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メイドかく語りき

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 アラ……アナタ、お見かけしない人だわ……。最近こちらに勤めるようになったのかしら?
 昨日から?まあ、それは挨拶が遅れてごめんなさいね……。わたくし昨日までチョットお休みを頂いていたので……。
 ふふっ、綺麗な方で。お名前は?アイリーン?いい名前だわ。よろしくアイリーン。
 そんなにキョロキョロしなくても、今夜は気軽なものですのよ?なにせ、今夜は特別なお客様がいらっしゃるから、わたくしたち家女中はお屋敷をウロついてはいけない決まりですの。今夜屋敷内の出歩きを許されているのは、旦那様と家政婦だけですのよ。
 ……ええ。なにせ、ここはマイクロフト様のお屋敷ですもの。毎日色々なお客様がいらっしゃるわ。
 少なくとも、庶民ではないことは確かね。身なりがとても高級ですもの。わたくしが一生働いてもネクタイ一つ買えるかどうか、わからないくらい。オホホホ……。
 ですから今夜は気楽なものだわ。アナタも、そんなに緊張なさらないで……イギリス生まれの方かしら?綺麗な発音なさるのね。わたくしはフランスの出なの……それにしても、本当に美人だわ。お世辞ではないわよ?ホントウに……。背もお高いし……アイリーンは客間女中なのね……?それはそうでしょうとも。アラ……でもさっそくミセスからお叱りを……?マア……旦那様の銀器を落っことして……?ふふっ……でも、旦那様は責めなかったと思うわ……。あの御方はお優しいから……。
 ええ。何回かお会いしたことはあるわ……とても整った顔立ちの紳士ですの。繊細な身体つきで、スーツからでもわかるの……わたくし、目は良いのよ……とても素敵な……アラヤダ……こんな話。ごめんなさいね。
 今夜のお客様?そうね……まあ、マイクロフト様がどのような御方かということを理解していれば、わかると思うわ?
 旦那様は英国そのもの……片手で、とは云わないけれども、身体一つあれば、この国を動かせるものね……。
 ……それにしても、ホントウに今夜は暇だわ。
 ……そういえば、最近。とっても素敵なものを見たのよ。
 わたくしがお休みを頂いたのは、たった一人の妹が病気をしてしまって、特別に休暇を頂いてね。看病していたの。漸く回復したから、最後の一日はチョット遊んでたのよ……。
 身分の良い男性とね、懇意にさせてもらっているのだけれども、今ひっそりと秘密クラブが流行っているのはご存知?
 ……そうね。少しずつ、街に噂は広がっているかもしれないわね。あんなものを体験したら、誰かに云いたくなる気持ちになるもの。ええ、わたくしもその一人。
 昨日の晩のことよ。
 懇意にさせて頂いてる方に、とある屋敷に連れて行ってもらったの。ここよりは大きくないわ。というか、ここ以上に大きいお屋敷なんて、あとはあそこくらいかしら?ふふ……。
 それでね、そのお屋敷に入るときは会員かどうかの確認をしたあと、仮面を付けなくてはならないの。
 そりゃあ、素性を隠す為だわ。なにせ集まるのは、そこに居たら憚られるような方たちだもの……。わたくしはそこまで詳しいワケではないから、どういう方かは知らないけれども……。
 そしてね、お屋敷の中のことは一切他言無用とサインをさせられて……幾らかお金を支払って、中に入るのよ。
 サルーンはとっても豪華なのだけれども、一枚も肖像画が飾られて無かったわ。だってお屋敷自体、秘密クラブのために用意されたものだもの。そこから執事に案内されて、ビリヤードルームに行くの。
 ……普段は女は入らない部屋ね。でも、そこには十人くらいの男女がいらしてたわ。
 そこで何を見たと思う?
 仮面の人たちじゃないわよ?まあ、仮面は付けていたけれども……。
 ……ビリヤード台の上には、仮面を付けた男性二人が裸になって乗っていたの。
 一人はイギリス人ね。肌が白くて、細身の筋肉質な方。薄暗いのだけれども、ライティングの所為かしら……髪の毛の色がとても独特だったわ。
 もう一人は……東洋人ね。髪の毛が黒くて、小柄だったもの。
 裸の男達のビリヤード一騎打ちでも見せられるのかしらと思ったけど、もっとスゴイものだった……。
 ええ。そうなの。
 そこはね、大勢でお酒を飲みながら、一組の性行為を眺める趣向のクラブだったの。
 知らずに連れて行かれたわたくしは驚きましたのよ?当然でしょう。他人の性行為なんて、一生見ることなんて、いいえ、そもそもそんな発想すら無かったもの。しかも、男性同士なんて!
 ……でも、すぐにわたくしは魅入られてしまったわ。
 台の上で、イギリス人がパートナーに身体のいたるところにキスをすると、とっても可愛い声を鳴くの。
 特に、お胸の辺りが良いみたいで、執拗にそこを吸っていると東洋人の身体がガクガクと震えて、急にヴァイオリンが甲高い音を鳴らしたように声を上げたわ。
 台の上はランプが吊るされていて、とってもよく見えるのね。イギリス人の慣れたような手つきで東洋人のお胸を……ふふっ、思い出すだけでもゾクゾクしちゃう。
 部屋にこだまする官能的な声を聴きながら、お酒や煙草、女はお菓子を嗜むの。
 時々ボソボソとお客が会話しているけれども、誰しもみんな、二人を注視していたわ。
 それでね。
 すっかり愛撫をすると、東洋人をうつ伏せに、犬のような格好をさせるのよ。それでね……ええ。そうよ。
 わたくしもまさかとは思ったけど。
 ええ。ええ。あんなに猛々しいものを見たのは……ホントウに……はじめてで……。
 え?懇意にしている男性?オホホホ……ベツに、婚約者というワケではないのよ……。ホントウに、ただのお友達……ええ。ええ。
 それで……まるでね。盛りのついた猫のような声を響かせたの。東洋人は。
 途中で何を喋っている分からなかったわ。もう言葉を選んで喋る余裕は無かったのだわ。
 だって、もう、ねえ。あんなに……うふふふ……。
 ビリヤード台が動ガタガタと音を鳴らして、みだらな声を上げて。
 でもね、わたくしすっかり目を奪われてしまったわ。
 あんなに情熱的な性行為は、芸術なのね。だから秘密クラブは存在しているのだわ。
 刺激と、美を求めてね。
 でもね。わたくし聞いてしまったのだわ。
 あまりにも激しい行為に、犬になった彼は相手の名前を呼んでいたの。
 ……これは秘密よ?秘密クラブのこともだけど、もっとタイヘンな秘密……。
 喉が焼けつくような声でね……。
 『ホームズさん』って。
 ……ええ。旦那様も、ホームズ様だわ。でも旦那様ではなかったわ。先程も云ったように、わたくし、目は良いの……。
 でも、台の上で腰を激しく動かしている彼をよくよく見るとね……わたくし、知っている方だったの。わたくしだけではないわ。ロンドンの人なら絶対知っている方よ……。
 あの、シャーロック・ホームズだったの。
 奇行で目立つ方だとは聞いていたけれども、まさか同性愛者なんて……。
 モチロン、秘密クラブでのことは他言無用……時間も、季節も、法律も……関係の無い無法地帯……。
 それでもね、起こっていることは、事実だわ……わたくしがここで働いているように……あの夜のこともロンドン市内で行われたまぎれもないジジツ……。
作品名:メイドかく語りき 作家名:井藤