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Lovin' you 4

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section12

出撃前、アムロがロッカールームでノーマルスーツに着替えていると、赤いノーマルスーツの男が現れた。
「シャア?」
男はアムロの元まで歩み寄ると、そっとアムロを抱きしめる。
「できる事ならば君も一緒に連れて行きたい。しかし、今回使う旧型のシャトルでは加速のGがキツくて今の君の身体には負担が大きいそうだ。」
アムロは身じろぎもせず、彼の胸に身を任せる。
「次に地球に降りた時は必ず君も宇宙に連れていく。そして私を側で支えて欲しい。」
アムロは何も言葉を返す事が出来ず、ただその広い胸に顔を埋める。

ーーーなぜ、この人は私をこんなにも求めるのだろうか…。一年戦争で殺し合いの戦いをし、ララァを殺した仇である私をなぜ…?ニュータイプだから?それともララァと共感した魂を持つ私をララァの代わりにしているの?
本当はあのキスも全てララァが受け取るべきものなの?

シャアは困惑する私の頬を両手で包み、上向かせると、愛おしむようなキスを瞼や頬に落とす。そしてそのアイスブルーの綺麗な瞳で私を見つめると、私の唇に深く優しいキスをした。
唇が離れた後、何も言えないでいる私の首元にシャアは唇を寄せるとキュっとキツく吸い付いた。
「痛っ」
首元でクスリと笑うと身体を離す。
「あっ!貴方また!!」
シャアはキスマークが付いた首元を指でなぞる。
「少し薄くなってきていたのでな。」
「なっ!!バカ!またみんなに変な顔されるじゃないか!」
怒る私を気にもせず、軽く手を振ると笑いながらロッカールームを出て行った。

しばらくして落ち着くと、また先程の考えが頭を巡る。すると、ハラリと頬を涙が伝い落ちた。
「なんで涙なんか…。」
なぜ涙が出るのか自分でも分からない。
あの優しいキスが自分へのものでは無いかもしれないと思うからなのか、彼が宇宙へ上がり、離れてしまうのを淋しい思うからなのか…、そもそも自分は彼をどう思っているのだろう…。
そしてはたと気付く。彼が離れるのが"淋しい"と感じるなんて…。
ーーー側にいて欲しいと思うくらいあの人の事を…?
でも、自分が彼にそんな感情を持って良いはずがない。私はララァを殺してしまった。それに私のお腹には他の男性の子供がいる…。
アムロは自分の気持ちに戸惑い、そしてどうにも出来ない自分の状況に、ただ涙を流す事しか出来なかった。


シャアがロッカールームを出ると、そこには壁にもたれ、不機嫌な顔をこちらに向けるアルがいた。
「クワトロ大尉。あなた今、僕が居るの分かってて、わざとキスマーク付けたでしょう?」
シャアは小さく笑うとアルの前に立つ。
「彼女を誰にも渡したくはないのでな。」
"君にも"という目でアルを見る。
「独占欲強すぎ…!」
呆れた顔で目の前の男を睨みつけて溜め息をつく。
「大体、彼女の気持ちはどうなんです?多分、まだあなたへの気持ちをちゃんと自覚していないんじゃないですか?」
アムロの心がこの男に傾いているのは分かっている。ただ、色々な障害が彼女の気持ちを揺るがせているのだろう…。
とは言え、男の自分ですら魅入ってしまうこの美丈夫に迫られて、落ちない女性がいるのだろうか…。
「彼女の気持ちが揺らいでいるのは分かっている。しかし、私を拒んでいないのも事実だ。ならば攻めるしかないだろう?」
不敵な笑みを浮かべる男に、アルは大きな溜め息をつく。
「アムロをあんまり追い詰めないで下さいね。今は大切な時なんですから。」
アルのその言葉にシャアに顔がすっと真顔になる。
「私が宇宙に行っている間、アムロの事を宜しく頼む。」
「あなたに言われなくとも、医師として彼女を全面的にサポートしますよ。」
それなら良いでしょう?とシャアに握手を求める。
シャアはその腕に力強く応えるとドックに向かい歩いて行った。


