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【弱ペダ】(サンプル)Race Freak

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横意地ラウンドアバウト


「じゃーな」
 とっぷりと日の暮れたサーキットで、荒北たちは別れの挨拶を交わす。それぞれの車に乗り込んで、テールランプが暗闇の中へ走り去っていく。
「で? オメーは福ちゃんの車に乗らなくて良かったのかヨ」
「靖友の車、運転さしてよ」
 唐突な新開の言葉に疑問符が散らばる。
「ついでにおめさんとこ泊まってっていーかい?」
「ア? お前講義とか部活いーのか?」
 今日は日曜日だ。であれば明日は平日の月曜日。荒北の方は練習はないが、昼からは講義がある。
「ああ、大丈夫だ」
「あっそォ」
 夜の闇が深くなって行く。郊外は道路の街灯の数も極端に少なくなる。既に真っ暗な道路に自分たちの車のライトと、時折すれ違う対向車のライトが交わった。意外なほど滑らかに車を走らせる新開の横顔が、明かりに浮かんだり沈んだりしている。車内は少し音量を落とした音楽が掛かっていて、不自然に始まった沈黙を余計に居心地悪くさせた。
「オメーも免許とったのかヨ」
「ああ、春にすぐにね」
 妙な静寂に耐え切れなくなった荒北の言葉に新開が答える。
 ぽつりと喋っては、短い答えを返す。そしてまた沈黙が下りる。その繰り返しだ。だが、暫くする内に最初に感じていたぎこちなさが薄まっていく気がした。電話やメールでよくやり取りをしているから、そんなに会っていないような気もしないのだが、実際に会うのではやはり感覚が違った。
「遠くのレースにも出られるし、荷物も乗せられるしな」
「ハッ、考えることは同じってことかヨ。金城のまんまだぜ」
 らしくなく目を少し輝かせて、凄いだろう、と言わんばかりに免許を取るメリットを話していた金城の顔を思い出して、かかか、と笑う。