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Lovin' you 6

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section16

アイルランド島東部の街ダブリン。その街の一画にある病院にアムロはいた。
グリプス戦役後、戦線を離れたカミーユがこの病院に入院している事を聞き会いに来たのだ。
そして、この時偶然にもアーガマもこの街の郊外に停泊していた。
地球連邦の高官が和平交渉としてネオ・ジオンのハマーン・カーンへサイド3を譲渡しようとしているのに抗議するためだ。
ブナ屋敷と呼ばれる高官の屋敷へ単身乗り込んだブライトだったが、その抗議は全く受け入れられず、遂にはその場に乱入したジュドー共々屋敷の地下室に閉じ込められてしまった。
そして運の悪い事に、アーガマをおびき出すため、無差別攻撃を仕掛けてきたネオ・ジオンのミサイルが屋敷を直撃し、二人は絶体絶命の危機に陥ってしまう。
しかし、病院スタッフと共に救護活動に来ていた元アーガマのクルー、ファ・ユイリィにより二人は無事救出されたのだった。
二人がファにアーガマまで送ってもらう途中、攻撃が街へも及び始めた為、病院に残して来たカミーユを心配したファは二人と別れ、病院へと急ぎ戻ったのだった。


「カミーユ!!」
ファが病院に戻ると、ベッドに居るはずのカミーユが姿を消していた。ベッドを触るとまだ温かみが残っており、居なくなってからそんなに時間が経ってはいないようだった。慌てて部屋を出ようとすると、丁度この部屋の扉をノックしようとしていた子供連れの女性とかち合った。
「あ、すみません。こちら、カミーユ・ビダンさんの病室ですか?」
赤茶色の髪に、同じ髪色の赤ん坊を抱いた女性はニコリと微笑みファに尋ねる。
「え?あ、はい。そうですけど…。失礼ですが、カミーユとはどういった…?」
「以前、彼にお世話になって…、こちらに入院して居ると聞いてお見舞いに来たのですが…、どうかされたんですか?」
ファの慌てた様子に、尋常ではない事態を察した女性が尋ねる。
「それが…、居なくなってしまったんです!一人で何処かに行ってしまったみたいで…、まだ自分が何をしているかわからない状態なのに!!」
「えっ!?」
部屋を覗き込むと空になったベッドがあるだけでカミーユの姿は見えなかった。
「郊外でネオ・ジオンの攻撃があったので心配になって様子を見に来たんです。そうしたら居なくなってて!まだ遠くへは行っていないと思うんですけど!…攻撃が街にもあるかもしれないのにどうしよう!」
「大変!私も探すのを手伝います!」
赤茶色の髪の女性は「大丈夫!しっかりして」と、取り乱すファの肩を掴むと一緒に廊下を走る。
「何処か心当たりは?」
「わかりません。まだこの街に来て日がないし、カミーユは殆ど出歩いていないから…。」
「とりあえず周辺を探してみましょう」
二人で病院内や周辺を探すがカミーユの姿は何処にも無かった。
「こっちにもいないみたい。もう少し遠くまで行こうか?」
ファは少し考えると、意を決した様に顔を上げる。
「今、知り合いの艦がこの街の郊外に停泊しているので協力を頼んでみます。」
「そうだね。攻撃も心配だし少しでも人数が多い方が良いね。行こう!」
二人はエレカに乗り込むとアーガマへ向かい走り出した。

