青の洞窟
青の洞窟
暗闇の中で淡く広がる青の世界。
何もかもを貫き、透き通る青は
無色に等しいけれども、
無色ではなくて。
青く輝く美しい檻に
堅く閉ざされた秘密の海に
自ら身を捧げ、
鎖に繋がれる。
抜け出すことのできぬ
青の洞窟で
焦がれ、
彷徨い、
嘆き、
狂い、
そして・・・
死ぬ。
【 青の洞窟 】
まだ冬の名残を残す冷ややかな風に靡く、淡い金に輝く糸。
つと伸ばした指先に触れそうで・・・・触れない。
もっと手を伸ばせば簡単に届くのかもしれない。
だが、それは憚られた。
―――この手は血で汚れていたから。
そう、尤もらしい理由をつけて。
行き場を失くし、血の気さえ失くした指先を掌に仕舞い込み、小さく握り締める。
遠く広がる十二宮を静かに見下ろすシャカは何を思っているのだろうか。
いまや無人と化し、ただ名ばかりの防波堤でしかない容器(いれもの)。
薄く開いた半眼で下界を見下ろす神か仏のように、移ろい行く時の流れのままに変化していく聖域を、空よりも海よりも透明な青い瞳で見つめて―――。