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Lovin' you 8

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「ああ。ただ、それが女性としてのアムロ本人を求めていたのか、ニュータイプとしてのアムロを求めていたのかアムロにはわからなかったんだ。それに1年戦争でアムロはシャアの大切な人を殺してしまったんだ。戦闘中なのだから致し方なかったのだが、その女性はニュータイプで、アムロと共鳴してしまったらしくてな。それもアムロにとってはかなりのトラウマとなっていたようだ。」
「それってララァの事?」
「知っているのか?」
「時々、お母さんが宇宙に向かってララァに語りかけてるのを聞いたよ。「ゴメン」って謝ってた。それから、「シャアを守ってくれ」ってお願いしてた。」
ーーーアムロの切ない想いにブライトは胸を締め付けられる。もしかするとアムロはシャアにとって自分はララァの身代わりかもしれないとも思っていたのかもしれない。

「まぁ、そんな理由でアムロはシャアの手を振り払ってしまったんだが、その時の戦いでエゥーゴは勝利したものの、多くの犠牲を払うこととなってしまってな。アムロが気に掛けていたニュータイプの少年は心を壊し、シャアは激戦の末、行方不明となってしまった。アムロは自分が宇宙に上がって共に戦わなかった事を酷く悔いていた。」
「そんなの!お母さん一人戦わなかったからって変わるものなの?」
ブライトは1年戦争でのアムロを思い出すとふうっと息を吐き出す。
「ああ。アムロがもしあの時宇宙に上がっていたら状況はかなり違っていたと思う。」
艦橋に居たグリプス戦役での参戦クルーが顔をあげる。
「1年戦争の時も、アムロがいなければ私は今、生きて此処にいなかっただろう。連邦の勝利も無かったかもしれない。それほどまでの力をアムロは持っている。」
「ニュータイプだから?」
「ああ。ニュータイプとして完全に覚醒したアムロは単騎で艦隊を殲滅できる程の凄まじい戦闘能力を持っていた。」
艦橋のクルーが息を飲む音が聞こえる。

「クワトロ大尉…、いや、シャアはその戦後の状態に虚しさを覚えたのかもしれんな。結局グリプスの戦争でも地球連邦政府の腐敗は変わらず、スペースノイドの現状も変わらない。ただ、多くの犠牲を出しただけだった。彼はエゥーゴを見限り、姿を消した。」
ブライトは艦橋の窓から見える宇宙を見つめる。
「アムロは自分が共に宇宙に上がらなかった為に、シャアを孤独な戦いへと追い込んでしまった事を酷く後悔していた。だから、あんなに恐れていた宇宙にも上り、シャアを探した。己の過ちを謝罪し、お前の事も全て話して、可能ならば次こそはシャアを支えたいと…。そして、もしシャアが昔、復讐に生きた様に誤った道を進んでしまったら命を懸けてでも止めたいと…。」

「お母さんは今でもお父さんを愛しているの?」
「愛してるよ。」
入り口で話を聞いていたアルがカイルの頭を撫ぜながら答える。
「そして、クワトロ大尉もアムロを愛してる」
モニターを見ながらアルは言う。
「あんなに大切そうにアムロを抱えて…。多分自分で思っているよりもアムロを愛してるんじゃないかな」
「アル?」
アルはカイルを見つめるとクスリと笑う。
「7年前、アウドムラでアムロと行動を共にしてた時の彼のアムロへの執着ぶりは凄かったからね。僕に取られない様にアムロにキスマーク付けて牽制してくるし。アムロに対してもアムロが自分の気持ちを自覚する前から凄い勢いで迫ってたよ。」
その時の事を思い出し、アルはクスクスと笑い出す。
「ただ、あの時はクワトロ大尉自身も女性としてのアムロとニュータイプとしてのアムロのどちらを求めているのか分かっていなかったのかもしれない。だから、アムロはクワトロ大尉の気持ちを図りかねていたんだ。まぁ、僕から見たら充分に女性としてのアムロを求めてた様に思えたけどね。」
「…ただ、二人の間には…、簡単に気持ちを受け入れられない事情があったから…。」
「事情?」
「アムロには過去に彼の愛する人を殺してしまった負い目と他の男性の子供を身籠っている自分の状況。(ま、結局彼の子供だったんだけど。)そして、クワトロ大尉も過去に愛する人を何人も失ってきた経験が無意識に愛する人を作らない様にしていたのか、アムロに執着はしても「愛してる」とは口に出来なかった。そんなすれ違いが二人を引き裂いてしまったんだ。」
だから君のせいじゃないよ、とアルはカイルを抱きしめる。

艦橋にいたクルーは何も言えず、ただモニターの二人を見つめた。




section20

事態が急変したのはその翌日だった。
連邦政府はネオ・ジオンに対し、アムロ・レイ大尉とジュドー・アーシタ少尉及びその機体をネオ・ジオンへ譲渡する代わりにアクシズの地球降下を踏み止まるよう要求した。
アムロ達は連邦政府に売られたのだ。


ーーーネオ・ジオンの母艦レウルーラでは、アクシズの落下作戦実行の為、戦闘配備敷かれ兵士達の喧騒が響く。
連邦政府の身勝手な対応はシャアに怒りをもたらし、地球の重力に引かれた愚かな者達への粛清へと走らせた。


「何の騒ぎだ?」
医務室で目を覚ましたアムロは痛む身体を手錠をはめられた腕で支えながら起き上がる。
そこにヤクト・ドーガのパイロット、ギュネイ・ガスが現れた。ギュネイは片手でアムロの首を掴むとそのままベッドへと引き倒す。
「うっ!!」
アムロは声も出せずにもがく。
「昨日は大佐に随分可愛がられた様だな。」
アムロの腫れた頬に触れながらふふんと笑うと首を締める腕に力を込める。
「がっ!はっ」
「でも、残念だったな。お前は連邦政府に売られたぞ。」
アムロは不敵に笑うギュネイの腹を自由になる足で思い切り蹴り飛ばし、医務室に入った時にくすねたメスをギュネイの首に突きつける。
その騒ぎに駆けつけたナナイと警備兵にアムロは取り押さえられると、締め付けられた首を押さえ盛大にむせ返る。
その様子にナナイはギュネイが何をしたのか悟るとギュネイを叱責し下がらせた。
「大丈夫ですか?」
荒い呼吸を何とか整え、アムロは「大丈夫」と答える。
「貴女は昨日の…」
「ナナイ・ミゲル。階級は大尉です。総帥の副官を務めております。」
「ナナイ大尉…教えて欲しい。私が連邦政府に売られたとはどういう事…?」
先ほどのギュネイの言葉の意味をナナイに尋ねる。
ナナイはアムロの身体を支えベッドに座らせるとアムロの瞳を見る。
「連邦政府はネオ・ジオンに対し、アムロ・レイ大尉とジュドー・アーシタ少尉及びその機体をネオ・ジオンへ譲渡する代わりにアクシズの地球降下を踏み止まるよう要求してきました。」
ナナイのその言葉にアムロは目を丸くする。
「なんだそれ。連邦政府はネオ・ジオンを馬鹿にしてるのか?高々パイロット二人の命がその代償になるとでも思っているのか?」
ナナイはアムロの反応に驚く。
普通は己を売られた事にショックを受けるものではないだろうか?
「それは、捕虜がただのパイロットではなくシャア・アズナブルと遺恨のある"アムロ・レイ"だからではないですか?」
作品名:Lovin' you 8 作家名:koyuho