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同調率99%の少女(9) - 鎮守府Aの物語

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 翌日。
 お昼に生徒会室に集まった那美恵達4人+生徒会顧問の教師は、内田流留付近の件について対応策の最終調整をしていた。なぜ生徒会顧問の先生がいるのかというと、三千花がSNSの運営会社に連絡する前に、やはり学生だけでは不安に思ったため仕方なく顧問の先生に事の次第を伝えたためだ。


 顧問の教師は、内田流留本人の言い分をきちんと聞いて証拠として書き起こすか録音しておかないと何の解決もならないと生徒たちにアドバイスをした。那美恵たちの対策に諸手を挙げて賛成したわけではない。顧問としても、あまり大事にさせる気もないので当事者同士で解決して欲しい考えである。ただ肝心の当事者同士の根本の話が見えない以上はどうしようもない。どのように解決するにしても、なんとかして当事者の口から証言を取っておくべきだと、那美恵たちはアドバイスを受けた。

 直接流留から相談を受けた三戸が顧に言う。
「でも先生。内田さんが話したがらないというか触れてほしくない様子なんっすよ。だから俺もそのときそれ以上突っ込めなくて。」
「私達もそのことを受けて、じゃあなみえ…会長の考えたことで対応すればいいかひとまずいいかなと考えていたんです。それではダメなんですか?」
 三千花が顧問の先生に補足説明をしたのち聞き返す。三千花の問いかけを聞いて顧問は答えた。

「ダメではありませんけれども、それが内田さん本人が望む対応だったとしても、相談を受けて対応する以上は彼女の言い分をきちんと聞いておかないと、あとで困るのはみなさんですよ。あなた達は何一つ確実な要素なしで動こうとしていませんか?」
 先生のいうことももっともだと那美恵は思った。やはり強引にでも先日聞き出しておくべきだったかと反省する気持ちを抱く。

「先生。彼女のことはあとで聞き出すとして、あたしが考えた対策はいかがですか?ちょっと心配になっちゃいました。」
 顧問は頭をやや傾けて目をつむって数秒したのち、那美恵の不安に答えた。
「そのでまかせと思われるの内容の投稿を消してもらう依頼をするのは有効でしょう。本当に全部消してもらえるかどうかはわかりませんが、連絡してみる価値はあります。これは明らかに個人への誹謗中傷ですからね。ただ校内への掲示の文章はすこし変えたほうがよいですね。」

 和子が家で考えて打ち出してきた書面の内容に添削が入る。掲示の文章は和子が引き続き作成し、顧問の教師がレビューを行うことになった。那美恵と三戸は、流留と直接コンタクトして聞き出す役割。三千花は顧問の教師とSNSの運営会社に連絡する。



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 放課後になり那美恵たちは再び生徒会室に集まって作業の続きを行なった。先生が加わったこともあり和子や三千花の作業は捗っている。
 掲示用の文章は噂などという言葉は使わず、最近SNSなどのサービスで学外にも見えるような形で生徒間の誹謗中傷が行われてる旨に触れ、その手の行為を行なっているのを発見した場合は学年主任および生徒会から厳しく注意、場合によっては厳罰に処すという構成の内容になった。その内容で学年主任の先生にも確認してもらうことになった。学年主任へは、風紀の管理のための定期的な掲示としてどうか、という相談で話が通されたために、流留への集団イジメは気づかれずに済んだ。そしてその文面で学年主任からOKが出たので、学年主任および教頭の印が押されてその文書は公的な文書に?化する。それと同時に風紀委員へも個人の名は伏せて提示され、公的権力によって学内の集団イジメの空気という害毒を中和させる準備が整っていった。
 校内の各掲示板への掲示およびSNSの高校のページの連絡欄に同文面のPDF版が添付された。

 SNSの運営会社への連絡のほうは、サポートセンターからの素早い連絡があった。サポートセンターによると、そういう事情であれば対応してもよい。すべての投稿には、その共有元となる元投稿が紐付けられており、すべて追えるようになってためにこの発端である人物を特定することもできるがどうするか?と説明と確認が来た。それを追えば誹謗中傷の投稿を流した最初のユーザーアカウントがわかるのだ。

 那美恵たちの高校の生徒間に出回った投稿は再共有を繰り返されて入り組んだ膨大なものになっており、普通に対応したのではもはや対処のしようがない。そのため三千花と顧問の教師はそこまでの調査をサポートセンターに依頼した。連絡は生徒会顧問の先生の名を挙げ、自分ら側の箔を付けることにした。
 サポートセンターから聞いた内容を三千花は那美恵や三戸たちにも報告し、うまくいけばいじめの犯人を突き止めることも不可能ではないと、希望を持たせた。

「それが本当なら、ますます内田さんからこれまでの本当の事情を聞いておかないとね。」
 パソコンを操作する三千花ととなりにいた先生の向かいの席に座っていた那美恵はそう言う。
「どうします?早速内田さん呼び出しますか?」
 那美恵の隣にいた三戸は携帯電話を手に取り、那美恵と三千花に合図を送る。
 那美恵はもともと連絡してもらうつもりだったが三戸から流留の様子を聞いていたので、おそらくどこかしら同校の生徒の目がある場ではきっと彼女の本心を聞き出せないだろうとも思っていた。

「よし。三戸くん。内田さんに連絡取っておいて。都合があえば明日の放課後にでも生徒会室に来てもらお。」
「はい。了解っす。」
 那美恵からのGOサインが出たので、三戸は早速流留にメールした。

「内田さん。ちょっと話したいことがあるから、時間あるとき生徒会室に来てくれない?」
 ほどなくして彼女から返信が来たので三戸は読み上げた。
「なに?艦娘のこと?何かあった?わかった。すぐ行く。」

「すぐ行く!?」三戸は思わず最後の言葉を2度読み上げた。
 数秒後生徒会室の扉がコンコンとノックされた。那美恵がどうぞと促すと、扉を開けて流留が入ってきた。全員、いくらなんでも早すぎだろ…と心のなかでツッコミを入れた。


「アハハ。三戸くん、もう来ちゃったけど、よかったかな? ちょうど一人で校内ブラブラしてたから暇でさ……」
 流留は三戸と隣にいた那美恵をチラっと見ながらそういった。そして三戸の奥にいた生徒会顧問の先生に気づくと、慌てて取り繕う。
「あ!先生……! ゴメンなさい!今はさすがにダメだったよね?じゃあまた今度……」
 そう言って踵を返して出ていこうとする流留を、三戸ではなく那美恵が呼び止めた。
「ちょっと待って内田さん。先生、みっちゃん。あとは任せていいかな?」
「え? えぇ。いいわよ。こっちはこっちで作業続けるだけだから。三戸くんも連れて行くんでしょ?」
 三千花は頷いて承諾し、那美恵の考えを察して確認する。すると言葉を発さずに那美恵は頷き返した。


 三戸と一緒に何かを話すのかと思っていた流留は、那美恵も加わりそうな雰囲気を目の当たりにして、少し戸惑いと拒絶の色を見せ怪訝な顔をする。そんな様子を気にせず那美恵は彼女と三戸を生徒会室の隣の資料室へと連れて行くため促した。
「内田さん、三戸くん。隣の部屋にいこっか。あっちでなら色々3人で話せるよ。ね?」