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同調率99%の少女(12) - 鎮守府Aの物語

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--- 1 懇親会開始



 懇親会会場に移動した一行は、会議室で色とりどりの料理と飲み物が用意されていることに驚いた。

「うわぁ〜すんごい料理とお菓子の数。提督よくこんなに用意したねぇ?」
 那珂が感心すると、提督は皆を手招きでテーブルの周囲に案内しつつ答えた。
「半分は買ってきたお菓子や料理で、もう半分は、妙高さ……黒崎さんと大鳥さんのお二方のお手製料理だ。お二人がうちの近所にいてくださってよかったよ。本当にありがとうございます。」
 提督は那珂たちに向かって答えた後に妙高と大鳥親子に向かって感謝の言葉を述べた。言葉を受けた3人はゆっくりと会釈をした。

「よろしければ、ぜひ。」
 大鳥婦人がその場にいた全員に向かって遠慮がちに言葉をかけた。続いて妙高も言葉丁寧に促す。
「私のも皆さんのお口に合うかどうかわかりませんけれど、腕によりをかけたのでぜひ召し上がれ。」

 那珂は近くにいた時雨に妙高のことを聞いてみた。
「ねぇねぇ時雨ちゃん。」
「はい?」
「前に提督が言ってたけどさ、妙高さんって鎮守府のご近所に住んでいる人妻なんだよね?」
「人妻ってなんか言い方が……えぇそうです。」
「ふーん、お子さんは?」
「すみません。そこまでは……。」
 那珂は密やかな声で確認のため時雨に問いかけるが、最後の質問で彼女はつまってしまう。
「そっか。ありがと!」

 時雨から情報を聞き出した那珂はやっといつもの調子でその場を賑わために茶化しの言葉を発した。
「さっすが妙高さんと大鳥さん!妙高さんはさしずめお艦ってところですかぁ〜!?」
 突然妙な言葉が聞こえてきて言われた妙高はもちろんのこと、提督や他のメンツも驚きの声をあげる。

「な、那珂さん……おかんって?私まだ子供いないんですよ。」
「違います違います!軍艦の艦のほうで、お艦!だって妙高さんも艦娘でしょ〜?」
「あ〜なるほどって。那珂さんったらもう……お上手なんだから。」
 妙高は口に手を当てて口元を隠しながら上品に笑う。提督はもちろん中高生の艦娘たちですらはっと息を飲んでしまう、妙齢の艦娘の微笑む様だった。妙高に釣られてその場に笑いが漏れる。これから歓談を進めるにあたり掴みはバッチリ、相応しい雰囲気が完成した。

「さ、みんな、コップ配るから好きな飲み物注いでくれ。」
 提督がそう合図すると時雨、続いて五月雨、そして大鳥婦人の隣にいた娘の少女が率先して動いて、全員に紙コップを配り始める。3人から紙コップを受け取った各々は好みの飲み物を注ぎ、乾杯の準備が整った。

「それでは、今回着任した川内と神通を祝って、それから、今後の鎮守府と艦娘みんなの良き関係が長く続くことを祈って、かんぱーい!!」
「かんぱーい!!!」
 提督が乾杯の音頭を取る。残りのメンツはその場で飲み物を入れた紙コップを軽く掲げて乾杯をし合った。
 時間は14時半を回った頃。艦娘同士、関係者同士による飲食を含めた楽しい歓談が始まった。


--

 提督は明石含めた工廠の技師3人組と、那美恵たちの高校の教師、阿賀奈と一緒に飲食とおしゃべりを楽しんでいる。

「ホントならお酒があると嬉しいんですけどね〜。」
 明石と技師の数人は愚痴にも満たない希望を口にした。提督はそれにツッコミを入れる。
「明石さん……一応勤務中でしょ。経費でお酒なんか買えないって。」
「も〜冗談ですよ〜提督。飲むつもりなら最初から自前で持ってきてますって。ねぇ○○さん、××さん?」
 明石は同僚の技師に同意を求めて、ケラケラと笑いあった。

