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つま先立ちの恋に慣れたら

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第三話 梅雨



 しとしと。足音を立てないように、雨が降っている。
 てくてく。水たまりを踏まないように、私は歩いている。

 ----------ひとりで。

 家までの道を、ぼんやり歩く。
 考えていたのは、怜治さんのことだった。もう2週間会っていない。電話したのは一週間前が最後で、メッセージは・・・忙しいと思って控えた。

 あいたい。

 最近ずっとこればっかりだ。でも我慢しなくちゃ。いつもこの繰り返しで頭がごちゃごちゃになってしまう。だから私はメッセージを送ることにした。文字にすると普段言えないこともうっかり書けたりするから不思議で、気づいたらあわてて文字を消していく。その後とりとめのない文になってしまわないように、読みやすい量に調節するのが一苦労だった。

『お元気ですか?私は元気です。最近忙しいですか?ちょっと心配になったので連絡してみました。
 こちらは相変わらず雨です。曇っているとなんだか気持ちもどんよりしますが、今日学校に行ってる途中に綺麗な蓮の花を見かけたら、心があったかくなりました。手入れも行き届いていて、その土地の人はきっとすごく大事に育てているんだろうなって思いました。梅雨もいいものですね。怜治さんとも今度見れたらいいな(#^.^#)

 今日はどんな日でしたか?
 なにか悩んでることはありませんか?
 あんまり無理をしないで、体に気を付けてくださいね』

 送信っと。
 ボタンを押した後は、少しだけドキドキした。
 怜治さん、これ見てどう思うかな?
 こういう理由で送るのって、ちょっと子どもっぽい?
 送った後なのにぐるぐる考えてしまうのは、きっと梅雨のせいだ。




  ずぶぬれの 恋心   
      (傘はちゃんと、さしてるのに)




お題元:確かに恋だった 様