二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

Lovin' you 8

INDEX|1ページ/6ページ|

次のページ
 
section19

「艦長!!ネオ・ジオンから通信です。ロンド・ベル隊 アムロ・レイ大尉及びジュドー・アーシタ少尉を捕虜として拘束!地球連邦政府へ交渉の場を設けたいとの事!」
ラー・カイラムの艦橋で通信士が叫ぶ。
「何!?」
ブライトは艦長席から通信士の元へ駆け寄る。
「捕虜!?二人は無事なのか!?」
ジュドーのリ・カズィのとνガンダムの機体信号が戦闘空域から消え、捜索をしていたブライトへ突然の報告が入る。
「映像入ります。」
オペレーターがモニターにネオ・ジオンからの映像を映し出す。
そこには半壊したリ・カズィとワイヤーで固定されたνガンダム。そして拘束された二人の姿が映し出される。ジュドーは手錠を掛けられた状態で連行されており、アムロは意識が無いのかシャアに抱き抱えられている。
その映像に艦橋が騒然とする。
「アムロ大尉!!」
チェーンが叫ぶ。
メカニックとしてνガンダムの整備をアムロと共に行ったチェーンはアムロにメカニック、そしてパイロットとしての尊敬と女性としてその優しい心に憧れを抱いていた。そのアムロが敵軍に捕虜として捕らえられてしまったのだ。おまけにアムロは意識を失っている。
モニターを食い入るように見入るチェーンは半壊のリ・カズィに対し、ワイヤーに繋がれたνガンダムが被弾も無く、ファンネルも装着したままな事に気付く。
「アムロ大尉、ジュドー少尉を人質に取られて…?」
その言葉にブライトは溜め息をつき呟く。
「おそらくな…。」
『ジュドーを補佐に付けたのが裏目に出たか…。』
しかし、シャアに大切そうに抱えられたアムロを見てブライトは思う。
『もしかしたら二人が話し合うチャンスかもしれない…。良い方向へ向かってくれると良いが…』
ブライトはとりえず二人が生きていた事への安堵と共に、今後の連邦の対応に不安を抱える。
『上層部がバカな判断をしなければ良いが…』
ーーーそして、後にそのブライトの懸念は現実のものとなる。

そんなブライトの横を小さな影が横切る。
「お母さん…」
艦橋に上がってきたカイルがモニターを見ながら呟く。
カイルとライラ、そしてアルはロンデニオンには降りず、ブライトの息子、ハサウェイと共にラー・カイラムへと残った。ラー・カイラムでのアムロと子供たちの再会をシャトルの乗客に見られており、連邦の高官であるアデナウアーにも子供の存在を知られてしまった為だ。連邦の上層部に報告されれば、実験の被験体として子供たちが囚われる危険がある。

モニターを見つめるカイルにブライトは言葉が出ない。そのブライトの顔をカイルが見上げる。
「お母さんを抱いているあの人がネオ・ジオンのシャア・アズナブル総帥ですか?」
モニターを指差しながらカイルはブライトに問う。
「そして、あの人が僕たちのお父さんなんですよね?」
カイルのその真剣な眼差しにブライトは目を奪われる。
『この子は全てを理解っている。…ああ、彼の息子ならば当然か』
父親である男の面影を色濃く写すその幼い子供に嘘偽りなく正面から向き合おうとブライトは腹を括る。
「ああ、そうだ。」
艦橋のクルーがその答えに騒然となる。
「お母さんはお父さんを止めるために軍人に戻ったんですよね?」
「ああ」
「お母さんはその為にニュータイプ実験の実験体をしなきゃいけなくなった。」
「アムロから聞いたのか!?」
カイルは首を横に振る。
「お母さんは何も言いません。でも、時々ふらふらになって帰って来て…。バスルームで吐いているお母さんの手には注射の痕とか火傷の痕とかいっぱいあって…。凄く辛そうだった。」
そのカイルの言葉に側で聞いていたチェーンが悲鳴をあげる。
「そんな辛い思いをしてまで、なんでお母さんはお父さんの為に戦うの?」
「カイル。お前はどこまで知っている?」
カイルはブライトの問いに少し考えると再び視線を上げて話し始める。
「ニュータイプ研究所の実験で…、お母さんが無理やり人工授精で僕を妊娠させられて産んだ事。そして、父親がシャア・アズナブルだという事。前にアルの持ってたお母さんのカルテを盗み見て知りました。」
ブライトは艦長席にドカリと座り込むと溜め息をつく。
「そうか…。」
「それから、お父さんは僕たちの事を多分知らない。知ってるのはアルとセイラ伯母さん、そしてブライト艦長とカイおじさんだけだ。」
「ああ、その通りだ。」
艦橋のクルーはシンっと静まり返り、二人の会話に耳を傾ける。
「だからってアムロがお前を愛していないわけじゃないぞ。本当は中絶する事だってできたのに、あいつは経緯はどうあれ腹の中の子は自分の家族だからって言って自分で決めてお前を産んだんだ。そもそもシャイアン基地から脱走したのだってお前を実験体にしない為だ」
カイルはそのアイスブルーの瞳を少し潤ませて頷く。
「うん。お母さんは僕もライラも凄く愛してくれてる。」
「お前の父親はまぁ、色々複雑でな。ジオン公国の創始者であるジオン・ダイクンの子として生まれたが、子供の頃に父親を暗殺されて、母親も幽閉の末亡くしている。残された唯一の肉親の妹と共に逃亡を繰り返していたがそこでも何度か殺されかけ、妹を守る為、両親の仇であるザビ家に復讐する為、別人になりすましてジオンの兵士となったんだ。そして1年戦争でお前の母親とも戦った。」
その出会いが二人の運命を大きく変えた。
「復讐を遂げた後はジオンの残党と共にアクシズに潜伏していたようだが、その後連邦にクワトロ・バジーナ大尉として潜入した。」
「なんで連邦に?」
「これは俺の想像だが、当初の目的はアムロだったと思う。アムロの消息を探っていたからな。まぁ、潜入しているうちにスペースノイドの自治権獲得の為、エゥーゴに参加しその手腕を発揮して代表となり戦った。ここのクルーにもその頃の彼と共に戦ったものが大勢いる。アムロもその一人だ。」
「お母さんと?」
「ああ、シャイアン基地を脱走したアムロはカラバに合流し、お前を生むまで地球で戦った。その時シャアと再会したんだ。」
ーーーおそらくその時に二人は好敵手としてではなく、互いを求め合う相手として思うようになったのだろう。
「シャアはアムロに共に宇宙に上がって自分を側で支えて欲しいと願ったが、アムロはそれに答えられなかった。」
「どうして?」
ブライトはカイルを見て少し言い淀む。
「…アムロはお前を出産後、父親がシャアである事を知ったんだ。しかし、その時シャアはエゥーゴを勝利に導く為、己の出自を明かす事になってな。その事でアムロはお前がジオンの抗争に巻き込まれるのを恐れたんだ。」
「僕が居たからお母さんはお父さんと一緒に居られなかったの?」
ブライトは子供にひどい事をいる事は分かっていたが、この子には全てを正直に話さなければならないと思った。
「理由の一つではあるがそれだけじゃない。アムロはシャアを愛していたがシャアの気持ちがわからなかったんだ。」
「でも、お父さんはお母さんを求めていたんでしょう?」
作品名:Lovin' you 8 作家名:koyuho