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Lovin' you 1

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フラウに縋り、何年か振りに声をあげて泣いた。
しばらくして落ち着いた私にフラウは意を決した様に聞いてきた。
「アムロはこの子を産みたくないの?」
私は少し戸惑いながらもコクリと頷く。
「だって、怖い。自分が子供を産むなんて考えた事もなかった。作った記憶も無いのにお腹の中で大きくなっている生き物がいるんだ!」
両手で顔を覆い震える。
「そうよね、自分の気持ちの前準備すら無い状態ですものね。」
フラウはアムロの頭を優しく包み込み髪を梳く。
「ねぇ、アムロ。私たち戦争で家族を失ってしまったわよね」
私はサイド6で父を、母は地球で生き別れ、今は生きているかもわからない。そしてフラウもサイド7であの日、ザクの攻撃で家族全員を失った。
「でも家族はまた作れるの。カツ達みたいに血は繋がっていなくても家族になれる。そして女性は自分で家族を生み出す事ができる。これって素晴らしい事だと思わない?」
私は目を見開きフラウの顔を見る。
その顔はまるで旧世紀の聖母マリアの様に優しい。
「経緯はどうあれ、その子はアムロの血を分けた子供なのよ。その子を愛してあげられないかしら。その子はきっとアムロの家族になってくれるわ。」
「私の…、家族…。」
自分には手の届かなかったもの。欲しても決して手に入らなかったもの。
「この子…が?」
今まで、ただただ恐ろしい存在だったものが別のものに感じる。
「家族…。」
思わずお腹に手を当てる。不思議と温もりの様なものを感じた…。
「ええ、そうよ。家族よ」
心がふっと暖かくなるのを感じた。そしてそれと共に不安が頭をよぎる。
このままここに居たらこの子は間違いなく自分同様実験体となる!自分の身すら守れなかったのに子供まで守れるだろうか?
「どうしよう、フラウ。このままここに居たらこの子はきっとひどい目にあう」
動揺するアムロにフラウはある提案をする。


section4

翌日、日本に行くというフラウ達を見送るため、空港に行きたいとフラナガン博士に願い出た。
始めは反対していたが、フラウとの再会でメンタル的に少し安定した事と妊婦であるアムロがあまり無茶をしないだろうとの判断でなんとか許可が下りた。
無論、監視は付いている。
「大丈夫でしょうか?フラナガン博士」
「妊娠初期でまだ貧血等体調は万全では無いし無茶はしないだろう。もし脱走を企てたとしても右肩に埋め込んだ発信機で居場所は直ぐに知れる。」

そうして、アムロは今、フラウ達と共に空港のロビーにいる。
昨日フラウから告げられたのはハヤトに助けを求め、ここを脱出しようという提案だった。
ハヤトはもちろんフラウがミライに依頼され、アムロのもとを訪る事を知っている。そして自分たちもシャイアンに近い位置をアウドムラで航行する予定になっていた。またと無いチャンスだ。なんとか合流できればアムロを救出できる。ただ、アムロの状況がわからなかった為ほとんど行き当たりばったりの計画だった。
それでもアムロにはそれに賭けるしかなかった。
まさかそこであの人と再会する事になるとは思いもせずに…。


アムロは空港に着くと奪取できそうな機体を物色する。
そして一台の輸送機に目を付けた。
「フラウ、カツを貸してもらえないか?」
アムロの問いにフラウが答えるよりも早くカツが答えた。
「うん!わかった!母さん、僕に任せて!レツ、キッカ、母さんを頼んだよ。」
二人は「うん」とうなづくとカツに
「カツこそアムロを頼んだよ!」と笑顔で返した。
フラウは一瞬不安そうな顔をしたが、カツの瞳には強い決意が滲み出ていた。もう子供ではないのだ。そしてアムロの瞳を見つめる。
そこにあったのは決意をした強い瞳。1年戦争終盤の出撃する前と同じ瞳。
「アムロ、気を付けてね。カツもアムロをよろしくね。」
そしてアムロの手に一通の手紙を手渡す。
「これをハヤトに渡してくれる?」
手紙を握りしめ「必ず渡すよ!」と満面の笑みを向ける。
手紙をポケットにしまうと、監視の目をくぐり抜け輸送機へと走り出す。
無事輸送機を奪取したアムロとカツはアウドムラへと進路を向けたのだった。


暫く航行するとアムロは自動操縦に切り替え、操縦席の後ろを物色し始める。
「アムロ?何を探してるの?」
アムロは医療キットの箱を手に戻ってきた。
すると上着を脱ぎ、キットの中からナイフを取り出す。そして躊躇なく己の右肩を切り裂いた。
「アムロ!!何してるの!!」
カツが驚き駆け寄ると、アムロは切り裂いた皮膚の中から発信機を取り出した。
「カツ…、悪い、これ…踏み潰して…。」
荒い息のなかカツに告げる。
カツは慌ててそれを粉々に踏み潰して壊すとキットの中から粘着の傷パッドを取り出し傷を塞ぐ。
パッドにジワッと血が滲む。
苦痛に歪めた顔をしながらも
「大丈夫だよ」と告げるアムロに涙が出そうになった。
どれほどの決意で脱走に踏み切ったのか。自分が思っていたよりもアムロは大きな覚悟を決めていたのだ。
しばらくして落ち着くとアムロは髪を一つに結び、操縦席にあったジャケットを羽織り、念の為パラシュートも装着する。
「カツは何かあったらそこのエアグライダーで脱出するんだ。嫌な予感がする。急ごう」
自動操縦を解除してアウドムラへと急いだ。

アムロの動きがハッと止まり、視線が何処か遠くを見つめる。
すると遠くに何かが光ったのが見えた。
「アウドムラが攻撃を受けてる!」
「ええ!父さん大丈夫なの!?」
「チョットまずい状況だ。このままこの輸送機で敵のモビルアーマーを仕留める。カツは急いで脱出するんだ!」
アムロの気迫に押され、ただ頷いて言われるままに行動するしかなかった。


アウドムラのブリッジに攻め入るアッシマーを目指し輸送機の速度を上げる。
途中、アウドムラを守る金色のモビルスーツから知った気配を感じる。
「どけっ!シャア!!」
「アムロ!?何をする気だ!」
お互い無意識のやり取りの後、アウドムラへ攻撃を向けるアッシマー目掛けて輸送機をぶつけた。
輸送機の操縦席が大破し千切れて落下する。タイミングを見計らい、割れたフロントガラスから空へと脱出しパラシュートを広げた。


ガンダムマークⅡが私をマニュピレーターで受け止めてくれた。
パラシュートを外しマニュピレーターに捕まるとパイロットの少年がコックピットから姿を現した。まだ若い、16、17歳位だろうか…。この少年からニュータイプの気配を感じた。

けれどそれよりも強い存在感を先ほどの金色のモビルスーツから感じる。
「私はさっきシャアって言ったな…。」
金色のモビルスーツはこちらに近づくとコックピットを開いた。

間違いない、シャアだ。赤い彗星のシャアだ!赤いパイロットスーツに身を包んだ人物が「アムロ・レイ」と私の名を呼んだのがわかった。耳に聞こえたわけではないけれど伝わってきた。
私は思わず立ち上がり彼の名を叫んだ。



section5

金色の夕陽を背に赤茶色の髪を輝かせて、彼女は突然私の目の前に現れた。
マークⅡのマニュピレーターの上にいる人物にピントを合わせ、モニターを拡大表示させる。
「間違いない。アムロ・レイだ」
操縦桿を握る腕に力がこもる。
作品名:Lovin' you 1 作家名:koyuho