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今宵、役者たちはしめやかに舞台袖に立つ

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Side:Judith&Rita&Patty


 リタの足元に浮かび上がる青い魔法陣がすっと消え、室内の空気の密度が薄まる。精霊の笑い声がくすくすっと響いたのを、侍女たちは不思議そうに見上げていたが、すぐに柱時計の音に現実に引き戻されて仕事に戻っていった。

 「うん、絶好調」
 「それはよかった」

 黒いベロアの質感の帯をリタの腕に結んだところでふうと一息ついたジュディスの触手袋に、プラチナでできた細いチェーンを飾りつけながらパティがううーむと悩ましげに唸っていた。

 「ジュディ姐はもっと豪奢にしてもバチは当たらんと思うのじゃが」
 「あら、今日の主役は私ではないからいいのよ。それよりパティ、あなたそういう髪型も素敵ね」
 「リタ様、仕上がりはいかがですか?動きにくいところがあれば、今のうちに」
 「ここの縫い合わせてあるところ、少し開けて貰っていい?」
 「あっ、パティ様!そんなところにホルスターなんていつのまに!おやめくださいませ!」
 「う…、でもこの格好では身軽すぎて落ち着かんのじゃ……」

 大広間に散らかる大中小の箱という箱、その中から這い出す服やら装飾品、部屋にあつらわれている落ち着いた趣の調度たちが呆れるような様相を呈す一室は、何人もの侍女が忙しそうに右往左往していたが、着々と迫る時間に追い立てられながらも皆が藹々と着替えを楽しんでいた。
 やがて、赤い、真紅の花が詰まったかごを手に侍女がぱたぱた入ってくる。

 「みなさま、そろそろお時間にございますっ、他の方々も支度が整いますので」

 ジュディスは走ってきてくれたらしい侍女を気遣った後、そのかごから花を取り、目の前にいるパティのゆるい巻き毛に絡ませてからピンに引っ掛ける。

 「さあ、気を引き締めて、愉しみましょう?」
 「了解なのじゃ!」