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称号 (カカオ79%)

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「ちょ・・・勇?!」

勇はドンドンと前を進む。

学校が小さく見える頃、急に勇は立ち止まった。

「はぁ~///焦った。」

私の手を引いたまま、勇は電信柱に手をついてため息をついた。

「もういいのか?」

「う、うん。」

「さっきの続き、家帰ってもっ回言ってよ。」

「えっはぁ?言わないよ!」

さっきの続きってあれだよね?

さっきは・・・思わず感極まっただけだから!うん。

だって隣に勇がいる。

もう避けなくていいんだよね?

誰にも遠慮しなくても嘘つかなくてもいいんだよね?

ぶわっと涙が溢れてきた。

「翼?具合悪いのか?」

「違うよ。バカ」

家までの道のりを、ずっと手を引かれたまま歩いた。

「今日誰かいる?1人で大丈夫か?」

「寝てたら治ると思うから」

「ん。」

「辛くなったらメールする。」

「そうしろ。」

家に着いて、部屋までも勇はついてきた。

私はベッドに腰掛け、勇は私の荷物を片した。

「勇・・・」

「え・・・」

私は勇に手を伸ばした。

「好き」

「まっ、待て待て待て待て!
 なんか色々ヤバイ!何それ、さっきの続き?
 ナニコレ、俺夢見てんの?」

カチン

「あんた続きやれって言うからやったのに
 この行き場のなくなった手をどうしてくれんだよ
 しかも2度も!」

「ほんとに?マジで?夢じゃない?」

「しつこい!もういい!やめた!」

私は手を引っ込めようとした。

「わーーーっ、ウソウソ、ウソです!すんません!
 だからもっかい!」

いい加減にしろー。恥ずかしいんだよ!

「翼・・・」

「ん。」

私はもう一回、三度目の正直で
勇に向かって手を伸ばした。

「最後だかんね!勇」

勇は私の腕を軽くとって
自分の首に回すようにして、
ベッドの横に腰掛けた。

「マジで・・・」

「好きだよ。勇。」

チュ

勇が私のおデコにキスをした。

くすぐったい。

チュ。

頬に。

チュ。

まぶたに。

チュ。

鼻の頭に。

「好きだ。翼。全部好き。俺の恋人になって。」

「・・・嫌だ。」

「え、ええええっ」

「声がデカイ。勇」

「だってこの流れならOKってとこだろ?」

「恋人だけじゃ嫌だ。」

「・・・じゃあ、俺のすべてになって?」

「・・・うん。勇もなって。」

「俺はもうなってるよ。」

唇が重なった。

隣同士の影が重なってひとつになる。

離れるなんて無理だ。

この日から私達の称号に「恋人」が追加された。
作品名:称号 (カカオ79%) 作家名:りんりん