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MY IMMORTAL

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1.
「また?どうなってんだよ、一体」
 陽射しを受けて豪華に輝く蜂蜜色の長い髪を揺らしながら、まっすぐに前を見つめるアイオリアに詰問調で問いかけるミロの姿があった。
「仕方ないだろう。人手不足なのも事実あるし、アイツもそれを希望しているのだから・・・」
 ほんの少し顔を曇らせたアイオリアに、それはそうだが・・・と納得のいかないままミロは黙り込んだ。

 聖戦後、アテナの奇跡により復活を果たしたのは黄金聖闘士では老師以外の聖戦前に生き残っていたメンバーと冥界へ赴いた青銅聖闘士達とカノンであった。
 
 それは悲しい現実だった。

 なぜ、そんな結果になってしまったのか。
 アテナに訊ねても、ただつらそうに顔を横に振るばかりで。それ以上確かめる術もないまま、ただ現実を受け止めるしかなかった。
 複雑な思いを抱きながらも聖域の建て直しのために、ムウは失われた聖衣をアテナと共に創造にあたり、アルデバランとミロは残る聖闘士たちの指導育成や聖域の警護にあたっていた。アイオリアはその仁徳の篤さを買われ、統括的立場となって崩壊寸前の聖域内部の取り纏めに奔走している。むろん、ミロもアルデバランもムウもアイオリアを支援していた。
 そしてもう一人の黄金聖闘士であるシャカは次代を担う聖闘士を探すべく各地へと赴きつつ、はっきりとはアイオリアは言わなかったがどうやら冥界に傾倒し冥王の復活を望み集う者たちの粛清・・・いわゆる残党狩りをしているらしかった。
 人の心に宿る闇が果てしないように次から次へと生まれ出でる闇の因子。
 終わりなき孤独な戦いに今もなおシャカは身を投じているのではなかろうか。

「だからと言って・・・もう3度も交代を拒否しているではないか」
「素質のある者を見出すことにかけては、シャカは長けている」
「それだけではなかろうが?」
「・・・・・・」
 黙り込んでしまったアイオリアを責めるつもりは毛頭ない。
「アイオリア・・・少し聖域を空けてもいいか?」
「ん?」
「あまりに・・・長すぎると思うし。それに・・・」
 言葉を濁すミロにアイオリアは眩しそうに太陽を見つめながら観念したかのように呟く。
「残党狩り・・・のことか?」
「――ああ。アテナの御世に恒久なる平和を導く尊い役目だということは承知している。けれども・・・」
 一人では過酷すぎる。たとえ神に近い精神と力を持っているシャカであっても。ほんの少しでも支えになれればいいと思うから。
「行っても・・・かえって足手まといだと、邪魔者扱いされるだけかもしれないぞ?」
 恐らくアイオリアはシャカに提案したのだろう、そしてその提案はばっさりと切り落とされたと容易に推測できた。
「かまわんさ。大丈夫そうならそのままハッパをかけて引き上げてくるから」
 苦笑まじりにミロはそう言うと、コキコキと首を左右に振って音を鳴らした。
「話している限りではまったく大丈夫そうだったがな。ま、こっちは確実に落ち着きを取り戻しつつあることを直接伝えてやってくれ。あいつも安心するだろうから」
 男臭い笑みを零しながらポンとミロの肩を叩くと、それじゃあと教皇宮へとアイオリアは向かっていった。
 その後、姿を見送りながらバサリと純白のマントを翻すとミロは颯爽と階段を駆け降りていった。


作品名:MY IMMORTAL 作家名:千珠