「あの〜あかしさん?それともあかいしさん?」
「本名は明石 奈緒であかいし なおです。艦娘名は明石であかしなんです。はい、なんでしょう?」
 阿賀奈が名前を確認すると、明石は本名と艦娘を交えて簡単に紹介した。
「じゃあ明石さん。うちの高校の生徒たちがこれからお世話になります。よろしくお願いいたします〜。」
「あぁ〜お任せ下さい。すでに那美恵ちゃん…那珂ちゃんとは仲良くしてますので。」
「光主さんは〜あの娘面白いですよねぇ。きっとみなさんのお役に立てるのでぜひ使ってあげてくださ〜い。」
阿賀奈は自身の高校の生徒たちを任せるよう熱願する。が、声の軽さのためにせっかく吹かせた教師風がいまいち決まらない。提督や明石たちはうっすら苦笑いをするに留めて話の流れを変える。

「ところで、先生は一体どんな艦娘になるんですか?」
 明石は話題を変えて質問した。
「うふふ〜聞いていただけるの待ってたんですよぉ〜。実はですね〜、軽巡洋艦阿賀野に合格したんです!」
「阿賀野ですか!?それめちゃくちゃ新しい艦の艤装ですよ!?つい4〜5ヶ月前に運用開始されたもののはずです!」
「えっ!?そうなんですか!?阿賀野って、私の名前と似ていて運命感じちゃったんですよね〜。」
「あ、それは私と一緒ですねー。わかりますわかります〜。これって運命なのかな〜って思ってますよ私も!」
 自分の名前と艦娘名に運命を感じた者同士通ずるものがあるようで、明石と阿賀野はアハハウフフと笑いあっている。

 明石のことが少し気になった阿賀奈は、どういう人物なのか質問してみた。
「明石さんはなんで艦娘の艤装にお詳しいんですかぁ?」
 明石はその言葉を聞いた瞬間に興奮し、鼻息荒く阿賀奈に説明しだす。
「えぇ。実は私たち、艤装開発・製造を請け負ってる会社の一つ、○○重工業のものなんです。私達は派遣というかたちで鎮守府Aにお世話になってるんです。ちなみに艤装に関する情報は毎日仕入れてるので、聞いていただければ何でもお答えしますよ!」
「へぇ〜!明石さんって○○さんの社員さんなんですか〜おいくつなんですかぁ?」
「私25です。」
「あら!私もですよぉ!同い年の人いて嬉しいぃ〜!」
 阿賀奈は明石の業種とその自信に満ちた話しっぷりに感心し、そして自身と同年代たるその存在に喜びを感じていた。阿賀奈の感心と歓喜を適度に受け入れ受け流して、明石はさらに続ける。

「それでですね。私、工廠長任せてもらえてるんです。今の会社と現場、天職ッて感じです。それでですね……」
 気分が乗ってきたのかクドクドと全然関係ないことを次々に口にし始める明石。その内容が全然わからない阿賀奈はポカーンと口を開けて笑顔で明石を見たまま固まっている。
 提督や同僚の技師は「また始まった」と溜息をついて目を覆う。さすがに阿賀奈のような雰囲気の人に明石のヲタトークは厳しすぎると思い、提督は同僚の技師に目配せして助け舟を送り出した。

「奈緒ちゃん。奈緒ちゃん。先生困ってるよ〜一杯飲んで落ち着こ?」
同僚の技師の女性が声をかけ、それを見たあと提督も明石に注意を喚起する。
「はいはい。そこまでそこまで。明石さん現実に戻ってこーい。」
「へっ?何です……あーやっちゃいましたか私?」
 提督と技師たち2人、計3人はウンウンと頷いた。
 3人から指摘されてようやく喋りをストップする明石。飲み物を一口コクリと口にして気分を落ち着かせた後、改めて阿賀奈に質問した。

「し、失礼しました。私ったら得意分野になるとどうしても止まらなくて……。それで、先生はいつこの鎮守府に着任されるんですか?」