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同調率99%の少女(12) - 鎮守府Aの物語

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「私の学校、女子校だからそういう人なんて外でもない限りできないわよ!!」
 五十鈴の心の叫びであった。それを聞いた那珂はその回答を受けて言い回しを変えて再度問いただそうとした。
「ん〜そっか女子校だったよね○○高は。そうですか〜。だったらねぇ、将来的に五十鈴ちゃんがその巨大なおっぱいでぇ〜、落としたい人を…あいたぁ!!」

 五十鈴に比べて遥かに"ない"自身の胸を両脇から押して寄せてナニかをするアクションを取りつつ、視線をこの部屋にいるアラサー男性にチラリと視線を向けつつも質問しようとしていた那珂だったが、言い終わるが早いか三千花が那珂の頭をチョップで叩いた。
「さすがに今のはダメ。セクハラ。五十鈴さん確かにその……だけど。てかなみえさぁ、内田さんにも神先さんにもそうだけど、どれだけ胸見てるのよ? ……もしかしてコンプレックス?」

 三千花が鋭くツッコむと那珂は凍るようにピタリと止まった。今度のその態度にはいつものおどけた様子がない。三千花は親友ではあったが、親友の(密かな)コンプレックスまでは知らなかったのだ。
「う…え〜っと。その……。アハハ!」
 目が泳ぎまくっているこの反応はマジか、と三千花と五十鈴は驚きを通り越して呆れてしまった。

「なるほどね。そうなのね。ふ〜ん、これはいいこと知ったわ。感謝するわ中村さん 。」
「いえいえどうしたしまして。手綱ってこういうふうに締めていけばいいんですよ、五十鈴さん。」
 五十鈴は三千花に視線を向けてウィンクをし、三千花はニコリと笑って返事を返した。
 二人は那珂がこれまで見せたようないやらしい顔をして逆に那珂に向け始めた。


--

「それじゃあ次はあんたの好きな人を言ってもらいましょうか。」
 目を細めて艶やかな仕草で視線を送る五十鈴。
「てか五十鈴ちゃんまだ言ってないじゃ〜ん!?」
「あんたのそのうすらとぼけた顔見てたら言ったら負けな気がするから言わない。」
 那珂が困り笑いをしながら五十鈴を指差して言うと、五十鈴はプイとそっぽを向いて言った。

「ずりぃ! じゃああたしも! それにア、アイドル目指すたる者、恋愛は
「なしとか家族が好きとかはナシだからねなみえ。それこそずるいよ。」
 先ほどの態度とは打って変わって本気のうろたえ方をする那珂。わざとらしく身体をクネクネするが、本気の照れ隠しも交えてのことだった。
「う〜みっちゃんずりぃ〜。さすがあたしの親友や〜。てかあたしと一緒に五十鈴ちゃんの気になる人聞き出してくれるんじゃなかったのさ!?」
 本気半分嘘半分の半泣きしながら那珂は三千花に食って掛かった。それを三千花は慣れた扱い方であしらう。
「私はなみえに一矢報いるためならなんだってするわよ。それになみえの好きな人も気になるのよねぇ〜〜。」

 逆の立場になってしまい逃げ場がなくなった那珂は、あくまでケロッとした軽い口ぶりで観念して答えることにした。
「はいはい。あたしは提督が好きだよ。これでいいんでしょ?」
「ウソくさ……真面目に答えなさいよ。」
 あまりにもあっさりと答えてきたので五十鈴はそれを一蹴する。

「え〜だって好きってのはホントだよ?あたしのこと色々見てくれてるしぃ〜、彼もあたしのこと好きな気配あるっぽいしぃ。両思いってやつ?」
 わざとらしく頬に指を当ててぶりっ子よろしく答える那珂に呆れる五十鈴。
「あ〜もういいわ。あなたもマジで答える気がないのだけはわかったわ。」
 そう言う五十鈴ではあったが、心の奥底ではホッとする安堵感と心に霧がかかったような不明瞭感を抱いていた。那珂の告白が本当ではないことを祈りつつ。

 一方で三千花は、親友の答えを茶化す気にはなれなかった。これまでわずかではあるが西脇提督と那珂(那美恵)のやりとりを目の当たりにして、度合いはどうであれ、その思いは限りなく真実になりうるかもと気づいていた。
 口では一矢報いるなどと言ったが、本気で親友のその手の思いをバラして辱める気は三千花にはなかった。そのため五十鈴の言い方に合わせることにした。

「なみえはほんっと適当だよね。親友の私も呆れるくらいよ。」
「エヘヘ〜。」
 那珂は親友の察しに気づくことなく微笑むのみだった。

 ふと那珂が視線の向きを変えて提督を見ると、先程明石のところに戻ったはずがすぐ側、つまりは先ほど自分たちがいたところで残りのメンツと話に興じているのに気づいた。

((まずっ!?今の聞かれた!?))
 那珂につられて視線を向けた三千花と五十鈴も似た反応を示した。