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月と太陽

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月と太陽

宇宙世紀0090年2月
まだ、シャア・アズナブルがネオ・ジオンの総帥に就任する2年あまり前の事だ。

コロニー 「スウィート・ウォーター」、難民収容用に改造されたこのコロニーは何年も続いた戦争により難民となった人々で溢れかえっていた。
地球連邦政府による難民への住居や食料、医療品の配給が間に合わず、治安は悪化し、街の至る所でいつも諍いが絶えなかった。
その日も、街の一角で小規模な爆発が起こった。
何者かが仕掛けた爆弾により、停車していたエレカが爆発し何人もの人々が犠牲となったのだ。
「おいっ!!あんた大丈夫か!?しっかりしろ!!」
黒髪の少年。ギュネイ・ガスは自分を庇い、爆風を浴びた青年に呼びかける。
赤茶色の髪の青年は頭から血を流し気を失っていた。

それはほんの数分前、ギュネイは酔っ払いの男とすれ違いざまに肩がぶつかり、口論となった。それに仲裁に入ったのが赤茶色の髪の青年アムロ・レイだった。
アムロはグリプス戦役で行方不明となったシャアを探す為、スウィート・ウォーターに来ていた。そこで少年と酔っ払いの口論の場に遭遇し、実直そうな少年が酔っ払いをあしらい切れずに困っていた為、つい仲裁に入ってしまったのだ。なんとか酔っ払いを追い払い、少年に別れを告げ、後ろを向いた瞬間、アムロは背後に "危険" を感じた。咄嗟に少年を腕の中に庇ったその瞬間、爆発は起き周囲5m四方にいた人々が犠牲になった。
自分の背中からずるりと崩れ落ちる青年にギュネイは必死に呼び掛けたが、青年は気を失ったままその瞳を開ける事は無かった。

ギュネイがなんとか青年を病院に運び込んで治療を終えた頃、ギュネイが爆発に巻き込まれた事を知ったニュータイプ研究所の所長、ナナイ・ミゲルが病院に現れた。
「ギュネイ!無事か!?」
アムロに付き添うギュネイにナナイが駆け寄る。
「ナナイ所長!」
ナナイはギュネイの両肩を掴み、怪我を確認し大きな怪我がない事に安堵する。
「俺は大丈夫です。でも、俺を庇ったせいでこの人が怪我を…」
そう言うギュネイの視線の先に眠る人物にナナイは息を止める。
「!?…アムロ・レイ!!」
1年戦争後、メディアに英雄として取り上げられていた赤茶色の髪の少年。10年の時を経て、青年へと成長はしているがその容貌は間違いなく連邦の白い悪魔。アムロ・レイだった。
「え?!この人がファーストニュータイプのアムロ・レイ!?」
ニュータイプ研究所でニュータイプ能力を強化する為、日々訓練をしているギュネイにとってファーストニュータイプであるアムロ・レイは雲の上の存在であり、憧れの存在だった。
ギュネイは眠るアムロの顔をじっと見つめると胸が高鳴るのを感じた。

難民収容コロニーとはいえ、ネオ・ジオンの拠点にすべく活動をしているこのコロニーには元ジオン兵が多く集まって来ている。そのコロニーの病院に連邦の兵士であるアムロをこのまま入院させる訳にもいかず、とりあえずナナイはアムロを自宅へと連れ帰った。

頭に包帯を巻き、ベッドに眠るアムロを見つめナナイは迷う。
「シャア大佐に報告すべきだろうか…」
いや、報告しなければならない事は分かっている。しかし、新生ネオ・ジオンを立ち上げる為、全てのしがらみを捨てて突き進んでいるシャアの邪魔をする事になるのではないだろうか…。
ナナイはアムロが目覚めるまでは…と、報告を保留し目覚めを待つ事にした。

