決戦の朝
つい先日、綱吉の預かり知らぬところで、九州くらい買い取れてしまいそうな大きな額が、風紀財団委員長の私的口座から、彼の家庭教師の私的な口座の中に振り込まれた。風紀財団の中でも、表向きのクリーンな企業。其処の社長の席は、現在空席となっている。
結納金は十分に。収まるべき鳥籠はもう既に準備万端である。あと残る作業は、花嫁が逃げ出してしまう前に、雲雀恭弥が捕まえられるかにかかっている。
雲が流れ、太陽の光が小さな筋となり、石畳を再び照らし始めた。
ぱーーーん
開戦のラッパならぬ、開戦の銃声が高々と鳴り響く。
さあ、決戦の朝である。
この決戦が過ぎ去った後、微笑んでいるのは一体誰であるのか。
それはまだ、分からない。
だが確かに、皆がそれぞれ希望を抱く、最後の決戦の朝が始まったのである。