家路
「軽いんですね……」
「え?」
「私にとって頼りになる上官は、こんなにも、軽いんですね」
「そうね」
「吹けば飛んでしまいそうで、押せば倒れてしまいそうで。でも、しっかりとこの足で立っていて……」
「マリア。かえでをよろしくね。この子の姉としての立場は誰にも譲らないけれど、妹にしかできない支え方も、あるのよ」
「そんなものですか?」
自分がかえでの支えになれているのかはわからない。むしろ、いつも迷惑をかけて世話を焼いてもらっているような気もする。……今現在のような特殊な事例を除いて。
「そんなものなのよ」
ただ、姉としてあやめがそう言うのだ。妹が支えになる……そういうものも、あるのだろう。
姉としての自分はどうなんだろうか……ふと、振り返る。自分が守り、導かなければいけないと思っていた仲間たちから、随分と救われていたように思う。支えているつもりだったが、支えられている。
「……そんなもの、ですね」
もう、すぐそこに、家の灯りが見えている。
-Fin-