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同調率99%の少女(12) - 鎮守府Aの物語

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 提督が落ち着いたのを見計らい、三戸は提督に尋ねた。
「ところで提督。不知火さ…智田さんが不知火になったってことは、五月雨ちゃんのとこと同じように姉妹艦になれる子をそこの中学校から着任させるつもりなんすか?」
 三戸の予想は当っていたのか、提督は彼の言葉を受けて答えた。

「あぁそのつもりだ。そうできればいいなと考えてるよ。」

 その答えを聞くと三戸と川内は顔を見合わせ小声で言葉を交わす。そののち川内が提督に向かって言った。
「提督さぁ、そうすると智田さんの学校から結構大勢入ることになるかもしれないけど、大丈夫なの?」
「ん?どういうことだい?」
 川内の言葉に三戸が続いた。
「陽炎型って、姉妹艦めちゃ多いんすよ。艦娘の姉妹艦が軍艦の方の姉妹艦と全く同じかはわからないっすけど、もし同じだとしたら大勢着任させることになるのかな〜って思ったんすよ。うちの高校の艦娘部の川内型3人どころの話じゃないっす。」
 三戸の説明に提督は軽く呆けた後しかめっ面になって言葉に詰まり、考え込んだのち口を開いた。

「それは俺知らなかったよ。……そんなに多いのかい?」
「「はい。」」
 川内と三戸の返事がハモる。

「もし全艤装分の艦娘が着任したら、それだけで今のこの鎮守府の人数超えるっすよ。」
 と三戸はトドメにも等しいセリフを突きつけた。
 提督は軍艦の情報をもとにした艤装装着者、艦娘の種類について知らない点が多かったため、三戸や川内の言うことがピッタリ当てはまるなら、管理が大変になるかもと途方に暮れる。だが極めて平静を装ってこの場にいる学生たちに展望を述べる。

「ハハッ。まあそうだとしても、一気に全姉妹艦の艤装が配備されるわけじゃないからね。増えたら増えたで考えるさ。そうなったときは川内、君の持ってる知識で色々アドバイスほしいな。助けてくれるかな?」
「えっ、あたしなんかでいいんですか?」
「三戸君でもいいんだが、艦娘ではないしそのたびに連絡してアドバイスいただくのも申し訳ないからさ。二人は同じくらい艦隊の知識あるみたいだし、川内がいてくれると助かるんだ。」
「アハハ〜。まだ艦娘として活動してないのに頼られるのってなんか不思議な感じ。うんいいよ。那珂さんほどとはいかないだろうけど、ゲームで得た知識なんかでいいならどんどんあたしを頼ってよ。」
「あぁ。よろしくな。」
 提督は川内に笑顔で声をかける。川内も、これまでの日常で趣味話を語り合っている時のような心から嬉しそうな笑顔になっていた。

「じゃあ若い子同士でごゆっくり。」
「提督?」一言で尋ねる川内。
「トップたるもの皆の様子をちゃんと見ないとな。ってことで別の島へ。」

 川内が見つめる提督は紙コップを持っていない方の手をひらひらさせて身体の向きを変えて別の集まりの方へ足を動かした。
 川内は提督と以前話したような趣味の話でもっと盛り上がりたかったが、(三戸は別として)不知火や和子たち話の合わなそうな人もいたことと、タイミングを逃したためこの場で会話を続けることはできなかった。


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 提督と川内、そして三戸が仲良さそうにしていたのを見て一人だけ距離を感じていた神通は気付かれないように和子の後ろ隣に来ていた。和子は途中で気づいたが特に触れる必要もないだろうと思い神通を側にいさせた。
 ただ和子は、提督が川内に頼るような言葉をかけたその直後、斜め後ろからか細い声の
「いいなぁ〜…」
という言葉を聞いてしまった。チラリと和子が斜め後ろに視線を送ると、長い前髪で隠された顔の奥の神通の瞳が半分ふさがっているのが見えた。川内が艦娘として活躍する前から頼られ自信をつけているのに対し、神通は真逆を行きそうだと感じた。
 このままではこの友人は思うように活動できないかもしれない、どうにか彼女のためになることをしなければと、和子は密かに思った。