二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

同調率99%の少女(11) - 鎮守府Aの物語

INDEX|6ページ/20ページ|

次のページ前のページ
 


--

「流留ちゃん胸おっきいね〜。あたし負けたわ。」
 那美恵は思わず口に出してしまった。それを聞いて流留はとたんに真っ赤になり、胸元を腕とこれから着ようとしていた制服で隠す。

「ちょ!ちょっと何見てるんですかなみえさん!! あたしの見たって仕方ないでしょ〜!」
「いやいや流留ちゃん。あなたそんなにスタイル良くて、めちゃ可愛いならさ、ちゃんと流行のファッション覚えて服とか着こなせば、同性からも絶対モテるようになるよ。」
「うーーあんま女子女子らしいことは苦手なんですよぉ。スタイルだってあんま気にしたことなかったし……。」
 言葉を濁し始める流留に対して那美恵は視線をジッと向けて言った。
「流留ちゃん私服のセンスも結構いいよね? 流留ちゃんの私服姿一度見たけどさ、実は女子力密かに磨いてたり〜〜このっこのっ!」
 那美恵からフォローという名の茶化しを受けて、釈然とした態度を崩そうとしない流留。困惑の表情を浮かべたままの流留は思いを吐露し始めた。
「いやいや。そんなことないから。スタイルはまぁ……ふつーに運動とかしてるだけだし、甘いもの好きじゃないから間食しないとか一応食生活は気をつけてるだけ。ファッションだって雑誌に載ってるのでピンと来たもの選んでるだけだし。それに可愛いファッションしても男子にモテるだけでしょ?」
「いや〜それは偏見というか間違ってるというか。ステキなファッションして、それに憧れるのは男の子だけじゃないよ。私もああなりたい!って、一種のアイドル的に憧れるのが女の子だよ。」
「アイドルですか?」
「そーそー。憧れね。だ〜か〜らぁ〜。スタイル実はめちゃ良かった流留ちゃんに、あたしもたった今憧れちゃいました〜!」
 わざとらしく自分の胸を寄せて強調する那美恵。その直後流留の胸を指差して言った。
「う〜、なんか違和感しかないなぁ。やっぱ、女子らしくとか苦手。てか、女子男子って意識すると調子狂いそう。ゴニョゴニョ…… 」
「ん、おお!? なになに?」
 ぶっきらぼうに言い捨てる流留に、那美恵は身を乗り出すように近づいて問うた。

「あたしは趣味とかでバカ話できる人と適当にやれればそれでよくって。ぶっちゃけ男子だろーが女子だろーが誰でもよかったんです。ただ、あたしのコアな趣味についてこられたのは男子だったってだけで。性別意識の意識はないつもりでした。そこで性別を意識して振る舞っちゃうと、なんか違うんだよな〜って気がして。」
「うーん。なるほどねぇ。それじゃああえて男子側の意見を解説してあげます。……あぁ、これは三戸くんから聞いた意見ね。」
 那美恵は心の中で(話しちゃうけど三戸くんゴメン! )と謝りつつ、述べ始めた。その突然の打ち明けの方向性に首を傾げる流留だが、聞く姿勢は保っている。
「流留ちゃんみたいに可愛い子が自分たちに話を合わせて接してくれるから、嬉しくてつるんでた面もあるんだって。でもね……」
「やっぱそうなんだ〜〜〜。はぁ……。思い返すと今まで接してくれた男子って、あたしの思いとは関係なく結局あたしが女だからチヤホヤしてたんですかねぇ。……そう考えるとあたしの求めてた日常ってなんだったんだろうなぁ〜。」
 那美恵が言葉を続けるのを遮るように流留はため息を吐いてすぐさま反応した。思わず飛び出る小愚痴。

 流留は小さいころ従兄弟たちと遊んでいた頃のことをふと思い出した。あの頃は男女の違いなぞ意識したことがなく、周りの人間と接することができていた。
 しかし今は違った。那美恵の言葉を受けて思い返すと、たしかに男子は自分に対してチヤホヤしていたのかもしれない。流留としてはチヤホヤされることに悦を感じていたこともあるが、決して自分のルックス面としてではなく、趣味で気が合うためでしかないと思っていた。自分が美貌に恵まれている、とはまったく思ったことがないわけではない。男子と接する上での態度、そして話はほとんどしなかったが女子からの羨望の念でなんとなく感じていた。しかしそれを得意げに武器にしたつもりはまったくなかった。
 心身ともに成長して中性的な美少女になった流留に日常接する男子は、思春期であるがゆえに否が応でも意識してしまっていたのが実情であった。女子も、流留のような美少女が男子をまるで手玉に取るかのようにはべらせて遊んでいる、そう勝手に思い込みそう信じて嫉妬の念を蓄積させていたことが現実だった。
 流留自身としては趣味での交流を広げた結果、内容が濃すぎたのか、流留の周りには男子しかいなくなっていただけなのだが、周りはそうは思っていなかった。流留はそんな周りからの念に気づいていなかった。

 結果として構築した、気のおけない男子たちとの付き合いは流留にとって生命線ともいえる日常の根本であった。それがギクシャクして、消滅してしまう事態だけは避けたい。 だから極力男子に合わせる。男子の気持ちを察する。そう思い込むことに徹し、無意識で男子とつるむようにしていた。自身さえ気をつけておけば、周りはきっと自分を見捨てないでいてくれる。いつまでも気軽に付き合えるかもしれない。
 そう心がけて頑張ってきたはずなのに、気づいたら同性から疎まれ、イジメを仕掛けられ、一番懸念していた事態になった。結局、自分が気をつけたところで、それは自分勝手なだけで、周りには伝わっていなかったのかもしれない。
 流留に告白してきた吉崎敬大、そしてよくつるんでいた男子生徒。今にして流留が思うところによると、普段とは違う視線を感じていたが、そういう思いは一切をシャットアウトしてきた。あくまで自分が大事。相手がどう思っているかなど、考えてこなかった結果が先の出来事。
 細かく考えないようにしていた。そんな思いから逃げても問題ないと考えていた。それが流留の振る舞い方だった。