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同調率99%の少女(11) - 鎮守府Aの物語

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 流留たちは更衣室へ着替えに行っているため途中で那美恵も入り、自身も着替えていくから五月雨に三千花らを連れて先に行ってくれと頼んで任せた。
 三千花は一瞬不安に感じたが、時雨たちとはすでに面識があるため、気まずい空気にはならないだろうと考えを改め、五月雨の案内に続いていった。

 更衣室に入った那美恵は、流留と幸がすでに着替え始めていたのを見て、自身もロッカーの前に行き着替え始めた。

「なみえさん、今日は着替えるんですね?」と流留。
「うん。さすがに今日は艦娘として参加しないとね。川内型揃い踏みだよ。」
 揃い踏みと聞いて流留は身が引き締まる思いがした。背筋がピシっと自然に伸びる。

「どしたの?」
「いや、なんか自分の艦娘名をガッツリ呼ばれてる気がして。」
「そういやそうだよね〜。なんかね、何々型って、ネームシップっていう艦らしいよ。」
「はい。知ってます。」
「知ってんの!?」

 流留は自身が知っていることを説明し始めた。
「あたしはゲームで知った口なんですけど、軍艦って姉妹艦があって、たくさん作られたそうですよ。んで、ネームシップというのは最初に作られたベースとなる艦、いわゆるお姉さんなんです。」
「へぇ〜そうなんだ。あたし船とか軍隊とか興味ないから知らなかったぁ。そういう言い方するんだってただなんとなく使ってたよぉ。」

 万能な生徒会長でも知らないわからないことがあったことに驚き、そんな彼女に勝てる要素があったことを誇らしく流留は思った。
「なみえさんでも知らないことあるんですね〜。」
「あたしをなんだと思ってるのさ〜。普通のJKだよぉ?」
「ハハッ。なみえさんに教えられることがあってなんか嬉しいですよ。」
「そりゃあね〜。流留ちゃんはこれから川内ちゃんになるんだし、"お姉さん"ですもんね〜。あたしとさっちゃんのお姉さんなんだからあたしたちより頑張ってもらわないと。ね?さっちゃん。」
 幸は無言でコクコクと頷いて賛同した。

「うーなみえさんに頼られるのは嬉しいやら恥ずかしいやら。ものすんごいプレッシャーなんですけど。」
「気にしない気にしない〜。」

 ブーブーと不満を漏らす流留をサラリとやり過ごす那美恵。それを見ていた幸がクスリと笑みを漏らす。凸凹あるが、数日前に出会ったばかりとは思えないほどの仲の良さを醸し出す3人。先輩後輩としても、艦娘としても、プライベートとしてもすっかり仲良くなっていた。
 着替え終わった3人は更衣室を出て、先に三千花たちが向かっている艦娘の待機室へと行った。



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「おまたせー!川内型3人、ただいま入りましたー!」

 那珂たちが入ると、そこにはちょうど待機室から出ようとしていた五月雨と時雨、席に座ってる夕立・村雨、4人から離れたところで座っている不知火。そして五十鈴がそのとなりの席に座っている。艦娘たちからは離れたところ、扉付近に三千花ら一般人が立っているという構図だ。

「なみえ。内田さんと神先さんも。着替え終わったのね。」
「うん。みっちゃん、ちゃんと挨拶した?三戸くんは大丈夫?」
「えぇ。ちゃんと見張っていたから大丈夫よ。」
「そ。」

 那珂は三千花に確認し終わった後、スタスタと部屋の中を進み五十鈴の元へと来た。同時に不知火も視界に入る。

「五十鈴ちゃんおひさ!」
「えぇ。お久しぶり。」
 先日鎮守府までの道中で会ったばかりだが、鎮守府内で艦娘としては久方ぶりだったのでハイタッチをして再会を喜ぶ二人。五十鈴は知り合いが来ている那珂に対し素直に喜べないところがあったが、ともかくも笑顔で返す。
 五十鈴と笑顔で再会を喜び合ったあと、那珂はそのまま横に視線を移す。不知火が目に入ってくる。不知火も那珂もお互い気になっていたが、面識がない者同士、視線を合わせづらいところがあったのでなんとなく外し合っていた。だが那珂は進んで話しかけた。


「不知火さんだっけ?初めまして。中々一緒に仕事する機会がなかったから、これが初めてだよね?あたし、軽巡洋艦那珂やってる光主那美恵です。女子高生です。よろしくね!」

 那珂から自己紹介をされて不知火は勢い良く席から立ち上がり、自身も自己紹介をし始めた。

「私、智田知子(ちだともこ)といいます。○○中学2年です。駆逐艦不知火をやらせてもらっています。……よろしくお願い致します。」
 おとなしそうな雰囲気。幸と似てると那珂は思ったが、その口調は幸とは違い、ハキハキとしたものだ。
「うん。よろしくね!」

 那珂につづいて流留と幸も五十鈴と不知火に挨拶と自己紹介をする。これで鎮守府Aの艦娘たちは全員面識ができた。


「いや〜ついに揃ったね。鎮守府Aの艦娘全員。妙高さんと明石さん入れると11人?」
「そうですね。ただ明石さんはちょっと特殊なので実質10人です。」
 那珂の感想と確認を受けて五月雨が答える。

「10人超えるって多い方なの?少ない方?」
 流留が誰へともなしに質問すると、それには那珂が答えた。
「以前隣の鎮守府の人に聞いた時はあっちは60人超いるっていうから、うちはまだ少ない方だと思うよ。ね、五月雨ちゃん?」
 以前天龍に聞いた人数を答え、詳しいことを確認しようと視線と身体の向きを流れるように五月雨の方に向ける。

「あ〜えーと。そうだと思います。私、他の鎮守府の人数とか気にしたことないので。」
「五月雨ちゃ〜ん。せめて近隣の鎮守府の情報は収集して整理しておこうよぉ。頑張ってよ、秘書艦さん!」
 五月雨が曖昧な答えを言うと、軽く諫めつつも厳しくならない口調で那珂はアドバイスを口にした。五月雨は横髪を摘んで撫でつつ
「エヘヘ。はい……。」
と照れ混じりに返事をした。


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 その後、五月雨と時雨は5分前くらいになったら全員ロビーに来てくれと案内だけ残して、着任式の準備のためにロビーへと先に向かって部屋を出て行った。とはいえ時間はすでに13時45分を回ったところ。ここでおしゃべりするのもロビーでおしゃべりするのも変わらないということで、那珂は全員に向かって提案した。

「ね、みんな。どうせあと少しだし、全員でもうロビーに行っちゃおうか?」
 それに真っ先に五十鈴と三千花が賛同する。
「そうね。早め早めが肝心だわ。」五十鈴は至極真面目な反応を見せる。
「私もなみえに賛成。どのみち時間あと少しなんでしょ?」三千花は親友の言葉に流れを任せるかのように賛同した。

「おっけ〜。他のみんなもいい?」
 夕立らや三戸と和子も返事をした。それを聞いた後、那珂は流留と幸の方を向いて強めの口調で声をかけた。
「流留ちゃんとさっちゃん、二人は主役なんだから早めの行動お願いね〜。」
 いきなり名を呼ばれて一瞬反応が遅れる流留と幸だが、那珂の指示にシャキッとした返事で返す。那珂はそれを見てウンウンと満足気に頷いた。

 待機室に残っていた者たちは全員廊下に出て、階段を降りロビーへと足を運んだ。ゾロゾロと人が現れたことに先に降りていた五月雨と時雨は驚いたが、時間を見るとすでに10分前ということで納得の様子を見せ、ペースを上げて着任式の準備を終わらせた。