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同調率99%の少女(10) - 鎮守府Aの物語

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 流留が艤装を全て外し終わった頃には提督と明石の話も終わっていた。そして提督が流留と那美恵に伝える。
「この後の流れなんだけど、光主さんも聞いておいてほしい。それを四ツ原先生に伝えて欲しいんだ。いいかな?」
「はーい。わかりました。」
 那美恵が返事をした。

「大本営から承認されたら、川内の制服を作るために身体測定をしてもらいます。それを大本営の艤装装着者統括部に伝えると、後日制服が届くからそれを内田さんに試着してほしいんだ。で、問題なければ着任式を開きます。これは光主さんは出たことあるからわかるよな?」
「うん。アレを内田さんにもやるんだよね?」
「あぁ、そうだ。それを持って、内田さんは鎮守府Aの軽巡洋艦川内に正式になるんだ。」

「着任式?」
「うん。うちの鎮守府ではね、艦娘が着任すると着任式を開いてくれるの。その場で着任証明書をもらうと、晴れて鎮守府Aの艦娘になれるの。ま、といっても強制じゃなくて自由参加で気持ちの問題だから、あまり深く考えることないよ。」
 提督の代わりに那美恵が説明すると、流留はかなり乗り気で答える。
「へぇ〜。あたしそういうの結構好きです。なんか熱いですよね。これから戦うんだって感じで。熱血ですね〜。」

「よかったね〜提督。内田さんも着任式やってほしいってさ〜」
 流留に頷いたあと那美恵は提督に向かって茶化し気味に言うと、提督は笑顔で返した。
「あぁ、乗ってくれるなんてうれしいよ……。」
「提督ってば、ほんっとそういうこと好きだよね〜」
 子供みたいな無邪気な笑顔で喜ぶ提督に、那美恵は再び茶化しつつも、その笑顔に心臓が跳ねる感じがした。流留はというと、那美恵と提督のやりとりをぼーっと眺めている。

「川内についての説明はここまで。着任式にはできれば四ツ原先生にも出てほしいから、その辺伝えておいてくれ。」
「はい。りょーかい。」


--

 提督は川内着任についての説明を終えると、気持ちを切り替えて次は那美恵の方を見て次の話題を口にした。
「それじゃあ次は、神通の艤装、行ってみようか。」
「は、はい。」
「じ、じゃあ那美恵ちゃん、早速艤装つけてみましょっか?」
「はーい!」
 明石と那美恵はやや慌てた様子で反応した。

 那美恵は明石の側にあった神通の艤装に近づいていく。足元にあるという距離まで近づいたのち、明石に先のことを小声で確認する。
「昨日の件、あれどうなったんですか?」
「うん。今解析してるからもう少し待ってね。もしかすると1ヶ月くらい必要になるかも。これから同調してもらう際の結果もログに取るから、艤装はガンガン試しちゃってね。」

 明石のやや専門的な言葉を聞いて、ログというものがよくわからないと感じつつもそのあたりは自分は気にせず明石に任せればよいと信頼しきっていたので特に気にしないことにした。そして早速神通の艤装を装備し始める。
 那美恵が神通の艤装を装備し終え、明石にむかって合図を送ったのを明石は確認した。明石が何か操作したのを見届けると、那美恵は同調を開始した。

ドクン

 3度目の同調となると、ある程度覚悟はできている状態であったが、それは杞憂に終わる。2回目とまったく同様に、至って問題なく同調は成功した。
 今回は、93.99%と、前回よりも上がっていた。その数値を見た提督は、那美恵がついに川内型の艤装全てに同調できたことに本気で驚き、すぐに喜びを表した。

「おぉ!!光主さんすごいな!? 那珂と川内だけでなくて、ついに神通にも合格だ!!すごいじゃないか……」
「えへへ〜なんか一人で3つなんて申し訳ないけどね〜。」
「いやいや。本当に一人で3つの艤装と同調できるなんて艦娘制度始まって以来の快挙じゃないか?」
 提督の言葉に続いて明石が調子よくしゃべりだした。
「すごいですよね〜那美恵ちゃん。これを大本営や他の鎮守府に知らせたら、きっと有名になれますよ!」
「有名に?」
「えぇ。那美恵ちゃんの夢もあながち夢でなくなるかもしれないですよ。せっかくだから、もう1回念押しで試してみましょうか。ほんとに本当の結果かどうか。」
「おいおい。同調は何度やってもそう大きく変わるもんじゃないって明石さん自分で言ったじゃないか。」
 明石の提案にツッコむ提督。

「エヘッ。それはそうですけど、これはすごいことですし、ほっぺたつねるのと同じようなことですよ。さ、那美恵ちゃん。もう1回いってみましょ?」
「あっ、はい。」
 ウィンクをする明石の意図に気づいた那美恵は一拍置いてから返事をして、一度切った同調を再びして、明石にその結果を保存してもらった。

「93.99%。もー完璧です。絶対有名になれますよ、那美恵ちゃん。私も会社とかで推しておきます。」
「アハハ。明石さん、あまり強引にはやらないでくださいね〜。」
 明石の妙な強引さに押されつつも那美恵は言葉を返した。

 ただ口では遠慮気味に言ったが、アイドルになれる・有名になれる、それは那美恵にとって心の底から嬉しいことだった。が、正直喜ぶことはできないでいる。それは、1回目の神通の艤装の時に発生した異常が頭の片隅にちらついていたからだ。専門的なことはわからないが、このことがよそにも知られてしまえば有名になるのではなくさらし者になるのではないかと危惧するところもあるからだ。
 ただ表面上は、提督と明石にむかって笑顔で返すことにした。

「夢かぁ〜。なーんか複雑。」
 艤装を外しながらつぶやく那美恵に明石は近づいて言葉をひっそりとかけた。
「あの……那美恵ちゃん。提督がいらっしゃるので、必要なテストはまた後日ということでお願いしますね?」
「あ、はい。」
 急に現実に戻されたような感覚を覚えた那美恵だが、確かに今このときは夢よりも、自分の身に起きかけたことの確認が先だった。その後那美恵は明石から指示を受けた日、つまりは提督がいない日に明石に付き合い、必要な同調のテストをしてデータを預けることになる。



--

 那美恵が神通の艤装との同調に合格したということで、川内のときと同じく、提督の許可をもって、初めて鎮守府外への持ち出しができることになった。今回は正式なお達しということで、那美恵も明石もホッとする。
 時間にして10時すぎ。このあと那美恵と明石は川内の制服のために流留の身体測定をすることにしそれを書類にまとめた。その後執務室に戻っていた提督に報告した。

 その日に終えられる作業を終えると、時間は12時ちかくなっていた。さすがに那美恵と流留は学校に行かないといけない。念のため那美恵は阿賀奈に連絡を取ると、気を利かせてくれたのか、午前中いっぱいということで、艦娘の課外活動のため学校側から許可を得ているという。そのため那美恵たちは安心して登校することができた。
 鎮守府を出る前に明石から神通の艤装のコアユニットを受け取り、最後に執務室に行き提督に挨拶をしてから学校に向けて出発した。