称号 (カカオ79%)
気がつくと、真っ白な天井だった。
カチャン、カタカタ
「あなたも制服ビショビショじゃない。
体操服とか着替えないの?」
養護の先生の声がする。
ここは保健室?
「夏休み中だから家に置いてて・・・」
勇だ。
「しょうがないわねぇ。はい、これ。
貸出用よ。新学期に洗って返してくれる?」
「ありがとうございます。」
シャッ
隣のベッドのカーテンが開く音がする。
カーテンの向こうに勇がいる。
着替えてるのか。
隣。
私は顔を覆った。
嬉しい。
もう・・・もう勇が隣じゃないのは、
隣にいるのに避けなきゃいけないのは嫌だ。
「ゆう・・・」
「翼・・・?目ぇ覚めたのか?」
「ゆう・・・」
「?開けるぞ?」
シャッ
「大丈夫か?」
勇だ。学校から借りたらしい体操服だった。
私は思わず手を伸ばした。
「勇。好き・・・」
「は?///えっ?ははははーってお前、あれだろ、
そう!熱あるんじゃないのか?」
「はい?人がせっかく・・・」
伸ばした腕の立場がないじゃん?
「というわけで先生!コイツ目覚めたんで、
家につれて帰ります!翼!帰るぞ!」
ばばっと荷物をまとめたかと思うと
勇は私の腕をとって保健室を出た。
「はーい、よろしくねー。」
先生の声が聞こえた頃にはもう
学校の下駄箱にいた。
作品名:称号 (カカオ79%) 作家名:りんりん