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Lovin' you 2

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ハヤトはクワトロ大尉が拳を叩きつけた机を見て呟いた。




section9

翌日、アムロはドックの片隅にあるベンチでボンヤリとモビルスーツを見ていた。
懐かしいドックの喧騒と空気に目を閉じる。
Mk-Ⅱのコックピットから昨日見た青い髪の少年の気配を感じる。
『彼もニュータイプだ…。とても強い波動を感じる。』
アムロの思惟を感じたのか整備士用のつなぎを着た少年がこちらに向かって歩いて来た。
「アムロさん、食事です。どうぞ」
と、食事のパックをアムロに手渡す。
「ありがとう。…えっと」
「カミーユです。カミーユ・ビダンです。宜しくお願いします。」
握手を求め、差し出された手を取ると笑顔で握手に答える。
「アムロ・レイです。昨日はありがとう。」

『この人がアムロ・レイ…。こんなに華奢な女性が一年戦争であのシャア・アズナブルと戦っていたのか?』
昨日、輸送機での特攻を目の当たりにしてもまだ信じられない。

「隣、いいですか?」
「どうぞ」
ベンチに二人並び食事をしながらたわいもない会話をする。
「みんなは俺の事をニュータイプだとか貴女の再来だとか言うんですけど自分ではよく分からなくて…」
カミーユは大人達の期待や要望にどうこたえたらいいのか戸惑っている様だった。まるで昔の自分の様に…。

「ニュータイプって何だろうね。」
アムロはカミーユの青い瞳を見ながら悲しく笑う。
「ちょっと周りの事に敏感なだけで超能力者でもなんでもないのにね。みんな過剰な期待をし過ぎなんだよ。実際は自分の事だってままならない。」
「アムロさん…」
アムロは立ち上がり、カミーユを振り返る。
「カミーユはカミーユのままで良いんだよ。誰の代わりになる必要もない。」
「俺は俺のまま…?」
「そう。色々迷うかもしれないけれど、流されずに自分の心に従って、なすべき事を見つけて行けば良いよ。」
「私は流されっぱなしでこんなトコまで来ちゃったけどね。」と付け加え、クスリと笑ってカミーユの頬に触れる。その指先から優しい波動がカミーユに伝わる。
「けれど忘れないで。ニュータイプは決して殺し合いの道具じゃない。この力は人と人が分かり合う為のものなんだよ。」
その瞬間、アムロとカミーユの間に宇宙が広がった。暖かい、母の腕の中の様な空間にカミーユは目を細める。



アムロはドックを後にし、エレベーターを待つ。
エレベーターの扉が開くとそこにはシャアがいた。
一瞬戸惑ったが避けるのもどうかと思い、そのまま乗り込む。
「どうして地球圏に戻って来たんです?」
壁にもたれてシャアを見る。
「火星の向こうにはララァの魂はいないと思ったのでね。」
「ララァ…?」
「それとも君を笑いに来たと言った方がいいかね?」
カチンときてシャアを睨むが濃い色のスクリーングラスで表情は見えない。
シャアはこちらに歩み寄り、目の前に立つと右肩の古傷辺りに手を当てながら問う。
「君も宇宙に上がるといい。そして私を側で支えてくれないか?」
思わず目を見開きシャアの顔を見上げる。
「何を言って…」
と言い返そうとした私の唇をシャアのそれが塞ぐ。昨日の触れるだけのものとは違う、奪う様な激しい口付け。シャアの舌が私の口の中這い回り、上顎をなぞる。ゾクゾクする感覚に膝の力が抜けて立っていられない。すると力強い逞しい腕が腰を支え更に身体が密着し、私の身体を強く抱き締める。
長い口付けから開放されると酸欠の為、そのまま目の前がブラックアウトした。


目が醒めると自室のベットに寝かされていた。
「あれ…私…」
起き上がり、何があったか思い出そうと部屋を見渡すと備え付けの椅子に真っ赤な制服の男が座っていた。
「わぁっ!!」
思わず叫んで、ベッドの端まで後ずさる。
「大丈夫か?まさか酸欠で倒れるとは思わなかった。」
ゆっくりと立ち上がり、スクリーングラスを外しながらこちらに向かって来る。その男との間に壁を作ろうと、役に立たないと思いつつも枕を抱える。
「ちょっ!え!待って!わっ!」
焦る私を他所にベッドに座り、私の顎を掴むと悪びれもなく言う。
「慣れていないのだな。ああいう時は鼻で息をすればいい。」
「なっ!なっ!慣れるどころか初めてだよ!バカ!何すんだ!」
ポロリと言ってしまった言葉にシャアは驚くと「そうか…。」と少し顔を赤らめ、嬉しそうに呟く。
『なんだよ!その嬉しそうな顔!こ、こっちが恥ずかしくなるじゃないかぁぁ』
恥ずかしすぎて顔が熱い!多分、今の自分は真っ赤な顔をしている!
「君の初めては全て私が貰いたいものだな。」
やたらと整った男の顔が目の前に迫り、とんでもない事を言う。
そして、そのまま私の身体をベッドに押し倒し、覆い被さってきた。
その男らしい体臭と私を求める激しい思惟にあてられ身動きが出来ない。
シャアの唇が首筋触れたかと思うとチクリと痛みが走る。
「痛っ」
その軍人らしい、ガッシリとした身体を押し退ける事も出来ず、焦っていると首筋からクスクス笑う声がする。
シャアは身体を離すとアイスブルーの綺麗な瞳を向け揶揄う様に私の頬を抓る。
「冗談だ。流石に身重の君にこれ以上はしない。」
"身重"という言葉にビクリとすると、シャアは"まずい事を言った"という顔をして「すまない」と謝る。
「いいよ。どうせ昨日の医務室での会話はどっかで聞いてたんだろ?」
「何故、そう思う?」
「盗聴機の気配は直ぐにわかるよ。ずっと盗聴機と隠しカメラの中で生活してたからね」
自嘲気味に笑うと、またきつく抱きしめられた。
「同情?…。ははは。貴方にだけはこんな惨めな姿見られたくなかったな…」
自分で言いながら目に涙が滲む。
「同情では無い。己の不甲斐なさに腹が立つ。」
「?」
意味が分からず首を傾げると。
右肩の古傷の辺りに服の上から口付けられる。
「あの時、ア・バオア・クーで君を無理やりにでも攫っておけばよかった。」
その言葉に、シャイアンで自分が思っていた事と同じ事を言われ、胸が熱くなり涙が込み上げる。
私のその顔を見たシャアは目を見開き、一つ溜息を落とすとまた、私の肩に顔を埋める。
「アムロ…。そんな無防備な顔を見せないでくれ。我慢が出来なくなる。」
「なっ!?」
カァっと顔が熱くなるのを感じて今度こそ激しく抵抗し、シャアの身体を離す。
シャアの身体が少し離れたかと思ったら目と目が合い、そのまま顔が近付いてきた。唇と唇が触れ合いそうになったその瞬間。
敵襲を告げるサイレンが鳴り響いた。


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作品名:Lovin' you 2 作家名:koyuho