翌日、ギュネイが見守る中、アムロはその琥珀色の瞳を開いた。
「アムロ・レイ!?目が覚めたか!」
アムロは声のする方へ目を向けると不思議そうにギュネイを見つめる。
「君は…誰?」
「昨日あんたに助けて貰ったギュネイ・ガスだ。あんた爆発に巻き込まれて怪我したんだよ。」
その言葉にアムロは困惑した様に視線を彷徨わせる。
「昨日?…助けた?爆発?」
「爆発のショックで記憶が混乱しているのか?チョット待ってろ、ナナイ所長を呼んでくる!」
ギュネイが部屋を出て行くのを見送りながらアムロは朦朧とした頭で考える。
『爆発?何があったんだ?此処は何処だ?僕は…どうしたんだ?』

しばらくすると、明るいブラウンの髪の綺麗な女性がアムロの元にやって来た。
「目が覚めて良かった。気分は?どこか痛むところはありませんか?」
アムロはベッドの上で身体を起こし、その女性を見上げる。
「気分は…悪くないです。頭がまだチョット痛いですけど…大丈夫です。」
「そう。良かった。頭の傷は出血の割に深くは無かったので大丈夫だとは思いますが、頭を強く打っている可能性があります。念の為明日、検査をしましょう。」
ナナイはホッと息を吐くと肩の力を抜く。
「あの…、すみません。ココは何処ですか?僕は何故爆発に巻き込まれたのでしょうか?それと、幼馴染が心配するので家に連絡を入れたいのですが…。」
アムロのその言葉にナナイは違和感を感じる。
『家?幼馴染み?』
そして、年齢の割に幼い言葉遣い…。「まさか…」と、ある疑念を抱く。
「その前に少し質問をして良いかしら?」
アムロはナナイの様子に疑問を感じつつもコクリと頷く。
「まずは名前から…。あ、申し遅れました。私の名前はナナイです。ナナイ・ミゲル」
「僕の名前はアムロ・レイです。」
やはり、アムロ・レイ本人に間違いないらしい。しかし…。
「アムロさん、貴方の年齢は?」
ナナイは固唾を飲んでその回答を待つ。
「えっと、15歳です。」
アムロのその回答にナナイとギュネイは目を見開く。
「ええ!何言ってんだあんた!!」
叫ぶギュネイを諌めるとナナイは質問を続ける。
「今日の日付は分かりますか?宇宙世紀からお願いします。」
ナナイの質問に何を言っているんだろうと思いつつアムロは答える。
「?宇宙世紀0079年9月8日?です。」
その答えにナナイは「ああ!」と目を瞑り天を仰ぐ。
それは、1年戦争時、ジオン公国のザクがサイド7を強襲する10日程前の日付だった。
アムロは、自身がガンダムへと乗り込み、パイロットとして戦う事になる運命の日の10日前へと記憶を遡ってしまっていたのだった。

ナナイは深呼吸をして気持ちを落ち着けると言葉を続ける。
「…分かりました。では、貴方の質問に答えます。此処はコロニー"スウィートウォーター"にある私の自宅です。貴方は昨日、ここにいるギュネイと一緒にいたところ、テロリストの爆弾が爆発し、その爆風に煽られ頭を強く打ってしまった様です。おそらくその衝撃で一時的に記憶が混乱していると思われます。」
ナナイの言葉にアムロの頭が付いて行かない。
「スウィートウォーター?テロリスト?」
「ええ。お家の方へは私の方から連絡を入れておきますので貴方は怪我を早く治すためにも今はゆっくりおやすみ下さい。」
連絡する家族などいない事は彼のプロフィールから知っているが、とにかく今はアムロの混乱を防ぐためにも話を合わせ眠りを促した。
アムロの左手に刺さる点滴の中には睡眠薬の成分も入っていた為、ゆっくりとアムロは眠りに落ちていった。

部屋を出ると、ギュネイがナナイに詰め寄る。
「ナナイ所長!どういう事なんですか!?アムロ・レイは記憶喪失なんですか?」
作品名:月と太陽 作家名:koyuho