アーガマの近くまで来ると連邦軍の兵士に止められた。
「通して下さい!私はあの艦の関係者です。」
そこで小競り合いをしていると、アーガマから少年が銃を持って現れた。
「ファさんを離せ!」
「ジュドー!!」
茶色い髪に緑の瞳をしたジュドーと呼ばれた少年が機関銃を乱射する。
他にも数人の少年、少女が銃を構えて兵を威嚇した。
そして、赤茶色の髪の女性がファの腕を掴む兵士の頭に銃を突きつける。
「彼女を離しなさい。」
そこに少年が放った機関銃の威嚇も加わり、ファの腕を掴んでいた兵士はその腕を離し、他の兵士達と共に慌てて去って行った。
「ありがとうございます。」
「どういたしまして。さ、早く行こう!」
赤ん坊を抱いた女性はにこやかに笑うと銃をしまい少年達の方へファを促した。
「お姉さん無茶するなぁ!赤ちゃん抱えて銃はダメでしょ」
女性に向かいジュドーが呆れた様に言う。
「あははは!君たちがいたから大丈夫だと思って」
ニッコリ笑って、ウィンクする女性にジュドーは不思議なものを感じた。
『なんだかこの人、カミーユと同じ匂いがする…。』



「アムロ!?」
アーガマの艦橋に行くと、赤茶色の髪の女性を見たブライト艦長が小さな目を大きく見開いて叫んだ。
「ブライトさん、お久しぶりです!」
ブライトは艦長席から立ち上がり、女性の元まで駆け寄ると腕に抱いた赤ん坊ごと女性を抱きしめた。
「お前!よく無事で!」
「ブライトさんやカイさんがあそこから出してくれたおかげです。ありがとうございました!やっとお礼が言えた。」
ブライト達があの悪夢のオーガスタ研究所から連れ出して、上層部に掛け合ってくれなければ、意識不明の重体となった自分は証拠隠滅のため処分されていた。
「そんな事!もっと早く見つけられていれば!!」
「ううん。充分です。ありがとう。」
アムロは空いた手でブライトの背中に腕を回す。
艦橋にいた他のクルー達が目を見開いてその光景を見守る。
「なぁ、ブライト艦長の知り合いでアムロって言ったら、1年戦争の英雄アムロ・レイだよな?」
トーレスが隣のサエグサに囁く。
「多分な…。軍を脱走してカラバに参加してたって聞いたけど…、あれどう見ても女性だよな。」
ファはブライトと抱き合うアムロを見つめ、カミーユが昔言っていたことを思い出した。
『アムロさんは完成されたニュータイプなんだ。その戦闘技術もおそらくクワトロ大尉に並ぶ程だ。戦場において、あの人の右に出るものはいない』
ーーーこの人が、アムロ・レイ…。カミーユにそこまで言わしめたニュータイプ。自身もパイロットとして戦場に出ていたからわかる。カミーユがそこまで言うということは本当に凄いパイロットなのだ。

「あ、そうだ!それよりもお願いが!ファ!」
アムロに言われ、ハッとする。
「艦長!お願いがあるんです!カミーユを探して下さい!」

ブライトの了解を得て、総出でカミーユを捜索する事になった。
艦橋を後にしながら、ジュドーは振り向きアムロを見つめる。
『あのお姉さんがアムロ・レイ?1年戦争の英雄、白い悪魔と呼ばれたニュータイプ…。だからカミーユと同じ匂いがしたのか?』


アムロは子供連れと言うこともあり、ブライトと共にアーガマに待機する事になった。
艦橋からビーチャの乗った百式が飛び立つのを見つめ、アムロは胸が締め付けられるのを感じた。
『シャア…』
そんなアムロを見つめ、ブライトがアムロの頭をくしゃりと撫ぜる。
「ブライトさん…。」
「すまんな。俺が不甲斐ないばっかりにカミーユやカツまであんな事になって…、それに…クワトロ大尉も行方不明のままで…。かなり捜索はしたんだが見つける事は出来なかった。」
「ブライトさんのせいじゃないです。それに…、多分あの人は生きてますよ。」
アムロは子供を抱く手に力を入れる。
すると、ううっと子供がグズリ出した。
「あっ、ごめん…カイル。」
子供をあやしながらトントンと背中を叩く。
「その子が…、例の子供か?」
作品名:Lovin' you 6 作家名:koyuho