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ルパン三世~赤い十字架~

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Episode.6 謎の女 峰不二子


「あら、私に何か?ハンサムさん」

スコレリーファミリーの豪邸で極上の酒を片手に、ボスの息子であるフェリデッセに上目遣いをする女。

ある時はルパンの好敵手。
金目の物の為には平気で男を翻弄し、逆手に取る女。
その女の名は、峰不二子。 
 
「ミス不二子、今日も美しい…」

フェリデッセは不二子の唇にゆっくりと指で触れた。

「もう…折角の濡れた唇がもっと潤ってしまうわ?フェリデッセ」

「いいじゃないか…その唇にキスさせてくれないかな…」

「駄目よ、まずはお仕事の話が先よ?」

フェリデッセはため息をつきながら、デスクのベルをチンと鳴らした。

「ミス不二子。うちのアマンダという女。この女とある物を盗んで欲しい」

「私、女には興味ないわよ?コンビも組まないわ。私は…私」

深い欲求を抑えたフェリデッセは、ふぅ、とため息をついた。

「彼女はなかなかの腕前でね…是非、今回の獲物、赤い十字架を二人で盗んで欲しいんだよ…」

「赤い十字架?私、クリスチャンではないわよ?それになんでそのお嬢さんと私がコンビを?」

「うちのファミリーの切り札でね。射撃はうまいがいかんせん盗みや潜入には疎くてね…是非、君に面倒を見てもらいたいんだよ」

「で?赤い十字架って何かしら?」

「バチカンでは呪いの十字架と呼ばれてる。それを手に入れた者は必ず謎の死を遂げる。しかし、その十字架の中央にはめ込まれている宝石は恐ろしい程の価値を秘めているんだよ…」

フェリデッセが不二子の顎を優しく撫でると
彼女は素敵ね…興奮するわ、と軽く彼にキスをした。

「分け前はアマンダの授業料として、君が7、私たちが3。それでどうかな?」

「いいわ…で、そのアマンダは?」

「私ならここよ」

不二子は彼女に異様なものを感じた。
存在感を消し、不意に現れたアマンダに
何だか話が違うと若干の違和感を覚えたが宝の価値に誘惑の気持ちが揺らぐ。

「で、それはどこに?」

「パリ」

アマンダが言う。

「いいわね、ますます素敵だわ。宜しく、アマンダ」

アマンダは無言でこくりと頷いてみせた。

「今日は二人ともゆっくり休んでくれたまえ…朝は早い。では、失礼するよ。良かったらベッドに来てくれ、ミス不二子」

「いやよ?お宝が先。その後で、ね?」

「全く君は小悪魔だね…じゃあ、また明日に」

豪勢な扉を開き、部屋を出る彼に不二子は顰めっ面をした。

「全く、私そんな安い女じゃないわ」

「プライドがあるのね、泥棒猫にも」

「よく言うわ、貴女もでしょ?」

二人は苦笑いを交わし、
高い建物から見える景色を眺めていた。

作品名:ルパン三世~赤い十字架~ 作家名:Kench