つま先立ちの恋に慣れたら
第七話 夢②
【怜治(大学生)×奈々(大学生)です】
蝉が鳴き始め、じわじわと汗をかく季節になるころ。奈々は午前中の講義を受けるために大講義室へ入り席に着くと、大きくため息をついて机へ突っ伏した。
「おつかれ!・・・どうしたの?奈々~元気ないじゃん」
「お、おつかれえりちゃん!はは、なんでもない!気にしないで~」
奈々はなんとか笑顔を取りつくろってその場をごまかす。友人はなんとも不思議そうな顔をして、それ以上は何も言わず、隣の席について、その日は同じ講義を受けて、何事もなく帰宅した。
適当に通学かばんを置いて部屋着に着替えた後、そしてまた机に突っ伏す。そう、奈々はある悩みを抱えていた。
(また今日も見てしまった・・・・おかげで寝不足だよ~~)
ここ最近、毎日怜治とキスをする夢を見るのだ。いつも真夜中に目が覚め、その後は緊張して目が冴えてしまい、結局眠れない。こんなこと友人にも話せないし、ましてや怜治に話したら絶対にからかわれる。夢ばっかりは自分でもどうにもできない。しかも内容が毎回違い、刺激どころの話ではない。
(会いたいけど、まともに顔みれないかも・・・!)
こうして奈々は、一人悶々と悩むのであった。
作品名:つま先立ちの恋に慣れたら 作家名:yuuuuuka