の恋人にも・・・家族にもなりたい。」
「・・・かっ///、家族?!」
「とっ・・・とにかくお前の全てだよ!」
私は・・・勇は、女の子の私以外は
要らなくなったのかと思っていた。
「すべて・・・?」
「うん。」
「クラスメートなんて、クラス替えしたら
もう無理じゃん。」
「クラスが離れたら、俺はお前のクラスのヤツ
全員に嫉妬する。」
「へっ」
「1年間ずっとヤキモチ焼き続ける自信がある。」
「ふ・・・あんたバカ?」
「それくらい側にいたいんだよ。」
でも私もきっとそうなる。
「翼。」
「何。」
「お前は俺が好き?」
「あんたは!なんで私に言わせようとする!」
「お前が言ったら俺も言う。」
「っ///。」
もう・・・もう、逃げられない。
「あ~~~~っ!そうだよ!私は勇が好きだよ!
悪いか!チクショーーーッ!」
もう知らない、もうどうにでもなれ!
ガバッ
「わっ」
また勇に強く抱きしめられた。
ガッシリした肩が少し震えている。
いつの間にこんなに背も力も
男の子になったんだろう?
「勇・・・シャツ、ビショビショだよ。風邪ひく・・・」
「俺・・・もう死んでもいいかも・・・」
「何言って・・・勇がいないのなんて私が耐えられないよ。」
「翼。」
勇が少し体を離して真剣な顔をした。
もう冗談とかからかってるとか言って
茶化せない。
「好きだ。お前の全部が好きだ。」
カックン
「翼?!」
力が抜けて、私は勇の腕の中で
気を失ってしまった。
そうだった、今日私は体調が悪いんだった。
作品名:称号 (カカオ79%) 作家名:りんりん