Lovin' you 3
ふむ、とイマイチ納得していないがベルトーチカが頷く。
「まぁいいわ。まだまだこれからって事ね。ドクターにもまだチャンスはあるって伝えとくわ。」
更に意味深な言葉を残してベルトーチカは去って行った。
一人残されたコックピットでアムロはしばらく動けないでいた。
昼食の後、これからの作戦についてのブリーフィングが行われた。
ベルトーチカの先導のもと、霧に紛れて百式とMk-Ⅱはヒッコリーへ移動し、シャトルで宇宙に上がる。それからハヤトの許可を得たカツもクワトロ大尉とカミーユと共に宇宙へ上げる。
先日から攻撃を仕掛けてくるティターンズの部隊には二機の移動を悟られぬよう、モビルスーツ隊で敵を引き付ける。アムロのリックディアスは二機の護衛としてヒッコリーへ同行する。
ブリーフィングが終わり部屋を出るところでアムロはアルに呼び止められる。
「アムロ!」
「アル…。」
フリールームでドリンクを片手に2人向かいあってテーブルに着く。
「アル…、昨日はごめんなさい。心配してくれたのに手を振り払ったりして…」
アルは優しく「いいよ」と言うと、真剣な顔で机の上に置かれたアムロの手を握る。
「それより、昨日の今日で出撃なんて大丈夫かい?それに体調は?」
本当は、まだ安定期ではない今の身体で出撃なんて考えられない。だが、アウドムラの戦力はあまりにも少なく、1人でも多くの出撃が必要なのも事実だ。
アムロは薄く微笑むとアルの手を上から被う。
「大丈夫だよ。昨日、ちょっと色々あって…悩んだけど、ある人の言葉で自分はまた頑張れるんじゃないかって思えたんだ。体調もいいし行けるよ!」
それに久しぶりとはいえ被弾するつもりはないよ!と不敵に笑う。
その顔は一年戦争時の英雄を思い出させる戦士の顔だった。
アルはそのアムロの返事に「わかった。気を付けて。」と返す事しかできなかった。
ーーー君にその顔を取り戻させたのはきっとあの男なんだね…。
そしてアムロを置いていく事に不安を感じた男は、僕を牽制する為、見せ付けるかのように自分の所有印をつけていったのだ。
そしてアムロの心も鷲掴みにして…。
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作品名:Lovin' you 3 作家名:koyuho