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今宵、役者たちはしめやかに舞台袖に立つ

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Side:Raven


 束になった書類を一枚、一枚とめくりながらレイヴンは侍女に言われるまま腕を上げた。
 手慣れた侍女は胴回りにぐるりと腕を回しながら格式ある騎士団の礼服をレイヴンに着せ、そしてレイヴンが手にしている書類の内容を諳んじている。レイヴンは実に有能な彼女の話に耳を傾け、時に浮上してくる問題点と注意点を事細かに確認し合い、すべての書類に目を通し終える頃には完璧に身支度を整えた状態で鏡の前に立っていた。思わずその手際の良さに、感嘆の息がレイヴンの口から洩れる。

 「相変わらず、その才を持て余しているな」
 「あらあら、これはわたくしの天職でございますよ?」

 さあどうぞ、と整えられた二輪の白い花を彼女に差し出され、レイヴンはそれを受け取って微笑った。