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同調率99%の少女(9) - 鎮守府Aの物語

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「? え? あれ? ちょっとなみえ。なんかConnection Errorとか出るんだけど。これ何?」
 三千花が異変を訴えた。那美恵は三千花に近寄り彼女の持っていたタブレットのアプリの画面を見る。すると、確かに英語でエラーメッセージが長々と表記されている。那美恵はその英文を読んでみた。
「え〜と。起動のためのバッテリー残量が不足か、電源ユニットが接続されていません? 通信ユニットと電源の接続に異常がなんたらかんたら。」
「……え?」
「え?」
 読み上げた那美恵に一言で尋ねる三千花。それに一言で返す那美恵。つまり二人ともわけがわからないという状態になった。

「な、何が起きたんですか?」
 互いに聞き返し合う那美恵と三千花を目にし、状況を分かってない流留がハッキリ質問する。書記の二人ももちろんその状況をわかっていない。
「そういえばなみえ。艦娘の艤装って、電源とかはどうなってるの?」
「え、ええと。あの〜。アハハハ。多分電気?なんだろーけど、わかんな〜い。」
 本当にわからないので仕方ないと思いつつも茶目っ気混じりで謝る那美恵に、三千花は想定を交えて言った。
「そういえば学校に持ち運んでから一度も電源をどうのこうのしたことなかったわね。もしかして、今までバッテリー充電してなかったの!?」
「……はい。」
 非常にか細い声で那美恵は返事をした。
「マジで!? 川内の艤装、バッテリー切れ起こしてるじゃないの!?」

 三千花の叫び声を聞いてやっと理解が追いついた書記の二人も口を開いた。
「夢の永久機関搭載の最新機器とかじゃないんっすね……。」と三戸。
「1週間も充電しないで保っていたのがもしかして不思議だったんでしょうか? 艤装って電池保ちいいのか悪いのかわからないですね……。」
 和子も思ったことをツッコミ風に口にした。


 バッテリー切れ

 川内の艤装は那美恵たちの高校に持ち込まれてから1週間以上、一度も充電されていなかったのだ。その状態を呆けて見ていた流留は三戸になにかヒソヒソと話し、誰へともなしに提案する。
「充電ならコンセントとか無いんですか? それかUSBとタッチ充電とかもダメなの?」
「そんな……携帯電話じゃないんだから。」三千花が突っ込んだ。
「多分、工廠にある電源設備じゃないとダメなんだろ〜ね。あぅー。」那美恵は凹んだという表情をして俯く。

「これじゃあ明日の展示は艤装なしでやるんすか?明日も試しに来る人いたら気まずいっすね。」
 三戸が懸念した事に那美恵・三千花・和子は一人の少女のことを真っ先に連想した。が、色々可哀想だが無理だと判断するしかない。

「提督か明石さんに連絡しておくよ。さすがに運べないから翌日以降に取りに来てもらお。」
 連絡は那美恵がすることにし、結局翌日の艦娘展示は急遽中止することにした。どのみち生徒会メンバーはあることを集中して対策しないといけない。
 期せずして出来た時間を手放しに喜べない那美恵たちだったが、艦娘部入部の意思を見せた流留に、入部届けを出してもらう必要もあるので、時間ができたのは良いことだと納得することにした。


「内田さん。あとで入部届け出してね? 艦娘部の顧問は四ツ原先生だから。」
「えっ? あがっちゃんが顧問なんですか? え〜……。」
 流留の素直な反応に那美恵や三戸が笑う。そして三戸が流留に言い放つ。
「やっぱそれが普通の反応だよなぁ。まぁでもあの先生。俺らが思ってるより優秀な人っぽいから心配しなくていいんじゃね?」
「三戸くん……あなた艦娘部と直接関係ないからって適当なこと言って無理やり納得させようとしてない!?」
「し、してない!してない!」

 きりっとした目をさらにキリッとさせて三戸に睨みを効かせて言う流留。その視線にドキッとした三戸は慌てて頭を振る。そんな三戸をフォローするように那美恵は言って流留を平和裏に納得させた。
「ま、でも艦娘のことすぐに覚えてわかってくれたし、良い先生なのは確かだよ。アレな性格みたいだから1年生のあなたたちはなんか避けてるようだけど、気楽に接してもいいかもね。」
「はぁ……。」
「ま、ともかく入部届けを出してくれたら、それで晴れて内田さんも艦娘部の一員だよ。そしたら今度帰りにでも一緒に鎮守府行こっか!提督にも会ってほしいし、鎮守府気に入ってくれると嬉しいな。」
「はい!それは早くにしてもらえると嬉しいです!」
 その後、流留は生徒会室を出て帰っていき、生徒会室にはいつもの4人が残った。


--

「……ということなんっす。」
「そ。内田さんはそう言ったんだ。」
 生徒会室に残った那美恵たちは三戸から内田流留本人が相談してきた内容について聞いていた。流留が生徒会4人の前では決して話さなかったことのほぼすべてを、三戸は彼女に悪いと思いながらも、生徒会メンバーとして仕方なしに生徒会長たちに伝えた。


「俺も彼女の真意がわからないんっすけど、とりあえずは俺達がやろうとしていたことと内田さんの相談内容が合致していたからいいかなと思ったんす。」
「で、三戸君が話している途中で突然彼女は艦娘になりたいと言ってきたと?」
 三千花からの確認に三戸は頷いて答えた。
「はぁ……。あの子の思考がまったくわからないわ。なみえも結構飛ぶところあるけどあの子も負けず劣らずね。」
「あれー、誰かからさり気なく貶められているような気がするぞー」
 三千花はそのぼやきを無視しておいた。

 無視されたので那美恵は仕方なしに真面目に話を進めることにした。
「……ま、彼女の望みに一致してるところは早めにやっとこ。昼間指示したとおりにみっちゃんはSNSの運営会社に連絡、三戸くんとわこちゃんは案内の資料作って、口頭で言ってまわれるところは言ってみんなに注意喚起する。場合によっては先生方に相談するのも仕方ないや。あたしたち生徒だけで解決できるのにも限界あるし。」

「えぇ、わかったわ。内田さんの考えや態度も気にはなるけど、あくまでも周囲の噂による騒ぎを潰す、そういうことよね?」
 三千花の確認に那美恵はコクリと頷いた。
「じゃ、今日は解散。すっかり遅くなっちゃったからみんな揃って帰ろー」
 気がつくと18時をすでに過ぎていた。那美恵の一声で全員帰り支度をし、男子の三戸を先頭に4人は珍しく揃って下校し帰路についた。



--

 その日の夜、那美恵は艦娘の展示を中止する旨をSNSの高校のページに書き込んでおいた。
 合わせて提督に川内の艤装のことについてメールし、提督経由で明石に伝えることにした。その後、提督から転送されたメールを受け取った明石は那美恵に直接メールをし、艤装の状態を一度確認しに行く旨を伝えた。那美恵はそれを承諾した。とはいえ学外の人間が学校に入るには学校側の許可が必要なため、正式な連絡は後日することになる。