艦橋ではハヤトがヒッコリーと通信してシャトルの発射時間を確認している。
「了解した。それでは30分後にそちらへ百式とMk-Ⅱ送る。」
コックピットでそれぞれ待機するクワトロ、カミーユ、アムロが時計を合わせ、ハヤトの言葉を待つ。
「クワトロ大尉!30分後にシャトルが発射します。かなり霧が出ていますがベルトーチカの先導に従いヒッコリーに向かって下さい。それから、カツの事をよろしく頼みます。」
「了解した。」
モニター越しにクワトロが応答する。
「カツ!向こうではクワトロ大尉の言う事をちゃんと聞くんだぞ!」
「分かってるよ!父さんこそ母さん達を頼んだよ!」
アムロのリックディアスに乗るカツがハヤトに答える。
「生意気言って!アムロ、カツを頼んだぞ」
「了解」と笑顔で親指を立てるアムロの顔がモニターに写る。
ハヤトはその姿に大分落ち着いたな…。と少し安堵する。

ドックではベルトーチカのプロペラ機がプロペラを回転させ飛行準備に入る。
「では、行きます!」
プロペラ機はアウドムラの後方デッキから空へと飛び立ち。それに続き、百式、Mk-Ⅱ、リックディアスもドダイに乗って飛び立った。

しばらく航行すると、霧の中アムロの脳裏に敵機の姿が写る。
「敵か…。」
その声にカツは驚く。
「え?敵!?レーダーには何も…」
「こちらはまだ気付かれていない、カツ、前に来て私の足に捕まってて!迎撃する!」
そう言うと、レーダーに敵の機影が写る。
ーーーレーダーよりも先に…。やっぱりアムロはすごいや!
リックディアスは敵機を迎撃すべく、頭上10時の方向に向かう。

百式とMk-Ⅱはヒッコリーに到着するとアムロのリックディアスが追てきて来ていない事に気付く。
「クワトロ大尉は先にシャトルへ!僕は戻って迎えに行きます。もしもの時は大尉だけでも宇宙に上って下さい!」
カミーユはクワトロの返事も聞かず飛び立って行った。
カミーユ同様引き返したベルトーチカがリックディアスを探し、霧の中を飛行する。
すると霧の中に戦闘による閃光が見えた。
「やっぱり敵と交戦してたのね!」
霧の中では、アムロのリックディアスがアッシマーと交戦していた。
「アムロ!発射までもう時間が無いわ!カツ君をシャトルまで連れて行って!」
「ベルトーチカ?!分かった!ヒッコリーはどっち?」
「前方右下よ!急いで!」
「了解!ベルトーチカもここから離脱して!」

アムロは答えると霧に紛れヒッコリーへと向かった。
シャトルの発射台に着くとマニュピレーターにカツを乗せてシャトルの元へ降ろす。するとそこにいたクワトロが駆けつけて来た。
「カミーユは?!」
「分からない!敵機が迫っている!もしかしたら戦闘中かもしれない!私は戻る!あなたはカツを頼みます!」
「シャトルを落とされたら何にもならん!私も出る!」
百式をシャトルから外そうとするクワトロにアムロが叫ぶ。
「あなたには宇宙でやる事が沢山あるだろう!!シャトルは私が守ってみせる!」
アムロの真剣な瞳にクワトロは足を止める。
「アムロ…」
アムロはリックディアスで飛び立つとカミーユの元へ向かった。

霧の中、苦戦し、ドダイを撃破されたMk-Ⅱをリックディアスの隣に乗せる。
「カミーユ!すまない!君はもう間に合わない!次の機会まで私の側にいて欲しい!」
「分かりました!」
作品名:Lovin' you 4 作家名:koyuho